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発信することが仕事の自信にも。しなやかに行動して楽しむ、子どもとの暮らし。〜イラストレーター・よしいちひろさん

自ら選択し子どもを持つ暮らしを選んだからこそ、家族で健やかに暮らせる環境をつくりたい。その上で、「自分らしい人生」を生きることも諦めたくない。そんな両立を目指す方々にお話をうかがうことで、その生き方やアイデアをシェアしていきます。

よしいちひろさんは、都内で、夫婦と4歳の息子さん、愛犬と暮らしています。2007年から関西でイラストレーターとして活動をはじめ、仕事を増やすため上京を考えていた矢先に、旦那さんの東京転勤が決まり上京。2009年から活動の拠点を東京に移し、2014年に出産しました。現在は、子育てをしながら、雑誌からプロダクトまで幅広い範囲でイラスト作品を提供し活躍されていて、Instagramなどで発信するライフスタイルそのものにも注目が集まっています。

子育てについて発信することが、仕事の自信に

「もともと夫の方が私より子どもを欲しがっていたので、私の妊娠をきっかけに夫は忙しかった職場を退職。保育園入園までの5ヶ月間は一緒に育児をする計画を立てた上で、夫もその期間に転職活動を進めました。最初は、子どもが生まれて“ほっこり”みたいな雰囲気になったり、子育て系の取材も受けたくないと思っていました(笑)。 フリーランスで活動しているので、子育て中ということで仕事が減ったらいやだなという思いもありました。」

そんなよしいさんですが、パリ発の子育て情報メディア「MiLK JAPON」でのダイアリー寄稿や連載『夢見るころを過ぎても』をはじめることになり、心境の変化があったと語ります。

『夢見るころを過ぎても』は、同じく育児中の編集者の高原たまさんと、フォトグラファーの松元絵里子さんとで、リレー形式でお題を出しながら3人でひとつのアートワークをつくりあげるという連載です。

「3人とも共通して、子育てを生活のすべてにするのではなく、自分たちもいきいき仕事をしていたいという気持ちがありました。いざ発信をはじめてみると、スペインの子供服ブランドや、その後ZARAなど大きな仕事の依頼もいただくようになり、新しい仕事につながっていきました。仕事での結果がついてくると当初抱いていたような焦りもなくなり、自信もついて、どんどん発信しようという気持ちが強くなりました。」

そして、今まで知らなかった、お子さんがいてもかっこよく活躍されている女性たちの存在に気がつくようになったそうです。

「私たちより上の世代で活躍されている女性は、子どもを生まずにバリバリやってきたイメージがあったのですが、少しずつ時代が変わってきたなと感じています。自分自身が子どもを持ったことをきっかけに、女性が活躍できる方向を示したり、子どもたちにもっといい世界を見せてあげたいなと思うようになりました。それが活力源にもなっています。
あと、Twitterの発信などで子どもがいると知ると、この人も子育てしながらがんばってるんだという仲間意識がわきますね。当事者でいる期間は限られてるので、子育て期間中にしっかり発信した方がいいと思っています。」

工作に親子ふたり旅。のびのびとした成長をサポート

多忙を極めていそうなよしいさんに、一日のスケジュールを聞いてみると?

「朝6時半頃に起きて、8時に夫を見送り、息子を幼稚園に送りにいきます。その後は、自宅で仕事をしたり、打ち合わせで都心に出かけたりして、17時半にお迎え。帰宅後は、犬の散歩をして、ご飯をつくって食べて、21時頃には大人もみんな寝ています。寝ることが好きで、休日も大人が率先してお昼寝をするくらい(笑)。仕事が残っている時は、3時くらいに起きて朝方に片付けます。
たまに、夫が平日に自宅勤務している日もあるので、そんな時は一緒にランチをとったりしています。」

子どもの話題が多くなりがちな旦那さんとの食事の時間ですが、子ども抜きで夫婦で話す時間も大事にしているそうです。

「子育てについての考え方は、夫婦で大枠は似ているんですが、細かい部分は違っていて。お互い気になることを言い合って、子どもとの接し方や夫婦の関係を調整しています。
子育ては子どもの個性に寄るところも大きいのですが、息子はどちらかと言うと大人のことをよく見ていて言うことを聞く方なので、のびのび育ってほしいなと思っています。」

<ご夫婦の今年の書き初めなど、家族でつくった作品>

<自宅のいろいろな場所に、息子さんがつくった作品が飾られていました>

「休みの日は家族で公園にでかけたり、自宅で工作をして過ごしています。大人って楽しいということも伝えたくて、大人の集まりに連れて行くこともあります。
同じ幼稚園には、お母さんが専業主婦で長い夏休みがある子どもたちもいるので、私も長めの休みをとって二人で旅行に出かけたりもしました。」

<母子ふたりで行ったハワイ旅行の記録>

好きなものをミックスして仕上げる、居心地のいい空間づくり

北欧風に南国テイスト、アンティーク調。さまざまなテイストが入り混じりつつも、全体的には居心地が良さそうな空間にまとめられたよしいさんの自宅。センスの源や好きなものの取り入れ方についてもうかがいました。

「ごくごく普通の家庭で育ちましたが、学生時代から10年くらい神戸に住んでいて、その時の影響が大きいと思います。働いていた飲食店のおじいちゃまシェフがつくるファンタジックなお料理や、古いものや海外のものが入り混じった神戸の街の独特の雰囲気などです。
仕事柄、イラストのモチーフを探すためにネットサーフィンをすることが多くて、海外のInstagramアカウントからかわいい商品を見つけて購入することもあります。あとは、IKEAやホームセンターのパーツなどから手作りすることもあって、既成品よりも自分好みの使い勝手に仕上がることもあるんです。」

<光が差し込む家族の寝室>

<マスキングテープで模様があしらわれた階段>

<IKEAのパーツで手作りした仕事用デスク>

「春に40歳になるのですが、もっと自分発信のことを増やしていって、50歳以降にどんなことをやるのか見極めていきたいと思います。北欧のリベラルな考え方が自分に近いので住んでみたいですが、移住はハードルが高いけど、例えばIKEAで棚だしのバイトで北欧の考え方に触れてみたいな、とかやってみたいことはまだまだたくさんあります。子どもにもよく自分の頭で考えることが大切と教えているんですが、自分自身も考えと行動には常にしなやかさを持っていたいなと思います。」

よしいちひろさんプロフィール
イラストレーター。1979年兵庫県生まれ、東京在住。ガーリーでロマンティックなモチーフを 独自の抜け感で描く。エディトリアルからプロダクトまで幅広いジャンルで作品を提供。
オフィシャルサイト
instagram
twitter

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