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デジタルカメラの選び方入門 勝手版

 かつてカメラを買おうとしたおれのまえに、情報の濁流が押し寄せてきた…。

 カメラ。買い方がマジでわからないもののひとつだと思う。種類多すぎ。規格多すぎ。レンズマウントの種類見てるだけで進化論が書ける。なんで同じ会社のカメラにいくつも違う規格があるんだよ。頭おかしいんじゃないのかと思いました。

 そういうわけでかつてミラーレス一眼を買う前にアラ アラ 荒波立つここはCamera業界 ウェカピポ……に揉まれたおれが独断と偏見によるデジカメの選び方、始め方を書いていきます。実用性はわかりません。完全に趣味です。調べて試したことややってることを記事にまとめておくのが好きなんです。
 ここで書いていることはすべて素人のおれの想像といい加減なリサーチの結果なので特に責任は負いません。とほほの〇〇入門の超ショボい版とでも思ってください。誰かが読んでカメラ選びの足しにしていただけると非常に嬉しいのですが最終的には専門書とかを読んだり自分で調べることをおすすめします。価格ドットコムのガイドとかがわかりやすくていいですね。




何をしたいのかからカメラを選ぶ

 たぶんカメラを選ぶといっても、どんなカメラがあるのか?何ができるのか?どの種類が自分に合っているのか?が完全に暗中摸索状態だと思います。冒頭で書き出した通りおれも初めてのミラーレスを買ったときそうでした。だからこそこういう記事を書いているのですが…。

 とりあえず自分がどのくらいの温度感・予算でカメラをやってみたいかから逆算すると決めやすいかもしれません。そこでおおよそ3パターンに分け、以下にちょっと候補を書いてみます。


とにかく手軽で安く始めたい人

 トイカメラ・コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)あたりがおすすめです。このへんはとにかく安くて手軽でいつでも気軽に写真が撮れます。

 定番はIXYですが、ちょっと変わったやつが欲しい人はコダックあたりが独特の味があると言われており面白いんじゃないかと思います。さらに変わり種ではキヤノンがiNSPiCというカラビナを兼ねた小窓を覗いて撮るカメラを出しています。とにかく枚数を撮って練習したり構図を考えるには決してコンデジも悪いものではありません。持ち運びで邪魔にならないのも素晴らしい。
 ただ、弱点としてはスマホとの差をつけづらいところです。あれやこれやに細かくこだわって美しい写真を撮るということまでは出来ないので、「……スマホで良いんじゃない?」と言われたらおれもあまり反論できません……。

 最近流行りのちょっとツウな遊び方としては、平成初期の画素数が少ない中古コンデジをわざと買ってCCDのレトロな風合いを楽しむというものもあります。基本的にむかしのコンデジは中古屋でお安く売られていますが、だんだん流行ってきてしまったのでもしかしたら手に入りにくいかもしれないというところがネックです。


ちょっと予算出してガチめにやってみたい人

 まあ2~3万円ちょいちょいくらいなら出してもいいから、ちと本格的に写真をやってみたいな…という人ですね。

 このあたりだと高級コンデジ、中古一眼レフ、中古ミラーレスあたりがおすすめなんじゃないかと思います。
 2024年現在の普及帯のスマホカメラの画素数が1200万画素くらいなので、それよりちょっと画素数が多いカメラを持つと差がつけられて満足感が高いかもしれませんね。とはいえ画素数だけですべてが決定されるわけではないので、そこはご予算に応じて決めてもよろしいかと思います。
 それぞれの種類についてはあとで詳述します。


金に糸目は付けねえぜ!

 長篠の戦いに挑む織田信長タイプの方は最新機種のミラーレス一眼がおすすめです。

 とはいっても、最新の一番高い高級機種というのはカメラマンとかの「写真でお金を稼ぐプロ向け」になってしまい、操作方法が複雑だったり「プロならこんくらいわかってるでしょ?」みたいなスパルタ機材もあったりするのでフラッグシップモデルを選ぶのはあまりおすすめできないですね。
 キヤノンで言えばKissですとかニコンならZ fc、SONYであればα6400のようなハイアマチュア向け・初心者向けを新品で買うといいかもしれません。


デジカメの種類

 デジカメと言ってもいろいろ種類があります。できること・出来ないことが種類ごとにあったり、「高ければ高いほどいい!」というわけでもなかったりするので注意が必要です。

