サトウサオリ

交換様式Dの世界を徘徊する、文学という妖怪。日本近代文学が日本人と日本語にかけた呪いを…

サトウサオリ

交換様式Dの世界を徘徊する、文学という妖怪。日本近代文学が日本人と日本語にかけた呪いを解く。拡張家族Cift。読まずにスキは押しません。 https://twitter.com/saori_akita

マガジン

  • 蝶々の採餌

    連載中の小説「蝶々の採餌」をまとめました。会員制銀座のクラブを舞台にしたSF小説です。

最近の記事

  • 固定された記事

Dの世界の日本文学を真剣に考えてみた/『力と交換様式/柄谷行人』読書感想文

画/透視 Clairvoyance /村上隆 より   10年ぶりに長編小説を書いています。ここ半年間は小説の題材を求めて、高野山で結縁灌頂を受けたり、ChatGPTにメタフィクションを書かせたり、AV監督さんとその仲間たちと対話したりと、とても自由な時間を過ごすことができています。中でも、学生時代に学んだ本、好きだった本をもう一度手に取ることができたことは、幸いでした。 その流れから、今回柄谷行人の最新作『力と交換様式』を読みました。なかなか読み応えのある読書体験となり

    • 哲学対話のお誘い/問い『災害と被災』

      王子駅近くのシェアハウスにて、哲学対話 を行います。 2024年、私は年始からモヤモヤしています。哲学対話をすることでそれは晴れるかもしれないし、晴れないかもしれません。 この問いを投げることは、私にとっては実直で、自分に誠実であることに繋がっています。2024年1月の終わりにこのテーマを扱うことの意味を味わいながら、良い時間にできれば良いと思っています。 今回の問い 【災害と被災】 日時: 1/30(火)19:00~22:00 場所: JR京浜東北線 王子駅 北口集

      • エッチなビデオを観て感動して泣いた話と哲学対話

        今年は哲学と宗教をテーマに記事をいくつか書きました。振り返れば、なるべくロジカルで筋道が通ったときの気持ちよさを大切に、少しでも深く重く暗い所に潜るように記事を書いた1年でした。それは小難しく、ちょっと厄介な、そんな記事だったかもしれません。そしてそんな2023年ラストを飾るnote記事は、振り切って猥談です。 はい、未成年と苦手な人は回れ右! 実をいうと私もそう。どちらかというと性的なことに対して罪悪感の強い人間です。 いやしかしちょっと待て。食べることも眠ることも私

        • オノマトペルの音楽世界が好きだ.最終回/渋谷で幻想・銀河・夏祭りを作るということ

          vol.3から続く 『ミュージシャン仲間以外にも、ジャンルを超えてアーティスト仲間が集合しましたね。』 ローラ「そうなんです!竹あかりのCHIKAKENはステージ装飾と竹あかりを、こどもDIY部というプロジェクトでこどもたちの自由工作の場を作っているティンカリンガタウンは、こどもたちがマイクラで設計したオリジナル櫓を作ってくれましたし、VJの工藤シンクも映像で魔法をかけてくれた。竹あかりチームも、こどもたちも、芸術家として誘い、コラボしたかったんです。 こどもも大人も、ものづ

        • 固定された記事

        Dの世界の日本文学を真剣に考えてみた/『力と交換様式/柄谷行人』読書感想文

        マガジン

        • 蝶々の採餌
          8本

        記事

          オノマトペルの音楽世界が好きだvol.3/仲間たちと作ったTOKYO天の川のこと

          vol.2から続く 『何ですかそのキュンなエピソードは・・・!お互いの音楽に惹かれ合うところからはじまったんですね。』 工藤「はい。最初ローラにメールするときは緊張して何日間か送ろうかどうしようか迷いました(笑)」 ローラ「それは初耳でした(笑)、でも初めて聴いたとき、お互いの世界観が合わさったら深みのある曲の世界ができるって確信しました。」 工藤「ほんと、いいのか悪いのか(笑)いわゆる売れやすい、わかりやすい曲じゃない。でも、そういうわかりやすさより世界観を大切にしました。

