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people analytics tokyo #2 teamingで見つけた幾つかのヒント。

2019/9/11(水)、people analytics tokyo #2 teamingに参加してきました。
気づきを簡単にまとめたいと思います。

teamという小さな単位から組織を考える

ピープルアナリティクスが人事界隈に限らず、データサイエンティスト、自分のチームを持っている人などに対してももっと開けた領域になってほしい、という趣旨で開催されているこちらの勉強会。

組織開発において、例えば「会社全体」のような、場合によっては数千人、数万人になるような単位に対してのアプローチもあれば、数人の小さな単位に対してのアプローチもあります。
今回は、後者をteamingというテーマでくくって一緒に考えよう、という内容でした。

teamには「学習すること」が求められる

チームとは、ただ人が集まっている状態を指すのではなく、共通の目標や問題を共有しているグループのことです。
Paul Ostermanによれば、「チームという概念それ自体が、1980年代以降職場に最も広まったイノベーションの一つ」とのこと。
個々人がそれぞれ戦うよりも、グループとしてまとまって戦うほうが効果的であるのは明らかです。

さらに、画一化されたものを売ればよい時代には、とにかくオペレーションをうまく回すことが重視されました。
いっぽう、何が売れるのか分からない混沌とした現代では、「学習するチーム」であることが重要です。VUCAの時代ってやつですね。

Volatility(変動性)
Uncertainty(不確実性)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性)

これまでの組織とこれからの組織の違いは、このような形でまとめられます。

株式会社ZENTech 取締役 石井 遼介さん登壇資料より作成

学習する組織づくりに有効な「きっかけ→行動→みかえりフレームワーク」

イベントでは、心理的安全性や心理的柔軟性、サーヴァントリーダーシップ、ACT(Acceptance and Commitment Therapy)、機能的文脈主義…などについて触れながら学術的な視点も含め説明がありましたが、最もコアだと思った部分について取り上げます。

誰かの行動を説明し、行動に対してアプローチする(望ましくない行動を減らし、望ましい行動を増やす)方法として、「きっかけ→行動→みかえりフレームワーク」というものが紹介されていました。

すごく簡単な例だと、こんな感じ。

きっかけ:暑い!
行動:エアコンのスイッチを入れる
みかえり:涼しくなってハッピー!

行動の変化:暑いと感じたらエアコンのスイッチを入れる可能性が上がる

なんというわかりやすさ!
一方、ヒトは近接的な見返りを重視するので、筋トレは続かないし、ミスの報告をして怒られたら、「ミスしたこと」よりも時間的に近接な「報告」への動機付けが下がりやすい、というのも納得です。

このような形で周囲の人の行動を分解し、理解することで、トラブルやインシデントをきっかけに、組織をよりよい方向へ動かすことができるというのは、大変参考になりました。

人に依存しない採用・育成システムを「方程式」で考える

組織をいつまでもフレッシュな状態に保つために最も簡単な方法は、メンバーを新規追加したり入れ替えたりすることです。

また、人材が流動化する中ではオンボーディング(新規採用から「一人前」の状態まで早く持っていくこと)が重要になります。

セプテーニでは、ジュニアを育てる風土から、ジュニアを育てるシステムを目指す、すなわち再現性の最大化を目指して、
以下の数式によって成長を表現し、それぞれのデータをデジタル化した人事システムから取得できる仕組みを実現しているとのこと。

成長=個性×環境×(チーム+仕事)

具体的な中身は、同社が無料公開(!)しているwebアプリの説明から確認できます。

また、社員からデータを取得するにあたり、個人情報の利活用について定めた「デジタルHRガイドライン」を策定し、社内に公開しているとのこと。
いわゆるリクナビ問題を通して、分析の透明性がより求められる状況になっている中で、かなり先進的な取り組みをされていると感じました。

カルチャーを伝播するハンドサイン

チームとは、共通の目標や問題を共有しているグループである、ということは序盤に触れました。
また、ダイバーシティがいい方向のパワーを生み出すには明確なビジョンが必要であるということは、以前のエントリでご紹介しました。

これに関連して、株式会社 日本データサイエンス研究所 代表取締役社長 CEO 加藤エルテス聡志さんがお話されていたことが印象に残ったのでご紹介します。

同社では、カルチャーとしての行動規範が明文化されていて、かつそれがハンドサインとして流通しているとのこと。例えば、「役職にこだわらず発言しましょう」という行動規範を一本指と決めて、会議の場でそのハンドサインを出すことで、改めて意識を向けさせる…というものでした。

アナログかもしれないですが、加藤さんのお言葉を借りると「TCP-IPのように、プロトコルが共通していると通信速度が向上する」というような効果は大きいように感じます。自分が組織を率いる立場になったときにぜひやりたいと思える内容でした。

全然網羅できてない…詳しくはこちらに

みっちりと学ぶことができた約2時間でした。すべてのトークについてまとめるのが難しかったので、気になった方は主催者さんのイベントレポを読んでいただければと思います。登壇資料もてんこ盛りです。

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