トイカメラ

 読んで字のごとくおもちゃのカメラです。キーホルダーサイズだったり片手サイズだったりいろいろです。
 画質に関してはあまり期待すべきでないカメラですがとにかく値段が安い、起動が早い、いつでも写真が撮れる、といったスナップショット向けのメリットがあります。画面がついてないタイプのものはパソコンに接続するまで出来栄えがわからないので、一発勝負のフィルムカメラ的な面白さもありますね。

 有名どころとしてはケンコーのPieniやボンザートあたり、最近のおもしろいものとしては超薄型でカバーの着せ替えが楽しめるPaper shootなんかがあります。値段によりますが意外と画素数が高いものもあって、すごくキレイに写るのでおもちゃと侮りがたい。


コンデジ

 自動でいろいろ決めて勝手に撮ってくれるカメラです。スマホ時代となったいまかなり押され気味ですが、独特の写り方を演出したりズーム機能で差をつけて健闘している感じ。
 複雑なカメラと比べて機能に翻弄されることがなく、構図を決めることに集中できるのであながちバカに出来ないジャンルでもあります。レンズ代がかからないのも優れています。

高級コンデジ

 高級コンデジというのはコンデジから一歩ステップアップし、「一眼みたいな本格的な機能をもたせつつ、レンズを変える必要のない手軽なカメラ」を目指したものです。運動会でお父ちゃんが持ってたりする本体・レンズ一体型のやつもここに属します。
 このジャンルは機種ごとに非常に味がある写真が撮れたりするので今現在でも活況です。最近では富士フィルムが「フィルムの写り方を再現した撮り方ができる」といった機能を持つX100シリーズの新機種を出しましたが、人気すぎてすぐに在庫が枯渇、欲しい人は抽選や生産待ち……というほどに爆売れしていますね。

 一眼レフとかミラーレス一眼は本体の他にレンズを揃える必要があるのですが、この高級コンデジはよく使うであろう倍率のズームをギュギュッと詰め込んで一体化させたレンズを内蔵しているので中古選びをするときとにかく予算に優しい。本体に加えてせいぜいSDカードと新しいバッテリーを買うくらいで済みます。
 ただこの高級コンデジもなかなかピンキリなジャンルで、どのくらいガチで写真をやれる機能があるか玉石混交。見た目だけ本格的だけど……みたいなものもあります。撮影モードがほとんどないようなものからRAW形式で出力できるものまでいろいろです。

 レンズ選びに悩むことなく手軽に濃い撮影体験を楽しめる掘り出し物とかもあるので、ご予算的にも都合がつきやすいタイプかなと思います。自分が使いたい機能を積んでいるかちょっと吟味する必要はありますが最初のひとつになかなか悪くない種類だと思います。

一眼レフ

 本格的なカメラの代名詞として非常に有名な種類のカメラですね。

 レンズから入ってきた光を鏡で反射し、ペンタプリズムで反射してファインダーに映し出す構造をとっているカメラです。ミラーレス一眼のひとつ前の形態にあたるカメラですが、前世代だからといって劣っているわけではなく瞬時に撮影対象を確認できたりファインダーの見え方が電子モニターの加減に左右されないといった利点もあります。
 ミラーレスにも共通することですが、レンズが分離式になっていて目的や撮影したい距離に応じて違うものを取り付けて使えるのが最大の特徴と言えるでしょう。

 カメラメーカーが各社ミラーレスに本格的に移行し始めたので、あまり新規に一眼レフを出すメーカーもなく、少しずつ古いタイプのカメラになりつつあります。
 そのおかげと言ってはなんですが、中古市場に出回る個体もやや増えてきているので「安く本格カメラを手に入れる」という点ではかなり良い選択肢になるんじゃないでしょうか。ちょっと画素数控えめのEOS Kissとか使いやすそうだし値段がこなれてていい感じですよね。

