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親孝行とは

1時間ほど前、僕は富山県南砺市に着いた。
昨年10月末の、富山マラソン以来、訪れるのは2回目だ。

外ではカエルが鳴いている。

明日はTOGA天空トレイルランというレースで、ミドルのコース(35km)を走る。いつも通りなら、テンションの高まりで少々眠りにくいはずだ。 

しかし、今回は違う。

宿の扉を開けた瞬間、とてつもない虚無感に襲われた。
あんなに楽しみにしていた明日のレースが、全然楽しみじゃない。

なぜか。

本来ならここにいるはずの、両親がいないからだ。

昨年の富山マラソン前日、
福光のTSUBAKI HOUSEに泊まって、
近くのだるま寿しに入って、
みんなで寿司を食べていたときにふと思った。

「親をここに連れてこよう」

今までしてきた親孝行は、ちょっとした店で食事をご馳走したくらい。
自分でもどこで何を食べたか覚えていないくらい、親孝行らしいことはしていない。

社会人になって足掛け5年。

9割9分の時間とお金を、自分のためだけに使ってきた。
それがある時から引っ掛かっていた。

別に今でなくてもいい。
でも、両親ともに若くない。

今、ちょっと無理をしてでも、
ドンと一発親孝行をしておかないと、
一生後悔する気がする。

そんなことを思った。

帰りの新幹線で、
完走メダルの写真と共に、
母親にLINEを送った。

「今度さ、富山行かない?」

そうして決まった今回の富山行き。

紹介してもらった宿を3名で予約して、
会社のグーカレにも予定を入れて、
新幹線のチケットを取る日のリマインダーもセットした。

せっかくだからRuntripをしようと思った。
自分が心底好きなカルチャーが何なのか、少しでも知ってほしくて、
TOGA天空トレイルランにエントリーした。

レースの間は適当に観光してもらうつもりだったけど、母親は「応援できないの?」と言ってきた。幸い、明日のレースは応援バスが出ているから、それは実現可能だった。

でも、明日は誰も来ない。

3人で泊まるはずだった宿にも、自分しかいない。

今晩喋る相手もいないし、
応援してくれる人もいないし、
ゴール直後に祝福してくれる人もいない。

普段なら別に一人でもいいんだけど、とてつもなく虚しい。

なぜこうなってしまったのか・・・・・・

詳細は書かないけど、もう、どうしようもなかったと思う。
どうにかできたなら、どうすればよかったのか知りたい。

※どちらの親も死んでない。生きてます。

両親を連れてだるま寿しに行く予定だったけど、
地元のスーパーの寿司で夕食を済ませた。

(心は虚しいのに、悔しいかな、寿司は旨かった)

寿司の旨さと、無音の空間が、虚無感を増幅させてくる。

たまらずラジオをつけて、
FMとやまを聞きながら、
ブログを書くことにした。

今の気持ちを全部書き出してみたら、
ちょっとは虚無感がなくなるかと思った。

こういったネガティブなことはあまり書かないようにしているのだけど、どうしようもなくて、今回は書いてみた。

思えば、両親の年齢は理由の1つだったけど、それ以外にも理由はあったかもしれない。親孝行をしていない自分と、SNSに家族旅行の写真をupしている同世代を比較して、

「早く親孝行をしなくてはいけない」

という強迫観念に駆られていた気がする。

でも、両親を旅行に誘っていなかったら、とてつもなく後悔したのだろうと思うと、自分のアクションは間違っていないかったとも思う。

今回こうなったのも、きっと何かの運命なのだろう。

今回はこうなってしまったけど、もしも自分が親孝行を果たせる運命ならば、また別のかたちで親孝行ができるはずだ。


最後に、ここまで読んでくれた人に1つ聞きたい。

「親孝行って、なんだと思いますか?」

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