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'95 till Infinity 024

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【 第1章: 2nd Summer of Love of Our Own 016 】


 しばらくして帰ってきたトーニの手には乾燥機から引っ張り出してきた俺とカイロのTシャツ。投げられたTシャツを俺はキャッチしたけど、カイロのTシャツはビデオに夢中のカイロの頭を包み込むようにふわりと着地する。

 一瞬間が空いてからカイロはTシャツを取ってトーニを睨みながら言う。

 「おい、何すんだよ?見たらわかるだろうけど、俺はビデオ見てんだよ」

 俺とトーニはお互いを見合わせて苦笑する。

 「おい、俺も馬鹿じゃないんだから、言われなくてもそんなのは見たらわかるよ。カイロ、しょうがないなぁ、お前は。スケボーとなったら、周りも見えねぇんだからな。とりあえずは出ようぜ、ここにいてもしょうがないしよ。

 大体、お前はさっきの話の流れを全然聞いてなかっただろ?あの流れだったら、どう考えても明らかにもう出発だろ?そうやってファットなグルーヴが回りだしたのにせっかくのフローを止めるなよ、なぁ、ブラザー?」

 と、ラッパー風の大げさな腕の動きをでたらめなギャングサインで締めるトーニを横目に見ながら俺はトーニが床にポンと置いた靴下を履く。

 カイロもそんなトーニをまともに相手にする気はないらしく、黙ってTシャツを被っている。

noteも含めた"アウトプット"に生きる本や音楽、DVD等に使います。海外移住時に銀行とケンカして使える日本の口座がないんで、次回帰国時に口座開設 or 使ってない口座を復活するまで貯めに貯めてAmazonで買わせてもらいます。