          オノマトペルの音楽世界が好きだvol.3/仲間たちと作ったTOKYO天の川のこと

          オノマトペルの音楽世界が好きだvol.2/和の楽曲の秘密

          『オノマトペルの曲を聴いていると、和の要素と、洋の要素のバランスがいつも絶妙だな~と感じます。懐かしさも感じますが、ライブ会場やカフェで聴いても耳馴染みが良くて最高です!こういう和洋折衷の要素のルーツやアイデアの源泉、ここを聴いてほしい!というポイントをぜひ教えてください。』 工藤「セットリストによく入れている、『百鬼夜行』『ありをりはべりいまそかり』のサビで出てくるペンタトニック・スケールがそう感じる要素かもしれないですね。土着的な音楽にスケールは和とも取れるペンタトニック

          オノマトペルの音楽世界が好きだvol.2/和の楽曲の秘密

          オノマトペルの音楽世界が好きだ/Vol.1

          シンガーソングライターの横沢ローラと、ピアニストの工藤拓人の音楽ユニット『オノマトペル』。彼らの音楽はいつも”ボーダーライン”を越えていく。 それは、隣人や大人と子供の心の壁だったり、言葉の壁だったり、アーティスト同士のジャンルの壁だったり、越えたらちょっと心が温まるそんな音楽が多い。 そしてさらにその先には、西洋と東洋の国境だって、宇宙の次元の壁だって越えちゃいそうなパワーがみなぎっている。その姿は夜空を駆ける銀河鉄道だったり、かわいい割に俊敏な猫だったり、目に見えない

          オノマトペルの音楽世界が好きだ/Vol.1

          高野山結縁灌頂を経てChatGPTと対話する/曼荼羅とインターネット網の関係について訊いてみる

          高野山にて春季胎蔵界結縁灌頂を受けてきました。 高野山の僧侶と参加者の真言が堂内で反響し、エフェクトする様は圧巻でした。教えてもらった印を組みながら、自分も真言を唱え、目隠しをして歩きます。 前の人の背中に指を当て、その感覚をたよりに歩くことになります。 そして僧侶に誘導され、樒(しきみ)という華を曼荼羅に落とす投華(とうけ)を体験できました。 樒を落とした先には曼荼羅があり、自分と縁を結んでいただける仏さまがいます。そこで自分が見たものは密教の決まりで誰にも話してはならない

          高野山結縁灌頂を経てChatGPTと対話する/曼荼羅とインターネット網の関係について訊いてみる

          それは変化し続けるそれはあらゆるものと関係を結ぶそれは永遠に続く/意味の無意味の意味

          『それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く』 作家:宮島達男 赤い光を放ちながら点滅する無数のデジタルカウンター。その数字は様々な速度で1から9まで数えたのち、0の代わりに闇が表示され、また1から数え始める。なかには9まで数えた別のカウンターからの信号を受けてカウントするものもある。 カウンターひとつひとつを個人に、その集合である全体を組織とみることもできるし、また世界の国々と地球、地球と宇宙、あるいは細胞と個体、砂粒と砂というようにさまざまなもの

          それは変化し続けるそれはあらゆるものと関係を結ぶそれは永遠に続く/意味の無意味の意味

          明るく正しい作品だけが人を癒せるわけじゃない

          「やばい、もう限界かもしれない・・・」 認めたくない、まだ認めていないけれど、僕はどうやら少し鬱っぽい。 僕は夢だったSEになれたのもつかの間、入社した会社は超ブラック企業で残業に追われる日々を送っていた。毎朝鉛のように重い身体を無理矢理叩き起こし、ぼんやりした頭でコードを書く日々を送っている。 少し気晴らしをしようと美術館を訪れた。なるべく明るい雰囲気の展覧会を選んだ。六本木ヒルズの森美術館で開催されていた、村上隆という現代アーティストの展覧会だった。 色とりどりの

