'95 till Infinity 018
⇒ 小説全体の目次は こちら 。
【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own 010 】
バスターミナルの中で俺たちは行き先ごとに分かれる。
他のエスカレーターで降りていく仲間たちと「またな!」とか怒鳴りあったり、手を振りながら俺たちは降りていく。
俺たちのバス停にいるのは俺にトーニにカイロのいつもの3人。たまに風が吹くたびに濡れたシャツが体にくっついて冷たい。
乗り場に滑り込んでくるバスから乗ってきた乗客が掃きだされるのを横目に見ながら、俺たちは一ヶ月載り放題のパスを見せながらバスに乗り込む。それは通学だけでなく、いつ何時どんなところに新しいスポットが発見されるかわからない誰も免許なんか持ってない時代魔法の絨毯だった。
俺たちがいつも冗談で「悪いコちゃんシート」と馬鹿にしていて、それでもなんとなく必ず座っていた一番後ろの席に腰を下ろすなりトーニが聞いてくる。
「で、どうすんだよ、レイブ?行くよな?」
そうだ、レイブだ。すっかり忘れていた。
「うーん、確かに行ってもいいかなって気もしないでもないけど、高いよ。一般的なレイブの入場料ってのがいくらかは知んないけど、15ドルってのはちょっと高くないか?」
「そんな言ってもよ、それはどうにもなんないだろ?別に俺たちが『安くしろ』って言って安くなる訳でもないしさ。結局はこのレイブが、ってかレイブってモンがすげーおもしろいかもしんないってことなんじゃねぇの、なっ?」
「いや、レイブってのがおもしろいかもっていうのはわかるよ。けど、そしたら別に今日行かなくてもよくない?大体お前がその女のコに会いたいからって、なんで俺たちが付き合わなくちゃいけないんだよ?」
「そんなの当たり前だろ、それはお前、俺たちが友達だからに決まってんじゃん、なぁ、カイロ?」
と、トーニは俺を通り越して右横に座っているカイロに当たり前のように同意を求める。
noteも含めた"アウトプット"に生きる本や音楽、DVD等に使います。海外移住時に銀行とケンカして使える日本の口座がないんで、次回帰国時に口座開設 or 使ってない口座を復活するまで貯めに貯めてAmazonで買わせてもらいます。