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'95 till Infinity 008

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【 Prologue: He’s Back 008 】


 カイロが帰ってきている。

 あのカイロがこの街に帰ってきている。

 俺がそのことを受け止め、理解しようとする間に2人は去っていった。

 しばらくそこで2人の去った後を眺めてから、気を取り直してトイレのドアを開けて中に入る。小便器の前に立った俺は自分がなんでこのトイレに入ってきて、何をすればいいのかわからないような感覚を一瞬持つ。それこそ、これは自分がオムツにお別れを言ってから何万回と繰り返したことなのに。

 ゆっくりジッパーを下ろしながら、頭の中で自分に言う。

 俺は小便をしにきたんだ。

 そう、そうだ、俺はただ単にここに小便をしにきたんだ。いつもの金曜の、いつものパブでのいつもの仲間との気軽な一杯の途中でただ純粋に小便をしにきたんだ。何も特別なことなんかないはずだ。

 トーニとの立ち話で間があいたせいか、小便器の前に立ってもたいして尿意が起きない。しばらくして出てきた小便はちょろちょろとだらしなく続く、やっと終わったと思うと訪れる残尿感。そんな年でもでもないと自分ではわかっていても、自分が爺さんになったような気がする。

noteも含めた"アウトプット"に生きる本や音楽、DVD等に使います。海外移住時に銀行とケンカして使える日本の口座がないんで、次回帰国時に口座開設 or 使ってない口座を復活するまで貯めに貯めてAmazonで買わせてもらいます。