 欠点としては構造上ミラーレスよりサイズがデカいこと、レフの跳ね上げ機能の劣化が怖いこと、レンズ市場が停滞しはじめているところですかね。
 一眼レフは先述した通り中に鏡が入っているカメラで、撮影する瞬間にこの鏡を跳ね上げてセンサーに光を当てるのですが、パーツ数が多いということは中古で買ったときその部分が疲労していて故障するリスクも若干高いわけです。
 レンズ市場についても新品が望めなくなってきているのがなんとも言えないところです。歴史が長いジャンルなので、そのぶんたくさんのレンズ在庫が出回っていてむしろお得に買えるのではないかと思うのですが、もう新しいレンズが出ることはあまり望めない……という将来性ではやや不安かもしれません。これから経年でだんだん状態がいいレンズが減っていくため、希少価値が付いて高騰する可能性なども考えられます。需要が減って安く買える一方で供給もなくなってきたので、在庫がまだいっぱいある今が旬なのかもしれません。

 本体とレンズを揃える必要があり若干敷居が高いですが、かつて一線級で使われていた名機が中古で安く買えるようになってきた……という点ではある程度初心者向けのジャンルではないかと。
 ミラーレスよりデカくて重いのですが、撮影機能上はべつにミラーレスと比べてさほど劣っているわけではないので、最初からちょっと気合い入れてカメラを始めたい!といった人もじゅうぶん満足できると思います。


ミラーレス一眼

 鏡でファインダーに映像を反射するのをやめ、センサーに受けた光を一回電子処理してモニターに映し出す方式のカメラですね。一眼レフに入っていたミラーがないからミラーレス一眼と呼ばれています。
 一眼レフと比べて鏡やペンタプリズムをボディの中に入れる必要がないので非常にコンパクトになりました。

 カメラメーカーが数年前から主力として開発している、いまメインストリームとなっている種類のカメラです。
 現行のジャンルなので使っている人も多いし、ノウハウや使い方を他人に訊きやすく、本体もレンズも新しいものが出続けていて活気があります。
 情報が集めやすいというのが案外デカくて、youtubeを覗くと機種レビュー動画が豊富にあって買うときの参考にしやすかったり、noteで調べてみても使い方や撮り方を教えてくれる記事がいろいろありますし、ネットで検索すると同じ機種を使っている人の記事がヒットしたりAmazon kindleでプロが書いた使い方のムック本が売ってたりするので、「あれ!?このボタン何に使うんだ!?」といったことも調べやすい。フォローアップ体制がしっかりしている種類のカメラと言えますね。

 新品もバンバン出ているしわからないことを他人に訊きやすく、いまからカメラを始めるなら一番無難な種類なんじゃないかな。
 欠点や悪いところというのは特別ないんじゃないかと思いますが、強いて言えばミラーレスもまた高級コンデジと同じでピンキリというか性能に非常に差がある種類なので、自分がやりたいことに合わせて選ぶ必要があります。


センサーサイズ

 とりあえずここまででざっくり「まあこの種類のカメラが自分に合ってそうだな」というのはわかったかなと思うので、もうちょっとディープな話をしていきます。

 デジカメは中に入っているセンサーに光を受けて撮影する構造上、センサーサイズが画質に貢献する割合が非常にデカいです。カメラの大きさレンズの大きさにも関わってくるので、文字通りカメラの心臓部・核となる部分と言えます。
 主流のものをいくつか紹介しましょう。

フルサイズ

 35mmフィルムとおなじ受光範囲を持ったセンサーのことをフルサイズと通称します。

 写真の世界はかつてフィルムカメラ全盛の時代に35mmフィルムというのが覇権を握っておりまして、現在でもその名残でセンサーサイズの基準になっています。いまはなかなかお目にかかれませんが、ちょっと上の世代の人は白い筒とか黒い筒に入った富士フィルムの35mmフィルムを見たことがある人も多いんじゃないでしょうか。

 フルサイズは一番無理がなく、画質的に有利なセンサーサイズです(中判という例外もありますが)。基本的に機械ってのは部品を小さくしようとすると精密で高度なことをやらなきゃいけなかったり、性能面で妥協しなければならないので、自然体のフルサイズは小さいセンサーと比べて性能を高く作りやすい。
 ダイナミックレンジが広かったりボケをキレイに作れたりといちばん良い画質で撮れるように設計できるので、プロ向けの超高級機などの「メーカーの顔」「フラッグシップ」がフルサイズセンサーを積んでいることが多く、各社がもっとも技術を注ぎ込み気合を入れて作っている機種になります。

