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春眠暁を覚えず

春眠暁を覚えず(しゅんみんあかつきをおぼえず)
処処啼鳥を聞く(しょしょていちょうをきく)
夜来風雨の声(やらいふううのこえ)
花落つること知んぬ多少ぞ(はなおつることしんぬたしょうぞ)
   
    

昨夜からの雨がようやく上がりそうだ。
桜雨、花散らしの雨、思い返してみると桜の開花に合わせるように雨が降ることが多い。
はじめてこの詩に触れたときは「春眠暁を覚えず」の一節への共感が強かった。春は眠い。ゆっくりと朝寝がしたい。そんな気持ちが強かった。眠いのは別に春に限ったことでは無いのだが、ぽかぽかとした日差しやゆっくりと進む空気の温もりが眠気を連想させていたのだと思う。
しかし、先日久しぶりに会った知人に「今に天候にぴったりだよね」と言われてはっとした。雨音を聞きながら眠った朝、鳥の声が太陽の存在を感じさせて空が晴れたことを知る。そういえば桜はどうなっただろう…
まさに、今頃の天候を鮮やかに切り取ったような詩ではないか。
こういった詩の形態を五言絶句と呼ぶ。漢文の為、日本語の書き下し文として翻訳するときどうしても誤差が生じるらしい。この詩に関しては最後の一節の解釈が分かれている。今回は私が読み慣れた形で掲載させていただいた。
一度、声に出して詠んでみてほしい。
千三百年以上も前の作品とは思えない臨場感を感じるのは私だけではないと思う。

「春暁」 孟浩然 

春眠不覚暁
処処聞啼鳥
夜来風雨声
花落知多少


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