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'95 till Infinity #031

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #023


 「そんな言ってもよ、いいじゃん、別に。大体俺はさ、ガキの頃から今日みたいに週末の夜には放っておかれたんだよ。

 考えてみてみ、その俺がずっと一人でいた時間にベビーシッターとか雇ってたらこんな金じゃ済まないぜ。だからさ、大丈夫なんだよ、このくらいの金は」

 「はぁ、お前何言ってんだよ?それは完全な自己正当化だろ、何をそんな甘ったれたガキみたいなこと言ってんだよ。

 世の中には親がいない奴だっているんだぜ。それこそよ、赤ちゃんの時から親と1秒だって一緒にいたことがないなんて奴がさ。そいつらがそんな訳のわかんない泣き言言うかよ?

 大体、お前はベビーシッターがどうのこうのって言ってるけど、その代わりに今まで好き勝手してきただろ?

 今日だって誰か家にいたら、『何で今から出かけるのだの、どこ行くの?』ってうるさいだけだぜ。お前が言ってることなんて、甘ったれたガキんちょの自分勝手な自己正当化だね」

 本気で俺にそう言われたトーニは下を向き、一人黙って歩いていく。

 俺たちと目も合わせずにふて腐れたガキみたいに歩くトーニの横顔に、トーニのあまりにもわがままで、あまりにも甘ったれた考えに、沸々と怒りが込み上げてくる。

 自分の不幸を本当に主張できる人間なら鼻で笑うような甘ったれたクソガキのわがまま。自分が持っているものは自分が持っていることすら気づかないくせに、自分にないものはスーパーの床で泣き叫ぶガキみたいに駄々をこねやがる。

 大体、本当に不幸な奴は自分の不幸を主張したりなんかはしない。そんなものを主張したところで何も変わらないし、そんなことをしたら負けを認めることになるだけだ。

 甘ったれたガキの耳を貸す価値もない戯言、恵まれた奴だけが言える泣き言。そんなものは俺は聞きたくもない。

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書き手 えいきら

イベント映像会社、イベント制作会社、外資系映像機器メーカーを経て、現在東南アジア某国在住。酒は飲むからには呑まれる40歳。

'95 till Infinity ~ 第1章

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