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肉体は意味を持ち続けるのか?

書きたいことが湧いてきすぎて
収拾つかないから意図的に避け続けてきた
好きなアニメ「攻殻機動隊」について
今回は書きます。いつもより長いです。

2024年も早いこと1か月が過ぎてしまい、
もう2月。
2024年2月といえば…「笑い男事件」
攻殻機動隊 SACシリーズで描かれた近未来に
現実が追いついてしまった。

ドラえもんと同じく現実の21世紀は
夢を持った大人が想像してきたほど
ハイテクではない。
それでも、攻殻機動隊は
昨今の人間性や世間の問題を
かなり明確に描いているなと思う。

・SACとは

まず、タイトルにもなっている
「STAND ALONE COMPLEX」について。
IT用語の“STAND ALONE”という
装置機器やソフトウェアを、
他の機器やシステムには接続せずに
単独で使用することで、孤立を意味する単語に
“COMPLEX”という単語を組み合わせた
造語であり、作中での意味としては

電脳技術という新たな情報ネットワークにより、独立した個人が、結果的に集団的総意に基づく行動を見せる社会現象を指し、孤立した個人(スタンドアローン)でありながらも全体として集団的な行動(コンプレックス)を取ることを意味する。

Wikipediaより

とある。

もうここで恐らく一部の人は、なんのこっちゃ?となると思うんですが
SNSで誰もが発言権を持ち、
自分とは直接関係のない出来事にも
偉そうに色々言えて、
かつ、現実で会ったことのない人間が
どこからともなく
誰かの意見や行動に賛同できちゃう、
現実そのものであると考えます。

特にTwitterなんて
連日STAND ALONE COMPLEXが起きてる
といえるでしょう。

ということは、各々がネットの仮想空間でも
自我と発言権を持ち続けるのかというと
そうでもなく、
作中ではSTAND ALONE COMPLEX化が
進むことによって
最終的に社会から個性が消失する可能性
があることが描かれています。

常に情報に左右される現代は、
日常的に洗脳されやすく
自分の意見として発信した事も、
誰かの受け売りだったり
何かの引用だったりする。

情報量が増え続ける世の中では
入れる情報の選択、入れた情報の精査、
発信する情報の裏付け、を
常に個人で行う必要があるが、
正直自分含めて出来ている人の方が
少ないと思う。 

我々は常に情報に洗脳されている自覚を
持った方がいい。

・電脳化と義体化

書いて字のごとく脳みそを義体化することにより
別デバイスを介さず肉体一つでネットと繋がり
感情や視覚情報まで電脳化した者同士で
共有できる事である。

現実はまだ脳みそは生々しい臓器で
肉体一つではネットにアクセスなんて
不可能ですが、
常にスマートフォン等を持ち歩き
情報の出し入れや、
誰かと連絡を取っている日常は
電脳化の一歩手前にあると思う。

合わせて義体化とは少し違えど
整形である程度好きな見た目が
お金で買える現代に、
もっといえば
加工で架空の自分を表現したり
Vtuberといった2.5次元的な存在が
人気を得る中で
老いていく事が確定している肉体は
どのくらい価値があるのか。

そもそも昔から「人は中身」
と言われているように
好きな見た目が手に入りやすくなったからこそ
人間は常に脳みそをアップデートしていく
必要があると思う。

人は訪れもしない近未来に夢や希望を抱き、
技術が進化すれば新しい幸福が
手に入ると思いたがるが、
進化した技術を使いこなすのも、
新しい幸福を認知するのも自前の脳みそである。

電脳化や義体化というと
意識と肉体を切り離して、
思うがままに生きれるような気がするが、
しょうもない脳みそを電脳化しても意味がない。

・世の中に不満があるなら

SAC第一話の初っ端に主人公の草薙素子が発する
「世の中に不満があるなら自分を変えろ!!
 それが嫌なら、耳と目を閉じ、
 口をつぐんで孤独に暮らせ。
 それも嫌なら……。」
という台詞が、大好きである。

