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かてぃんピアノに会ってきた

かてぃんピアノ(Upright Piano Projectの企画の詳細はこちら)が、スタインウェイ&サンズ東京に期間限定で置かれることを以下の記事で知ったので、本日かてぃんピアノに会いに行ってきました。以下撮影した写真(と演奏動画リンク)を中心に日記風の記録を残したいと思います(後半にシンガポールで会ったピアノについても少し触れています)。

かてぃんピアノに対するご本人の思いについては、Ontomoの記事から引用しておきます。

「グランドピアノは音を外に向けて飛ばすために出すが、アップライトピアノは音を遠くに飛ばす必要がない。そこには自分とピアノの個人的な空間がある。懐かしさや、やさしさに包まれるような、自分の内にむかう感覚。誰かに聴かせるためではなく、自分のために弾くピアノを、多くの人に経験してほしい」

Ontomo

Reimagineツアーでは、聴衆の私も、かてぃんさんとアップライトピアノとの静かな対話を、小さな部屋のなかでそっと聞かせて貰えたような特別な感覚を持ちました。今回、かてぃんさんが全国一緒に旅した戦友同然のピアノを、誰でも弾かせて頂けるという案内を見て、そんな貴重な機会を逃す手はない!ということで、本日会いに行ってきました。

運悪く、電車のダイヤが大幅に乱れており、予定していたより遅くなり、17時20分くらいにスタインウェイに到着しました。先に来て並んでいた友人が最後尾だったので、その後ろに並びました。

私が到着した時は、かてぃんピアノが置かれているホールに約20名、ホール外に私たち含めて約10名が並んでおり、かてぃんピアノに会いたい、触ってみたい、音を味わいたい、と考える方が思った以上に多いことに胸が熱くなりました。

私が弾かせて頂くのは難しいと思いつつ、一応順番待ちの列に並びながら、ホールから漏れ聞こえてくる、皆さんが思い思いに弾くかてぃんピアノのやさしく&柔らかく&あたたかい音色に癒されました。

かてぃんピアノは左側の壁側に設置

1人5分程度とのことでしたが、ピアノを少し触って、かてぃんピアノと一緒に写真を撮っておわり、という方々も少なくなく、私は18時05分くらいには弾く順番が回ってきました(本来、弾ける時間は16時から18時まででしたが、それまでに列に並んだ人は弾けるようスタインウェイの方が種々配慮をして下さっていたようです)。

ホール入ってすぐの案内

このホールはかてぃんチャンネルやメディア記事でもよく目にしてきた場所ですが、実際に自分が足を踏み入れるのは初めて。ホールには20席ほど椅子が並べられており、ピアノを弾くのを待っている方々が座っていました。

アップライトピアノプロジェクトの看板(ホール前方に設置)

私の後ろにもまだ5, 6名の方々が待っており、弾く予定の曲(ショパンのノクターン遺作)が少し長い(約4分半)と感じたので、かてぃんさんがReimagineで柱の一つに据えたバロック音楽の短い曲を弾くことにしました。

かてぃんピアノ(正面から)

かてぃんピアノの背後には、私が中高生の頃、夢中になって聞いていたポリーニ、今でも大好きなツィメルマンがいて、3人のピアニストに囲まれているとも言える状況。畏れ多いと同時に嬉しくもあり、興奮する気持ちを抑えつつ、かてぃんピアノに向かい、ヘンデル作曲(ハルヴォルセン編曲)のパッサカリア、ピアノver.を弾きました(約2分半)。最近、YouTubeでパッサカリアのピアノ演奏を複数見つけて、とても気に入り、何とか耳コピ目コピして、弾きやすいように適当にアレンジしたものです。

かてぃんピアノの鍵盤の表面は、ピカピカ(でツルツル)していて、タッチはどちらかというと少し軽め(でも適度な軽さで、軽すぎる訳ではない)。音色は全体的にやさしく、あたたかい。高音域は、素人が弾いてもキラキラした音色で、弾きながらうっとりした。かてぃんさんと按田さんが拘り抜いて、生み出した多彩で奥行きのある音色、実際に弾いてみることで、より深く味わうことができました。

