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'95 till Infinity 015

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own 007 】

 

 90年代というのはまだトーニの魔法が通用する時代だった。

 トーニの屈託のない笑顔に俺たちは「まぁ、いっか」という気分になれた。

 そして、あいつがどこからか思いつきでどこからか持ってくるアイディアに反対する理由が俺たちにはなかった。

 今みたいに仕事があった訳でもなければ、勉強に力を入れていた訳でもなかった。絶対にしなければいけないこともなければ、本当にしたいこともない。そんな俺たちにあいつが持ってくる提案に「ノー」と言う理由なんかない。

 俺は自分がまたしてもトーニの魔法にひっかかってしまった自分を認めるのがしゃくで板を取り転がして飛び乗る。

 後ろからはトーニの「どうすんだよ?行くだろ?」と言う声、俺は振り向きもせずに、焦らすようにわざと適当に「考えとくよ」と答える。

 それでも聞こえてくるトーニの「なぁ、どうすんだよ?行くんだろ?」という声。

 懲りるということを知らないトーニ。

 俺は振り返り、本当にうざそうに「だから、考えとくって言ってんだろ?」と言うけれども、結局は行くことになるんだろうなと感じている。

 レイブか、まぁ確かに悪いアイディアじゃないかもしれない。

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