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チェコでVltavín(モルダバイト)採掘した話 その1

モルダバイト。チェコ語ではVltavín(ヴルタヴィーン)と呼ばれている。

約1450万年前、大きな隕石が現在のバイエルン州に落下。
衝突によって放出されたエネルギーは、直径24km、深さ1km近いクレーターを形成した。
この場所には石英を多く含む砂質の堆積物があったそうで、衝突により溶融され250kmから400km範囲に放出された。
その放出された場所こそボヘミア、すなわち現在のチェコなのです。

ヨーロッパで唯一のテクタイトであり、ヴルタヴァ川周辺で見つかっている。ヴルタヴァ川はドイツ語でいう「モルダウ」のこと。そう、音楽の授業で歌ったことがある人も多いだろうあの「モルダウ」ですよ。だから日本語ではモルダバイトと呼ばれているけど、実際にはチェコを流れる川で、チェコ語ではヴルタヴァ川と言い、モルダバイトはチェコ語ではヴルタヴィーンと言います。
普段から私はVltavínと呼んでいるので、ここではVltavínと書きます。

Vltavínは私が暮らす南ボヘミアで多く見つかっている。畑などでも運がよければ見つけることが出来る。
ただし、色々とルールや決まり事、法がある。
自由に「採掘」できるのは土地所有者の同意があった場合のみ。
国家許可のない採掘は違法であり、違反を繰り返す場合は刑事犯罪となる。
チェコでは違法な採掘も結構あるようで、TVのドラマではVltavínを巡って仲間割れして殺人事件になったり・・・というドラマも作られ放送されているほど。

私は子供の頃、考古学に憧れていた時期があった。遺跡を掘りたいなどと幼心に夢を持っていた。
それが今やチェコで隕石衝突により生み出されたVltavínを掘る人生になっている。(人生って書くと大袈裟だけど言ってみたかっただけ。実際は単なる「体験」です笑)

私と我が夫ホンザはVltavínがパワーストーンとか呼ばれていることには正直興味がなく、それよりもVltavínの誕生、その歴史に浪漫を感じている。そして憧れていた考古学とは違うけど、採掘、見つけ出す、ということに興味があるのだ。そしてVltavinのその美しさは見る人を魅了する。私たちはその美しさにも魅了されているのはもちろんだけど、それが夫の生まれ育った南ボヘミアで見つかるというのだから尚更興味深いわけで。そして土に埋もれていたVltavínが、長い長い時を経て今のこの瞬間に私たちの手によって見つけ出される、ということに浪漫を感じるのです。

実際Vltavínはパワーがあると言われてはいるけれど、チェコでは日本ほどのパワーストーン扱いではないと感じている。ここだけの話だけど日本では少しスピリチュアル扱いされすぎている気がしている。

今回の採掘体験の申し込みについては後に書くとして、
採掘当日、採掘場の集合場所に到着すると既にこの日の体験採掘の参加者が集まっていた。集合場所からは採掘場の主任というかマネージャーみたいな人に連れられ、参加者みんなで採掘場へ。

採掘する前に書類にサインをする。その書類には色々な決まり事が書かれていた。「Vltavínは国の所有物であり、隠して持ち帰る、すなわち盗難や疑いが発覚したら窃盗となり罪となり報告される」ことや「安全について」など様々な事項が記載されていた。
そしてVltavínの歴史などの説明、採掘などの説明を受ける。

さて、いよいよ採掘開始。
私とホンザは交代に掘っていく。
日本語で道具の名前が分からず調べてみたのだけど「ツルハシ」というらしい。ツルハシもスコップもなかなかの重さがあるし、使い慣れない私である。が、こういう時に我が夫ホンザは非常に頼りになる。
庭仕事を子供の頃からやっていて道具が使い慣れている彼は、土などについても詳しく、おまけに体力が私とは桁違いにあるのでこういう時はとてもありがたい存在である。

上の写真を見てもらうとわかると思うけど、こういう土の中から探すわけです。土は石英を多く含んでいる部分とそうでない部分がある。石英は石英で綺麗よね。

ツルハシで堀り、その後スコップで堀った土を別の場所に運びながらならすのだけどその時に「これそうじゃない?!」とホンザが言ったが私は「これは違うでしょー」と言った石。

主任さんに見せたら「そうだよ、おめでとう!」と。
そう、Vltavínでした(笑)


参加者たちがその声を聞き、「見せて見せて」と集まってくる。
土まみれなので正直言うとこれがVltavínとは分からず見過ごしてしまいそうだけど、用意されているタッパーに入った水の中に入れ、歯ブラシで磨くと美しい深緑が現れる。

「わー、やったね!!!」

開始30分くらいで1つ目を採掘。
太陽の光にかざしてみる。


私たちに与えられている採掘時間は約2時間くらいなのでその後もひたすら掘り続ける。
すると10分後くらいに2個目が見つかった。
両方共見つけたのはホンザ。

彼は見つけるコツ(見つけやすい土、地層)をどうやら理解し身につけたらしい。
この体験採掘ではある程度の人は見つけられるらしいけど、
全く見つからなかった人もいるそう。
私たちが参加した日、私は参加者全員見つかったと思っていたけど
昨夜ホンザと話していたら、私たちの隣で掘っていた女性は一人参加だったのだけど、彼女は見つからなかったようで、見かねた主任が手伝って掘ってくれてそこでようやく見つかったらしいよと言っていた(主任が見つけたっぽい)

掘る場所などの運もあるとは思うけど、かなりの力仕事になるので女性一人だと結構厳しいと思う。私もへなちょこなので、この時ばかりは我が夫を褒めまくり、その存在をありがたいと思ったわけであります。

長くなりそうなので2回にわけようと思う。
話は続きます。





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