 ただデカいということは部品をそのぶん大量に使うということなので大量生産での生産能力だと若干不利だったりもするらしいです。テクノロジーを注ぎ込んでいることもありますがその関係もありフルサイズは全体的に高価です。
 またセンサーサイズを小さくするとそのままレンズも同じ比率で小さくしていくことが出来ますが、フルサイズはなにも絞っていないのでレンズも本体サイズもデカくなりがち。
 このように他のセンサーと比較して価格が高いモデルが多いこと、カメラ本体のサイズが相対的にデカいことは否めない部分があります。

APS-C

 現在もっとも主流と言える普及率を誇る、フルサイズからいくらか小さくしたセンサー。
 「あんまり画質を落とさない程度にセンサーを小型化し、フルサイズより生産効率を上げられないだろうか?」とバランスを探った結果この大きさになったんだとか。厳密に決まっているわけではないのでメーカーにより微妙にAPS-Cセンサーと呼んでいる大きさが違うのですが、だいたいフルサイズの60%ちょいくらいであることが多いです。

 一眼レフおよびミラーレスで搭載機を非常に多く見かけるセンサーで、価格もフルサイズよりちょっと低め。持ち運びの点でも有利です。
 センサーがだいたい60%くらいの大きさということは、使うレンズも同じスケール感で小さくすることができ、フルサイズと比較するとだいぶ小型に感じることと思います。
 たとえばスナップショットでよく使われる「標準」と言われる人間の視界とおなじくらいの画角を生み出すためにはフルサイズだと焦点距離50mmのレンズが必要ですが、APS-Cならおよそ30mm強の焦点距離でそれが実現できてしまいます(このようにフルサイズの焦点距離でどれくらいに相当するかを示すことを35mm換算と言ったりします)。う~ん、すごいですね。フルサイズだとキャノン砲のようになるバカでかい望遠レンズも、APS-C向けのものだとだいぶ理性的な大きさになり持ち運びしやすい程度に収まります。

 ボケが作りにくい、画素数が多いものを製造しにくい点でどうしてもフルサイズには勝てないのですが、ぶっちゃけ「写真でメシを食ってるプロでもなければそこまで求めなくても……」と大概の人が思ってるのでこれでも特に問題はなかろうと思います。
 ハイアマチュア機に搭載されていることが多く、安いほうがいいけれどちょっとこだわりもあるといった初心者には一番向いているのではないかと。

フォーサーズ

 APS-Cよりさらに一回り小さいセンサー。フルサイズと比較すると対角線ピッチがなんと半分!焦点距離も半分です。本体からレンズから何から何までかなり小さくまとまります。

 パナソニックとオリンパスが共同で採用しているセンサーサイズで、使いやすさに重きをおいた規格になります。
 焦点距離がフルサイズの半分で済むメリットはまことに強烈で、とりわけ望遠レンズにおいては最大の効果を発揮。たとえば月の表面をカメラで撮影しようとするとフルサイズだと1000mm、つまり焦点距離1メートル(!?)になるため500mmのレンズに加え倍率を2倍にするテレコンレンズが必要になりますが、フォーサーズで使われているマイクロフォーサーズ規格のレンズだと500mm単体もしくは250mmと2倍テレコンで済むため、比較的まあ持ち運びに難が生じにくいくらいのサイズで収まります。
 おれも実際にフォーサーズを積んだオリンパスのE-M10初代を使っているのですが、14-42mmと45-200mmのズームレンズ2種と本体をカメラバッグに放り込んでおけばだいたいなんでも撮れるので極めて身軽です。

 ただし欠点としてはセンサーサイズの小ささゆえにAPS-Cでも存在するボケの作りにくさ、画素数が高めにくいといったデメリットがより強まってしまうことが挙げられます。
 またこれはフォーサーズという規格のクセの強いところなのですが、センサーの縦横比率がフルサイズやAPS-Cの3:2と違って4:3なので、センサーの全面を使って画素数を最大に活かそうとすると必然的に4:3の写真を撮ることになります。写真で使われてきた歴史が長い3:2とちょっと比率が違うので写真を見たときの印象も変わってきますね。

