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'95 till Infinity 007

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【 Prologue: He’s Back 007 】


 自分の中で処理できない小さな感情の揺れを感じながら、トイレのドアに手をかけた俺をトーニが呼ぶ。振り向いた俺にトーニは高校の授業の合間の教室移動中に中庭の反対側に俺を見つけた時のように叫ぶ。

 「おい、カイロが帰ってきたってよ。この前、友達がセイント・ジョージス・テラスで滑ってるのを見たって。そりゃ、10年近く経ってっから年もとってちったぁ変わってたけど、あれはカイロに間違いないって言ってたぞ!」

 俺がいきなりの知らせに驚いていると、トーニはエイミーの手を引き、行こうというジェスチャーをしながら言う。

 「じゃ、俺はこんなとこ出るけどよ。お前もこんなとこで何やってんだ?昔はエミュービターしか飲まなかったじゃねぇか。こんなエミュー・ビターも置いてないような、ヤッピーにもなれないような連中しかいないようなとこで飲んでんじゃねぇよ。んじゃな!」

 俺の心の揺れの振り幅はさらに大きくなり、それは「動揺」と呼んでもいいほどになっている。俺がトーニの言ったことを理解し、反応する前にトーニはずんずんと前だけを見て、エイミーの手を引いて去っていった。

 二人が廊下の角を曲がり、見えなくなろうとする時にエイミーが一瞬振り返って俺を見る。俺は2人に何か言おうとするが、自分が何を言いたいのかすらわからない。

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