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'95 till Infinity 029

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own 021 】


 カイロの横に立って空を眺めながら、俺はカイロが言ったことについて考えてみる。

 一日24時間の内の12時間近くは夜だ。俺が生まれてまだ16年かそこらだけど、夜がない日なんて一度もなかった。

 それこそ俺は計算できないくらいの夜空を見ているはずだけれど、こんな夜空なんか見たこともなかった。ロマンチストのカイロの言うのも間違ってはいないかもしれない。確かに、世の中には俺たちが気づいていない、知らないだけで楽しいことなんて腐るほどあるに違いない。

 ただ俺たちが知らないだけで。

 後ろでガシャっと音がして振り返ると、トーニがフロントドアの外側のセキュリティードアに鍵をかけていた。

 俺とカイロは手に持ったままの煙草を踵でぎゅっと踏んで、親指と人差し指で玄関横の茂みに弾き飛ばす。

 踏み消しきれていなかったオレンジの炎のかけらが茂みに吸い込まれていく。

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