「贈り物」という暴力

樹木希林が生前、「物をもらうのもあげるのも大嫌いだから全部お断りしている」と言っているのを聞いて、本当に賢くてカッコいい人だなあ〜と思っていた。

一方、なんとなく美食家を自認する某クリスタルな作家さんが、雑誌連載コラムで
「どこそこのなんとか(知る人ぞ知る名店のお菓子か何か)を、ある人へのお土産として持参したものの、受け取った秘書だか事務員さんだかが、その商品のなんたるかを全然理解していない感じで受け取りやがった。価値もわからない人たちが食い散らかして終わるのかと思ったら、むなしくなった。違いのわかる人にこそ良いものを贈りたい」

…みたいなことを書いてて、本当に頭悪くてダサい人だな〜と思った。

樹木希林と対照的だなと。
田舎もんってこういう奴のことだよな。

贈り物って、基本的には贈る側の自己満足でしょ。

ただ純粋に感謝の気持ちを伝えたいだけだったとしても、受け取る側がそれで本当に喜んでくれるかどうかはわからないという大前提を、贈る側は常に意識すべき。

お前の自己満足のために受け取るわけじゃねえ、ってこと。

そもそも本当に美味しいものを食べてもらいたいと思って贈ったのなら、
それを知らない人だって食べた瞬間「何これ!?めちゃくちゃ美味しい!!どこのやつ?!」ってなるに違いないし、
その時こそ贈り物の真価を発揮するんじゃないの?
そして、その時こそ贈ったあなたの株も上がるってものじゃないの?

ブランド品の価値もわからない田舎もんだと相手をバカにしてるのかもしれないけど、
「ブランド品だからって喜んでる田舎もん」はお前の方だろ、と言いたい。

そして、贈る側に少しでも見返りを求める気持ちがあるときは、贈り物はある種の暴力にもなりうる。

「分かってるよね?」みたいな気持ちが透けて見えちゃうと、受け取る方は怖いしプレッシャーでしかないわけで。

正直そんなものぜんぜん受け取りたくはない。

「あの人、全然お返しがないんだよね〜」みたいな事言ってる人からの贈り物とか、恐怖でしかない。

毎年プレッシャー。
まじでめんどくさい。
本当に断りたい。
とはいえ、全く関係を断ちたいわけでもないから難しい…

希林さんみたいに「一切お断り」宣言できれば良いけど、そんな大物でもないし。

ちなみに食事を「奢る」っていうのも、文字通りおごる側の「奢り」であるという前提があると思うから、奢られるより奢る方が難しいと思ってる。
人に奢ってドヤ顔するやつとかマジでクソ。

樹木希林になりたい。

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