見出し画像

'95 till Infinity #029

⇒ 小説全体の目次は こちら
⇒ あらすじは こちら
⇒ 作品説明は こちら


【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own #021


 カイロの横に立って空を眺めながら、俺はカイロが言ったことについて考えてみる。

 一日24時間の内の12時間近くは夜だ。俺が生まれてまだ16年かそこらだけど、夜がない日なんて一度もなかった。

 それこそ俺は計算できないくらいの夜空を見ているはずだけれど、こんな夜空なんか見たこともなかった。ロマンチストのカイロの言うのも間違ってはいないかもしれない。確かに、世の中には俺たちが気づいていない、知らないだけで楽しいことなんて腐るほどあるに違いない。

 ただ俺たちが知らないだけで。

 後ろでガシャっと音がして振り返ると、トーニがフロントドアの外側のセキュリティードアに鍵をかけていた。

 俺とカイロは手に持ったままの煙草を踵でぎゅっと踏んで、親指と人差し指で玄関横の茂みに弾き飛ばす。

 踏み消しきれていなかったオレンジの炎のかけらが茂みに吸い込まれていく。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

1

書き手 えいきら

イベント映像会社、イベント制作会社、外資系映像機器メーカーを経て、現在東南アジア某国在住。酒は飲むからには呑まれる40歳。

'95 till Infinity ~ 第1章

1990年代西オーストラリア州パースを舞台とする3人に少年の物語。第1章。世界の果ての俺たちの2nd Summer of Love。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。