10数名の方々がホールにいて、ミニ発表会みたいな雰囲気だったので、少し緊張し、ミスタッチもしましたが、あたたかい音色に包まれて、まさにピアノとの2人の時間を過ごせ、幸せな気持ちになりました。

かてぃんサインとポリーニとツィメルマン
かてぃんサイン(正面)と奥にはもう1台のスタインウェイ

友人が、かてぃんピアノの斜め前の位置から撮影してくれ、弾いている最中はあまり余裕がなくて見られなかったクリア板の内側のハンマーの動きなど、帰宅後に動画で見られ、良い記念になりました(演奏動画の前半はこちらに上げてみました)。

角野さんがReimagineのツアー中、暗闇の中、左手で器用に操作していたレバー(フェルトの上げ下げ)を、私も真似て音色の違いを味わってみたかったですが、それは時間的な制約があり、今回は叶わず。。。

ハンマーと弦の間に挟まれたフェルト布の位置を変え音色を変えるレバー(触っていいかを聞く時間がなく、レバーの撮影だけ)
内部の拡大図

上記、高音域のセーム革に貼られたセロハンテープは角野さんが拘ったと話していた記憶があります。写真は、光ってしまって分かりにくいですが、一番高いオクターブのセーム革が他と違い、ちょっとヒラヒラしているのはテープだと思いました。

かてぃんさん、調律師の按田さん、スタインウェイ&サンズ東京の皆さま、このような素敵な企画を立てて下さり、心から感謝申し上げます。また弾ける機会があることを願って、ピアノの練習を頑張りたいと思います。

かてぃんピアノの正面(アップ)

番外編: かてぃんピアノの仲間?!

今年3月半ばにシンガポールに出張した時に、空き時間に会いに行ったTemask Shophouse(Webによると、社会的・環境的な活動を盛り上げていくスペース;国連SDGの達成に向けて活動をしている非利益団体が運営)に置かれているピアノも、ハンマーの動きなど、内側が見られるようになっており、Reimagineツアーの直後のタイミングであったため、かてぃんピアノを彷彿させ、異国の地で懐かしくなりました。

補足:シンガポールは、日本より早い時期からパブリックピアノ(日本で言うストリートピアノ)が街中におかれるようになり、住民や観光客が自由に弾くカルチャーがあるようです。特徴的だと思ったのは、病院のロビーや高校、大学などに置かれている比率が高いことです。音楽に触れる機会を増やしたいと考えられているのでしょうか。私も最近、2回の訪問で、計5台のピアノを弾く機会に恵まれました。

シンガポールのカワイピアノ
正面からの姿

ピアノの側面には、かてぃんさんのサインのように、ピアノの寄贈者や関係者の名前の他、ピアノを通じて、音楽に込めた思いが刻まれていました。

"ほとんどおとぎ話のような音をあなたに見せたい"という最後の文言(we hope to show you the secret behind the wonder making these of almost fairytale like sounds)は、かてぃんピアノのコンセプトにも通じるところがあるなと思いました。

ピアノの側面に刻まれたメッセージ

こちらは1928年に建てられ、2017年に再建された歴史のある建造物で、現在はオフィスや住宅として使われており、ピアノが置かれたスペースは公共のスペースとなっており、天井が高く、非常に気持ちのいい空間でした。

ピアノは大事に保管、メンテナンスを施されていて、味わい深い音色でした。かてぃんさんが編曲した「ふたたび」を弾いたら、ピアノの背後にあるカフェの店員さんたちが拍手してくれ、うち、1人はやさしい言葉をかけてくれ、異国の地であたたかい気持ちになりました。

ピアノが置かれた空間(この後ろにカフェ)

(終わり)

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