見出し画像

'95 till Infinity #032

⇒ 小説全体の目次は こちら
⇒ あらすじは こちら
⇒ 作品説明は こちら


【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #024


 俺はトーニの母親が大好きだった。

 彼女は俺や他の奴の母親みたいに細かい、そんなこと言っても何にも変わんないよという意味のないことは一切言わない、スーパークールな母親だった。

 他の母親たちなら俺たちをガキ扱いして上から物を言ってくるような時でも俺たちと同じ目線で俺たちと話してくれた。

 確かに、トーニの言う通りにトーニの母親は週末の夜は家を空けることが多かったかもしれない。彼女は母親であるよりも自分であるということを優先すろことが多かったかもしれない。

 けど、俺にはそれがそんなに悪いことだったとはどうしても思えなかった。少なくとも、トーニの母親は月曜から金曜の夕方まではトーニのような彼女の努力に最低限の敬意も払えないクソガキの為に一人必死に働いていた。

 その彼女が1週間の最後に自分の為だけに週末を楽しむことを止める権利なんか誰にもない。

 トーニは何もわかっちゃいなかったけれど、少なくとも彼女がそうすることによって俺たちの仲間内の何人かのように訳のわかんないおっさんが新しい『父親』としていきなり生活に乱入してくることがトーニの場合はなかった。

 そして、トーニがトーニのようなクソガキであるが為に理解できていなかった最も重要なことは、もしも彼女が月曜から金曜は社会の勤勉なる労働力の一員として働き、週末は母親としていきるような人だったら彼女は他の親たちと同じように俺たちをガキ扱いしていただろうということ。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

4

書き手 えいきら

イベント映像会社、イベント制作会社、外資系映像機器メーカーを経て、現在東南アジア某国在住。酒は飲むからには呑まれる40歳。

'95 till Infinity ~ 第1章

1990年代西オーストラリア州パースを舞台とする3人に少年の物語。第1章。世界の果ての俺たちの2nd Summer of Love。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。