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東海道新幹線「#シンカンセンスゴクカタイアイス」で見えた 旅の便利さと失ったもの

東海道新幹線で2023年10月31日、ワゴンサービスによる車内販売が終了しました。実は厳密には終了していないのだけれど、それについては後述します。

その後の11月半ば、東海道新幹線を利用する機会がありました。ワゴンサービスなきあと、一体どうなったのか。自分なりに利用して思ったことを書きます。

アイス自販機、支払いで慌てる

まず、出発の新大阪駅。ここの新幹線ホームに「スジャータ」のアイスクリーム自動販売機がありました。これぞ「#シンカンセンスゴクカタイアイス」のアイスクリーム。

新幹線のアイスクリームはこのスジャータでないとダメなのです。いや別に何でもよいんですけどね、こだわる人はこだわるわけで。

朝早かったのもあり、ここでは迷った末に我慢して買わず、「のぞみ」の自由席に乗り込みました。そして1時間弱で、名古屋駅に到着。次の「こだま」までの待ち時間は10分。自由席の車両に向かってホームを歩いていると、またしてもスジャータの自動販売機が目の前に現れました。

東海道新幹線・名古屋駅上りホームの自動販売機。コーヒーも「SHINKANSEN COFFEE」

一度は我慢しても、二度も遭遇するとはなにかの縁でしょう。静岡まで所要約1時間ほど。アイスクリームを食べるのにもちょうどよい時間です。

自販機を前に、ええいっ!とバニラのボタンを押しました。そして、代金の340円を支払おうとすると「キャッシュレス決済専用」の文字。手元のあったスマートフォンのICOCAで決済しようにもうまくいかず、後ろに人が並び始めて「まずい・・・」と焦りまくり。

仕方なく、財布からクレジットカードを取り出し、タッチ決済。ゴトンとおなじみのカップが落ちてきました。スプーンはその取り口に大量にあり、取り忘れようもなく。

#シンカンセンスゴクカタイアイス が固くない⁉

新幹線が入線するまでしばらく観察していると、平日午前の時間にもかかわらず、自販機で買っていく人が絶えません。しかも、スーツ姿のサラリーマンがスマホで自販機をしっかり撮ってから買っていきます。

横のコーヒーの自販機があり、セット購入も多々おられました。コーヒーとアイスクリームの組み合わせ、これぞ新幹線出張マン御用達の最強コラボは健在。

アイスクリームにスプーンが簡単に刺さる。以前は固すぎてすぐに食べられなかった

名古屋発のこだま、自由席は空席だらけ。アイスクリームをテーブルに置くと「んっ?固くないぞ」と気づきました。ふたを開け、スプーンですくって食べると、ちょうどよい固さ。

もちろん固くないのはありがたいのだけれど、何か違うなと思いつつ、あっという間に完食。その美味しさは不変でした。

カチコチこそ新幹線の醍醐味だった

新幹線に乗り、座席で回ってくる車内販売を待ち、カチコチに凍ったアイスクリームと熱々のコーヒーを買い、食べられる程度に溶けるまでにひたすら待ち続ける。この流れこそ「#シンカンセンスゴクカタイアイス」であり、新幹線で旅する醍醐味でした。

自分の記憶にある4歳の時、東北新幹線が開業して仙台から大宮、そして東京から新大阪を幾度となく往復し始めてから40年あまり。新横浜駅を過ぎてすぐ買っても名古屋駅の手前までカチコチで食べられなかった、そんな「不便」な思いをしたからこそ、何年経っても覚えているわけです。

静岡駅構内の新幹線改札通過後の売店。自動販売機より20円安いが、カップが違う

ちなみに、自販機で冷やしてもカチコチにならず、あれはドライアイスで冷やさないといけないとのこと。そういえばそうだなと、それは納得。

なお、グリーン車だとモバイルオーダーでき、「#シンカンセンスゴクカタイアイス」もあり、カチコチに凍った状態で提供されます。さらに、駅の売店で買えることも。手に入れること自体は、とても簡単になったわけではあるけれども・・・

旅は便利だから良いとは限らない

東海道新幹線のワゴンサービスは、1964年の開業時から始まり、60年もの歴史があったとのこと。自分が歩んだ人生よりも、ずっと長い。思い返せば、新幹線に慌てて乗っても、お弁当やお土産をワゴンサービスで買えたし、なによりアイスクリームが楽しみでした。子どものころからずっと、そして大人になっても。

時代とともに、旅のスタイルも変わりゆく。それは仕方がないこと。かつてあった食堂車やビュッフェがなくなった時も同様で、新幹線に乗る時のささやかな楽しみが、また1つなくなってしまいました。旅は便利だからよいとも限らないなと。



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