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Japan HRTech Conferenceでざっくりと掴んだ人事のトレンド。

先週、今週とイベント続きでハッピーなわたくし。
インプットがあるのは嬉しいことです。

7/4(金)に行われたJapan HRTech Conferenceに参加してきました。イベントサイトはこちら
さまざまなHR先進企業の、主に役員の方が登壇されており、刺激的であるとともに、自社との大きなギャップも感じたイベントとなりました。

朝から夕方までセッションに参加し、計6本のトークを拝聴しました。その中で感じた大きなストーリーをまとめておこうと思います。

生産年齢人口が減少している時代

画像は中小企業庁より。これはもう聞き飽きた話だと思いますが、日本は人口減少時代に突入していて、特に生産年齢人口(上図で黄色の部分)はものすごい勢いで減っていきます。(65歳になったら働けない人認定するというのも違和感たっぷりですが、これは一旦置いておいて…)
働いてくれる人の数を維持しようと思うだけでも、企業人事は採用面・定着面で厳しい状況に置かれていきます。

言い換えれば、働く人が会社を選ぶ時代

雇う側が厳しい状況に置かれるということは、逆に働く人の目線で言えば、たとえば転職においてより有利な条件でdeal doneとなる可能性も高まっているということです。

そしてその条件となるものは何かというと、高い報酬やしっかりとした休暇制度、福利厚生、優秀な仲間、仕事の社会的意義などさまざまです。
中でも人事界隈でもトレンドとなっているのが、ウェルビーイングです。

ウェルビーイングとは

WHOの「健康」の定義から来ているものです。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

登壇されていた慶應義塾大学大学院 前野教授によれば、well-beingな社員は、そうでない社員に比べ生産性が高く、創造性が高く、しかも退職確率が低いことが明らかになっているとのこと。
つまり、働く人がハッピーであることが、会社にとってもハッピーであるということです。

アメリカの会社では社員のウェルビーイングを考えるのがあたりまえで、日本の状況は半周遅れ、一周遅れになっている状況のようです。
前エントリで人事とは社員を幸福にする仕事という言葉を紹介しましたが、それに通ずると感じました。

何が働く人をウェルビーイングにするのか

ヤフーのピープル・デベロップメント統括本部長 湯川執行役員が面白い例を挙げていらっしゃいました。

昨年から大きな話題を呼んでいるPayPayは、ヤフーとソフトバンクの合弁企業です。
同社は、同じソフトバンクグループ傘下の企業でありながら、かたやエンジニア寄りの人材が多くやわらかい社風の企業と、バリバリ通信業界の体育会系ノリの企業から半々で人材を出向させて作った企業です。

社風の違いから、最初はコミュニケーションがうまくいかず、「出向から戻してくれ」という声も多かったようです。しかし少し経った今では、「このまま転籍させてくれ」という声が目立つようになったとのこと。

理由を考察すると、まだ組織が小さいので、

・自分が作ったものが世に出ていく実感がある
・上司や同僚が見てくれていることを強く感じられる

というところが見えてきたと。

また、前野教授によれば、ダイバーシティ豊かな組織は、イノベーティブで幸福度が高いという研究結果もあるとのこと。
PayPayはインド企業Paytmのテクノロジーを利用しているので、カルチャー面でも言語面でも、いい意味でカオスが生まれていて、それも従業員満足度に寄与しているかもしれないと考察していました。

ダイバーシティ&インクルージョンが企業人事にとって肝である

メルカリ執行役員 VP of People & Cultureの唐澤さんも、別セッションでD&Iの重要性について語っていました。

テクノロジーのスピードがさらに増していく中で、例えばおそらく今後10年は過去20年と同じくらい進みます。「メールってあったよね」「みんなわざわざ通勤してたよね」という時代がやってくると。

その中で、採用、異動、評価といったような、ある意味トラディショナルな人事の仕事は、人手よりも精度が高いテクノロジーで回すようになることは、想像に難くありません。

そのとき人間の仕事として残されるのはクリエイティビティと、D&Iです。
クリエイティビティは絶対的トップがいればなんとかなるものの、D&Iはボトムアップでしか成立しないため、企業人事としてはここが重要、という文脈でした。

ダイバーシティがいい方向のパワーを生み出すには明確なビジョンが必要

ダイバーシティが豊かなほうがイノベーティブだ、というのはなんとなく分かる話ですが、バックグラウンドがバラバラな集団は、ただ存在しているだけではバラバラな方向を向いているだけです。

では、何があれば、ベクトルの向きが揃ってくるのか?答えはミッションやビジョンの共有です。例えばメルカリのコレであり、ソフトバンクのコレです。

googleのピープルディベロップメントにも携わっていたピョートル・グジバチさんは、建設的な意見の対立が推奨される環境を作るのが人事の仕事で、それには対立軸となるミッション・ビジョンの共有や、心理的安全性をどう確保するかが重要であると話されていました。

ダイバーシティをエネルギーに変換するためのOKR

会社のビジョンと個人の行動をつなぎ合わせる手段として用いられるのがOKR(Objectives and Key Results)です。

高いobjectiveを設定し、それを実現するための具体的な行動を決め、毎月、毎週、毎日のサイクルで計測可能なkey resultsで計測する。この仕組みを作ることで、個人が持っているベクトルの向きを揃え、エネルギーを生み出すことができるようになります。

理想と現実の狭間で

人事業界のトレンドのいくつかを、ストーリー立ててまとめてみました。
もし、これを読んでくださっている人事の方がいて、自社とまったく違う世界を感じ取って絶望感を覚えている方がいたら安心してください。私もそうです。笑

ToBeとAsIsのギャップが大きければ多いほど、やるべきこともチャンスもたくさんあるということですからね。私も頑張りたいと思います。
まずは、理解者を増やすことから始めようと思います。

全然Techじゃなかった

Japan HRTech Conferenceという名のイベントに参加したわけですが、具体的なTechの話はあまりなかった印象です。

でもそれでいいと思うんです。だってTechはあくまでも手段ですから。

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