'95 till Infinity 013

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own 005 】


 「そんな言ってもよ、ひょっとしたらレイブってのはすっげーおもしろいもかも知んねーじゃん、俺たちが知らないだけでさ。そんな自分がわかんないことを何でもかんでもつまんないって言ったら、それで終わりだろ?

 大体さ、お前は最初っからレイブがつまんないもんだって決めつけてるだろ。俺に言わせりゃ、そのお前の考えがつまんないね。

 もしさ、もしだよ、このレイブがすげーおもしろかったら、どうすんだよ?そんなにおもしろいモンをお前が行きもせずにつまんないって決めつけて行かなかったら、それこそもったいなくねぇ?

 どんなもんだかわかんないから行かない、それじゃおもしろいものなんか見つかる訳ねぇよ、違う?

 とりあえずは行ってみようぜ。んで、それからレイブがおもしろいかどうか決めようぜ。とりあえずは行ってみようよ。なっ!で、そっから決めよう!」

 全く乗り気でない俺を説得しようと、息継ぎもしないような勢いでトーニは喋り続ける。

 その間も、蒸気機関車のように吸い続ける煙草はあっという間に1/3ほどになり、重力に耐え切れなくなった灰がトーニのジーンズにぽとりと落ちる。

 自分のマルボロレッドに火を点け、煙をゆっくり、細く出しながら俺も考えてみる。

 確かに、そのレイブってのに行ってみるのも悪くはないかなと気もしたが、それでも15ドルっていうのはその頃の俺たちにとってはちょっとした額だった。

 じっとトーニの目を見ながら、聞いてみる。

 「で、そのフライヤーを渡してきたコってのはそんなにかわいかったの?」

 「はぁ、なんで?なんでそんなこと聞くんだよ?そんなことは関係ねぇよ。だからぁ、俺が言ってんのは、そのなんだ?だから、レイブってのが俺たちが思ってる以上に楽しいかもってことなんだよ。

 んで、結局は俺たちがそのおもしろさを知んないで、えっと、そう、この貴重な、一度しかない、この青春ってものを無駄にしてたらもったいないってことだよ、分かる?だからさ、俺が言ってんのはさ……」

noteも含めた"アウトプット"に生きる本や音楽、DVD等に使います。海外移住時に銀行とケンカして使える日本の口座がないんで、次回帰国時に口座開設 or 使ってない口座を復活するまで貯めに貯めてAmazonで買わせてもらいます。