4:3
3:2

 参考として4:3のオリジナルからから3:2にトリミングして並べてみました。ね、ちょっと違うでしょ?イメージが。
 4:3は正方形にちょっと近いのでずんぐりむっくりというか寸胴なガッチリした印象を受けますが、3:2は横長でキレのある画角に見えます。あんまり大した違いではないかもしれませんが、写真を撮る人はこのへんだんだんよく考えるようになるのでフォーサーズ愛用者としていちおう伝えておきました。
 べつにカメラ内の設定をいじれば簡単に3:2で撮れるので実用上問題はないんですが、若干クロップというかトリミングして撮ってることになるのでちょっと気になる人は気になるかもしれません。おれは気になる派です……。

 それから圧倒的市場を誇るAPS-Cと比較してちょっと変態……あっ、いや、マニアックなセンサーになってくるので、使用者がやや少なくニコン・キヤノン・SONY使いほど母数がいない感じです。壊滅的にいないということはありませんが、おれも周囲にフォーサーズ使いが見当たらなかったのでいろいろ独学しました。

 ちょっと独特な部分や画質的な不利は否めないのですが、小型軽便でAPS-Cよりさらに手軽だよ!といった使い勝手の面ではイケてるセンサーなのでおれとしては2番手くらいにオススメな規格だと思います。


レンズについて

 話が長くなってきました。みなさんついてこれてますか?ここらで一回記事閉じて休んでもいいですよ。おれの話は長いですからね。インド映画よろしくここらで休憩を入れましょう。ストレッチしてお茶でも淹れてきたらどうでしょうか。


 ではレンズの話をしていきましょう。ここからは危険、大変危険……だって……金のかかるレンズ沼の話(エミネムさん)

なんでレンズ沼の素材まであるんだよ いらすとやは

 レンズは沼とよく言われますが、それはこだわりだしたらキリがないだけでなく性能や何をするものかが分かりづらいので悩むという理由もあります。たぶん一眼が敬遠される理由の大半がこれ。マジでわからない。

 正直この沼の解説をやっていると記事が一生終わらないのでかいつまんでざっくり説明していきます。やっていきましょう。

レンズマウント

 レンズマウント。いろいろあるので自分の好きな一眼に適合したレンズを買いましょう。おわり。

 で終わらせたかったのですが複雑怪奇を極めているわりに重要なことなので書かざるを得ません。
 レンズマウントとは「このカメラで使えるよ!」という指標になる規格です。ここで気をつけなければならないのは同じメーカーでも違う規格を使うことがあるということです。ニコンだからニコンのレンズなんでも使えばええやんけ!とはならず、一眼レフ向けのFマウント、ミラーレス向けのZマウントが存在し、ついでに変わり種のニコン1マウントというのもあります。うーんややこしい。
 逆にSONYは14年くらい一貫してEマウントという規格を使い続けているのでわかりやすいし優しいです。独自規格で迷走しまくるSONYにしては珍しい……。

 レンズマウントはカメラ本体を買うときにも大事でして、「いくら本体が良くてもレンズ市場がな…」ということがたまにあったりします。
 一眼レフの紹介で「いい状態のレンズが減っていくかも」という話を少ししましたが、あのように「そのレンズ規格が今も手厚くサポートが続いているか」「中古で安く手に入るレンズがあるか」といった事情もあるので、本気でこだわるならレンズから逆算して「このカメラ安いけど、レンズがバカ高かったりするのかな…」といったことも推理する必要があります。

 まあそうは言っても基本的に大手メーカーのレンズであれば派手に失敗するということもないので、好きなカメラを選ぶのがいいと思います。レビューサイトで「すぐ壊れた!」「リコール対象になっている」といった情報も転がっているのでそういうレンズは避ける、といった程度でいいでしょう。

レンズの種類

 一般的にズームレンズ、単焦点レンズ、マクロレンズの三種類があります。ミニチュア風に撮れるティルトとか変なレンズもあるにはありますがとりあえず三種類知ってれば大丈夫です。

 ズームレンズは一番便利でよく使うレンズであろうかと思います。
 クルクル回すと倍率を変えられるレンズで、近くのものも遠くのものも自在に撮影可能。

 たとえばおれが愛用しているマイクロフォーサーズの古いズームレンズを例にスペックを見てみましょう。
 まず14-42mmという表記ですが、これは「この範囲で焦点距離を変えられるよ」ということを示しています。おれが使っているフォーサーズ規格は焦点距離25mmで人間の視界とだいたい同じ画角で撮れるので、つまりコイツは「標準の25mmはもちろん広めの14mmから遠くのものを拡大して撮れる42mmまでイケまっせ!基本的な撮影はあっしに任せてくださいや!」と言っています。こういう標準を含んだよく使う倍率をひとまとめにしたズームレンズを標準域とか言ったりします。
 初心者はまず最初にこういった標準域のズームレンズを買ってみると撮影で困ることはないはずです。