          明るく正しい作品だけが人を癒せるわけじゃない

          youtube小説家だった私がAIが書いた小説なんて全然怖くない理由

          売れたいと願ってしまった物書き志望者にとって、世界は地獄です。 なぜならば、驚くほどに物書き志望者はどこにでも溢れていて、売れたいと願ってしまったとたんに「早い」「安い」の価格競争が始まるから。そして承認欲求を満たすための「やりがい搾取」が始まるから。 その上、最近ではAIが文章を書くのも少しずつ知られて来るようになりました。「早い」「安い」で勝負していたら、機械には勝てない。もう、すり減らして切り売りする「やりがい」さえ枯渇してしまいそう。 でも私は今、AIが書いた小

          youtube小説家だった私がAIが書いた小説なんて全然怖くない理由

          戦前を生きる私たちに必要な自己共感の力

          私たちは今『戦前』を生きていると感じることが、最近増えている。 隣の国の弾劾ミサイルのニュースに「またか」と思うようになったのは私だけじゃないはずだ。先日はそのニュースと同じ日に、ミサイルと同じ方向に落下していく火の玉が地上の固定カメラで撮影されていたそう。平和が当たり前の私達の目と鼻の先に実は有事は迫っていて、ある日頭の上に火の玉が降ってきてもおかしくないような気がしている。 そんな時代を生きる私たちに、まず最初に必要なのは、自己共感、自分で言葉にする力、自分と対話する

          戦前を生きる私たちに必要な自己共感の力

          渋谷・煩悩の街を走るということ/異生羝羊心なう

          深く深く深く自分を知るということは、遠く遠く遠くから自分を観るということなのではないか、という予感がある。 この予感は、今私が生活の中で縛られている思考の枠、言葉の枠の外に出られる予感、と言い換えられるかもしれない。枠の外には、もう少し豊かな世界が広がっている気がする。それが何かはまだわからないけど。 この予感と共に、私は今、京都のお寺と、高野山に修行に行こうとしている。今は渋谷で暮らしているのだけれど、東京でのサラリーマン生活がどうにもしっくりこなくなってしまったからだ

          渋谷・煩悩の街を走るということ/異生羝羊心なう

          もののふナイトパレード オノマトペル×中塚武@月見ル君思フ

          彼らは大人なのか子供なのか、正解はどっちなんだろ? 拡張家族の横沢ローラのオノマトペル×中塚武ライブを観に青山の月見ル君思フへ。 アンデルセンや宮沢賢治、ファミコンのパックマン、伝説の猫が出てくる子供の世界にトリップしたかと思えば、超絶技巧のピアノ、ハイセンスなアレンジ、そしてステージ上での音楽仲間への気遣いは、大人の矜恃。 ライブの度に、次から次へと素敵な音楽仲間が繋がっていくのは見ていて私も幸せになった。きっとこれからも、ナイスな仲間たちと惹かれ合って、連れてきてくれ

          もののふナイトパレード オノマトペル×中塚武@月見ル君思フ

          特撮女子の結婚 第四話

          あらすじ:地方ローカルテレビ局で広報担当をしている美妃は、その地方のローカルヒーローを紹介するニュース番組の制作の中で、ヒーローや怪人の造型をひとりで担当する女の子・つばきと出会う。女子力どころか、造型に集中するあまり、不健康・不衛生でめちゃくちゃな生活を送るつばきに美妃は度肝を抜かれるが、その真摯に造型に向きあう様や考え方に魅せられながら、尊敬の念を抱くようになる。 「以上を持ちまして、本日のロケは終了させていただきます。おつかれさまでした。」  鵜崎さんが組んだスケジ

          特撮女子の結婚 第四話

          特撮女子の結婚 第三話

          あらすじ:美妃はキー局の女子アナ試験に失敗し地方ローカルテレビ局で広報担当をしている。その地方のローカルヒーローを紹介するニュース番組の制作に携わったある日、ヒーローや怪人の造型をひとりで担当する女の子・つばきと出会う。女子力どころか、造型に集中するあまり、不健康・不衛生でめちゃくちゃな生活を送るつばきに美妃は度肝を抜かれるがーーー。 「乾いちゃえば無臭になりますが、液体のうちはダメですね。アンモニア強いんで直接嗅ぐと気絶するかもしれません。怪人の材料です。これに塗料を混ぜ

          特撮女子の結婚 第三話