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'95 till Infinity 016

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own 008 】


 しばらく滑ったところで倉庫の外の電気は消え、俺たちは倉庫を後にする。

 雨はまだ激しく降り続いていて、俺たちはみんな上着の下に板を抱いて走る。抱えた板はシャツの上から胸板や鎖骨やをコツコツと叩くが、そんなのはどうでもいい。日は完全に落ちていて、分厚いどす黒い雲の下で街灯や走る車のヘッドライトやオレンジ色のスモールランプが水たまりに乱反射している。

 車が通るたびに歩道の芝生が一瞬黄色に光る。

 俺たちをなぎ倒すように横からの風が吹いていて、俺たちは右に左に押されながら叩きつける雨の中を走っていた。誰かの足が水たまりに着地するとそいつの驚いた声と横を走っていた奴の「おい!」って声があがる。

 そのたびに込みあげてくる笑いを我慢できない俺たちの笑い声が雨と走る車の音しか聞こえない通りに響いた。

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