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'95 till Infinity 021

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own 013 】


 俺たちがそのTシャツを被って、リモコンでケーブルTVのチャンネルを合わせていると、トーニが人数分のマグカップを持ってくる。

 半日みっちり滑った後の、ミルクと砂糖がたっぷり入った暖かい紅茶は格別だ。カップを両手でつつんだ俺たちは、何でもない内容の話をまた始める。

 トーニはよっぽどフライヤーを渡してきた女の子がお気に入りみたいだ。

 俺たちがしている会話が何であれ、いつのまにかトーニが強引にそのコの話に持っていっていき、気づけば全ての会話がそのコの話しで着陸している。そんなトーニに俺は呆れて、カイロは横でただ微笑んでいる。

 しばらく俺たちはそうやってダベりながらスケボーのビデオを見て、お茶だのオレンジジュースだのを飲み、たまにポーチの雨に濡れたプラスチックガーデンチェアーに座り煙草を吸って、レイブまでの時間をなんとなく過ごした。

 腹が減った俺たちが近所のテイクアウェーの中華にでも行こうと外に出てみると、次第に小雨になっていた雨はいつのまにか止んでいて、湿気を含んだひんやりとした風がそっとそっと吹いていた。キャニング・ハイウェイ沿いに歩く俺たちの横を、シャーッという音を立てて車が通り過ぎていった。

noteも含めた"アウトプット"に生きる本や音楽、DVD等に使います。海外移住時に銀行とケンカして使える日本の口座がないんで、次回帰国時に口座開設 or 使ってない口座を復活するまで貯めに貯めてAmazonで買わせてもらいます。