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'95 till Infinity 020

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own 012 】


 とにかく、あいつのイージーゴーイングさと言ったら他の誰とも比べようがないほどで、燃えさかるビルの屋上にいてもなんとかなるさと炎に手を伸ばし、とりあえずと言って一服でもするんじゃないかと俺たちに陰で言われるほどだった。

 カイロの一言で初のレイブ行きが決定すると他に喋ることもなく、ヘッドフォンで音楽を聴きながら、窓の外を眺め、10数分間のバス路を過ごした。

 窓の外では激しくまだ雨が降っていて、時折横から叩きつける雨と風が窓を揺らしてていた。

 こんな雨の週末の夕方にバスに乗っている奴なんか他にはいなくて、俺たちが黙って静かになった車内に聞こえるのは、バスのエンジン音と雨の音。それに、手持ち無沙汰な俺たちがたまに回すウィールのベアリングのカラカラという乾いた音に、遠くからかすかに雷の音だけだった。

 俺たちはいつも滑りに行った後はそうだったように、街から一番近いトーニの家の近所のバス停で降りると、また雨の中を走ってトーニの家に向かった。

 トーニの家にはいつも通り誰もいなくて、俺たちは着ていた服を脱ぎパンツ一枚になると自分の家であるかのように乾燥機まで歩いていき、服を投げ入れて乾燥機のボタンを押した。俺とカイロがソファーに座ってぼぉっとしていると、トーニがやってきてよれよれのTシャツを投げてきた。

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