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Seestar S50スマート望遠鏡

いまどきのDSO(ディープ スカイ オブジェクト)天体写真を撮ろうとすると望遠鏡本体、CMOS、電動赤道儀、三脚+PC+電源となり、安くて30~50万円にはなります。(上は車一台分!)
そこに登場したスマート望遠鏡は25~65万円で予備知識なくDSOが撮影できるので話題になっています。

全天撮影からDSO、惑星までの様々な天文用COMSカメラを製造販売しているZWOが2023年3月に発表したスマート望遠鏡Seestar S50は記念価格はなんと65,340円でした。
望遠鏡、CMOS、電動経緯台、オートフォーカサー、バッテリーがマイコンで統合されています。
三脚も付いているのでスマホがあればDSOが撮影できます。
5リットルほどの本体と三脚だけのシンプルな構成です。
2023年11月には価格は82,300円に上がりましたがまだ「安い」です。
ポイントを列挙すると以下の通りです。

  1. 安い
     とりあえず、問答無用な安さです。
     眼視用であればこの値段でできますがDSOの写真を撮るとなると技術的に別次元です。
     デジカメの値段と比べても安いことがわかります。

  2. アライメント不要
     天体望遠鏡を扱うときは東西南北を把握しないと星を追いかけるのが難しいのですがSeestar S50は電子コンパスを内蔵しています。
     天体写真を撮影する際は赤道儀を使うのが一般的で、星の配置の知識がないとアライメント(極軸合わせ)ができませんが、Seestar S50は水準器や星図も内蔵しているのでアライメントが不要です。

  3. 観測姿勢が自由
     天体観測では天体導入やアイピースを覗くときに無理な姿勢を強いられることがあるのです。
     Seestar S50にはアイピースは無くてWi-Fi接続のスマホ/タブレットで操作や撮像の確認を行うので自由な姿勢で操作や観察ができます。
     Wi-Fiの範囲で離れることができるのでSeestar S50を戸外において自分はエアコンが効いた屋内で横になって観測することも可能です。

  4. 星図から直に撮影対象を選べる
     星空に適当に望遠鏡を向けてもDSO(ディープ スカイ オブジェクト)が見えるわけではないので従来は星図を読むか頭に入れておく必要がありました。
     Seestar S50はアプリ上に提示されるおすすめ天体を選ぶだけで自動で対象を導入してくれます。
     比較的目立たないDSOもアプリの星図上あれば指定して観察できます。

  5. 誰でも天体写真が撮れる
     従来の天体写真は同じ構図で何枚もデジタル撮像を行い、撮像素子の癖を取り除き、撮像を位置合わせ合成し、適切に画像処理します。
     特に撮像素子の癖を取り除くキャリブレーション作業は面倒なので適当に仕上げるときには省いてしまうほどです。
     Seestar S50はこれらのプロセスを自動で行うので画像処理を意識することがありません。

  6. シンプル
     従来の天体写真撮影では暗闇で小物を扱いので落とし物のリスクが付いて回ります。
     夜間のフィールドにSeestar S50を持ち出すとき必要なのは本体と三脚だけで、あとはアプリを入れたスマホ/タブレットだけです。

デメリットもないわけではないです。

  1. 天体の配置を憶えない
     カーナビを使っていると道を憶えないのと同じです。
     オメガ星団は撮影できても北極星を知らない事態が発生しえます。

  2. 撮影の視野は固定
     画角は約0.7°×1.3°固定です。
     月・太陽が0.5°なのでいいサイズですが、M57リング星雲は0.023で小さいですし、M31アンドロメダ銀河は3°もありはみ出します。

  3. 撮影構図が固定
     構図はスマホの縦で固定ですのでM45すばる・プレアデスが時期によってはピッタリ入る時期とはみ出す時期が出ます。
     天体写真のお約束であるノースアップも行われません。

  4. アプリの天体しか見ない
     アプリにはおすすめ天体やジャンル別天体が整理してありますが、それ以外は見なくなります。
     つまり、飽きる可能性が高いです。

  5. スマホ・タブレットのアプリがないと動かない
     つまり、アプリのサポートが終了するとSeestarS50自体が終了する恐れがあります。
     その場合は後継機への乗り換えになることを期待しますが。

でも到着した日にこれだけ撮れちゃうのです。

 写真の下に自動でタイムスタンプ、対象名、実質露光時間が入ります。
 毎日位置が変わる彗星も最新データで一発導入できます。

V1.12.0(ファームウェア1.91)

 惑星への対応が始まりました。
 スチルの明るさが変えられるようになりガリレオ衛星も木星の縞も確認可能になり、動画での記録もできます。
 土星の環の分離は無理そうですがラグビーボール状態には見えます。

V1.13.0(ファームウェア2.01)
新機能
・プラネタリーモード ROI 設定を追加
・水平キャリブレーションを追加
・RTSP アドレスの取得を追加(銀河・星雲には非対応)
・露出等機能拡張を追加
・UIをタブレット向けに調整
最適化
・テキストと UI が最適化
・既知のバグを修正
V1.16.2
新機能
・タイムラプスに録画安定化機能を追加
・Seestar ページに手動レンズリフティング機能を追加
・ソーラーモードに手動露出機能を追加


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