見出し画像

'95 till Infinity 002

⇒ 小説全体の目次は こちら

【 Prologue: He’s Back 002 】

 「おい、何考えてんだよ?つまんない顔してんじゃねぇよ、早く嫁さんと可愛い子供の待ってる家にでも帰りたいってか?お前がそんな顔してたら、他のみんなの酒もまずくなるだろ。楽しくいこうぜ、なっ!」


 会話に入るでもなくボケッと外を見ている俺の背中をでかい手で力の加減する知らずに叩いてくるのは麻薬対策班のスティーブ。


 スティーブ・トンプソン、俺みたいな中途半端な裁判所付けの事務方なんかじゃなく、生粋の刑事。先月もガサ入れの時に見つけた現金をサインさせずに自分のポケットに入れた、上にも下にも上手い若手の世渡り上手。


 「おいおい、ポッケに入れてんじゃねぇよ」と突っ込む売人に、「てめぇ、こんな金あったら、間違いなく営利つくぞ。それでもいいのかよ?」と凄み、そのまま札束をケツポケットに突っ込んだ。


 取調べや量刑のことを考えたら売人が文句を言うはずもなく、こいつはチームの人間を引き連れて女を買いに行ったっていう噂だ。


 「おっ、ごめん、ごめん。別にそんな訳じゃなくてさ、暖かいからぼ~ってしてたよ。なんか変な感じだよな、この季節に日がこんな照り方したらさ」


 と、俺が言うとスティーブは一瞬俺を見て顔を歪める。

 「はぁ、お前、いきなり訳の分かんないこと言ってんじゃねーよ。

 大丈夫か、お前?お前なぁ、こんな天気で暖かいって、大丈夫かよ?これはどう考えても『暑い』だろ?蝿こそいないけど、これは真夏日だよ。どうかしたんじゃねーの?

 まっ、とりあえず飲めよ。飲みが足りないからそんな訳のわかんないこと言い出すんだよ。


 グラスも全然入ってないし、もう一杯買ってこいよ。なっ、せっかく明日から休みなんだからよ、飲もうぜ。なっ、ビール飲んで酔っ払って楽しけりゃいいじゃねーか?いつもみたいにみんなで楽しくやろうぜ、そうだろ、なっ?」


 「確かにそりゃそうかもな。じゃ、飲み物でも買ってくるとするよ」

 と、俺は言い残して俺は席を立つ。

noteも含めた"アウトプット"に生きる本や音楽、DVD等に使います。海外移住時に銀行とケンカして使える日本の口座がないんで、次回帰国時に口座開設 or 使ってない口座を復活するまで貯めに貯めてAmazonで買わせてもらいます。