端的に「文句を言うな」と
解釈されそうな台詞だがそうではない。
この台詞には草薙素子の葛藤を含めて
時と場合によって意味や効力が
変わってくると思うが、
・不満だけを言うのは簡単
・不満しか言わない人は孤立する
・不満のない世の中なんて存在しない
・不満を言う人ほど自分を変えない
・自分が変わることで
 不満が説得力のある意見や行動になる
といった意味があると解釈し、
堕落しそうな自分に言い聞かせています。

そもそも変容し続ける世の中で
自分を変えないこと自体が
愚昧の始まりだと思います。

・攻殻機動隊 SAC_2045

2020年よりNetflixで配信された
2045年を舞台にしたSACシリーズ。
デザインや登場人物、
内容に関して割と酷評が多い印象ですが、
(そもそもみんな笑い男が好きすぎると思う)
【ダブルシンク】と言う二重思考の
世界を完成させる最終話がとくに好きなのと
とても考えさせられます。

・DOUBLE THINK

タブルシンクとは

二重思考(にじゅうしこう、ダブルシンク、doublethink)とは、ある人が相反する2つの理論にあったら、この2つの理論の間の矛盾点を無視しつつ自然のように受け入れ、他人からその違和感を指摘されても、頑固に矛盾な2つの理論を同時に信じ続けること。

Wikipediaより

”頑固に矛盾な”とありますが、
人間とは矛盾した生き物で
口に出した言葉と実際に頭で考えている事が
異なることなんて日常茶飯事なので、
我々は常にダブルシンクをしながら
生きているといえるでしょう。

攻殻機動隊の作中で描かれるダブルシンクは
現実と空想(自分にとっては理想の世界)を
別軸で同じ時間線に存在させることで、
各々が自分にとって
理想の世界を体験できる、といったものである。

この例えは、当てはまる人とそうで無い人が
はっきりと分かれると思うが、
SNS、ゲームのアバター等で
理想の自分を演じつつ
かけ離れた現実を生きるのは
攻殻機動隊で描かれたタブルシンクと
近いものではないだろか。

作中ではダブルシンクを作り出したシマムラと
ゴーストのない江崎プリン、
主人公の草薙素子には
ダブルシンクの体験が訪れない
現実と空想どちらにも差がない状態となります。

作り出した本人シマムラと、ゴーストのない
所謂人型をしているが人間ではない江崎に
タブルシンクが訪れないのは理解できますが、
なぜ草薙素子にも
ダブルシンクが訪れなかったのか。
その答えをシマムラは
「夢と現実の違いがほとんどない」から
と説明しています。

いや、もう、カッコ良すぎる!!!!
そりゃまぁ草薙素子は
かっこいいにきまってるんですが、
全身義体のサイボーグといいながらも
常にゴーストのささやきに耳を傾け、
余計な情報に左右されず、
誰よりも何よりも芯の通った自我を貫く姿が
いや、もう、カッコ良すぎる!!!!(2回目)

現実は意見や主義、
趣味趣向が合う人ばかりではないので
意図せず争ったり
悪気がなく誰かを傷つけたり、
やむ終えないことの積み重ねですが、
作中で描かれているような
ダブルシンクが成立した世界は、
それぞれの理想の世界が成り立っているので
やむ終えない社会的な摩擦も発生せず、
ある意味みんな幸せな世界を
手に入れることとなっていますが
果たしてこれが正しいのかといわれると、
手放しに大正解!とはいえないかなと思います。

とはいえ
全員の主義を合わせることは暴力的だし、
意見の交換をしても
分かり合えない人って絶対いるのが現実で、
“みんな幸せ”という理想自体が
かなり空想的で現実味がありません。

誰も傷つかない世界
みんなが幸せな現実、は
果たして実現できるのだろうか。

私はもう何年も
自分を傷つけてきた人の幸せを願えるような
立派な人間になりたいけど、なれねぇ!と
幼稚な悩みを抱えていますが、
誰かの幸せを考えたり敬うことを忘れずに
「夢と現実の違いがほとんどない」人間に
なりたいなと思っています。

まだまだ書きたいことは
たくさんありますがこのあたりで…
最後まで読んでいただいた方、
ありがとうございました。
広大なネットに感謝。


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