 一例としておれが使っているマイクロフォーサーズの話をしましたが、あなたがもしAPS-Cを使っているなら30mmあたりが標準になるので、それを含んだズームレンズを買うといいでしょう。18-45mmとかね。
 近くをもっと寄って撮りたいならより小さい数字の広角レンズを、遠くを撮りたいなら標準より大きい数字の望遠レンズを買えばいいというわけです。

 ただしズームレンズにはひとつ弱点があって、F値が全体的に暗めになっています。
 F値とは絞りのことを指していて、このF値が小さければ小さいほど明るく光をいっぱい取り込めるので、とても強いボケを持った美しい写真を撮ることが出来ます。本体とセットになったりしている安いレンズ(キットレンズとも言う)だとどうしてもこのF値がデカくなりがちでボケを作るといった点ではちょっと不利ですが、高級なズームレンズだとある程度そこに対策されていてF値が少し小さく抑えられています。そこが価格の差というわけですね……。
 ただしF値が高い、もしくは絞り込んでF値を上げると撮影風景全体にピントが合ったパンフォーカスな写真が撮れるので、それはそれで一概に悪いというわけでもありません。


 単焦点レンズは焦点距離が固定になっているレンズです。「えっじゃあ倍率が変えられないじゃん!何がいいの?」と疑問に思うかもしれませんが、単焦点レンズはズームレンズよりF値が低く明るい写真を撮ることができます。ボケを作りやすく、主題にしたいものがわかりやすい写真が撮れるということですね。
 ズームレンズでF値を低く作るとなるとメーカーも結構大変でレンズの価格を上げざるを得ないのですが、単焦点だと比較的安くF1.7などのものが売られているので手が出しやすい。
 倍率が決まっているということは逆に言えば「倍率や画角で悩むことがない」とも言えるので、これで撮れるように撮る!と最初から選択肢を絞って集中することもでき、そこは長所とも言えるでしょう。


 マクロレンズは小さなものを撮るのに向いたレンズです。アクセサリーとか花とか料理、蝶などの昆虫撮影に使います。
 ちょっと変わったレンズなので少しお値段的に高いかもしれません。登山が趣味だったり庭で植物を育てている人なんかはこれを使う機会が多いかも。


良さそうな中古カメラピックアップ

 さて非常に長い記事になってきましたが、だいたい知ってほしいことは書いたのでここらでおれが価格ドットコムを徘徊して「良さそうだな」と思ったカメラを偏見と勝手なイメージで適当に挙げていきます。

 とりあえず始めやすさ優先ということで、中古で2~3万円以内で手に入る比較的価格の安いものを見繕っています。劣化状態の問題もありますので、お財布に余裕のある方は最新機種を新品で買われるのがベストだとは思います。


EOS Kiss X3

 キヤノンのAPS-C一眼レフ。

 2009年発売と非常に古いカメラながらも1510万画素となかなかの画素数があり、いまでも十分キレイだと感じられる解像感が得られるんじゃないかと思います。
 さすが大手のキヤノンだけあってダイヤルとかジョグとか画面なんかも操作しやすそう。Kiss自体が初心者向けなのもあって無難なんじゃないかと。キヤノンとニコンは使っている人も多いしプロカメラマンも愛用しているメーカーで、実際、先日たまたま縁あって知り合った何人かのカメラマンさんとお話を聞ける機会がありましたがだいたいこの2社の愛用者でした。

 価格も中古で1~2万円となかなかお安いので、初めてのカメラに良いんじゃないかと思います。どっかが壊れてもこのくらいの値段ならまあ…。欠点は強いて言えば一眼レフだからデカい、重いくらいかな?スナップショット向きではないかも。


LUMIX DMC-GX1

 パナソニックのフォーサーズ搭載軽量ミラーレス機。

 パナのLUMIXシリーズはミラーレスの持つ「軽い、小さい」という長所を存分に活かした小型機。おれは同じパナソニックでシリーズ違いのGF2を一時期使っていましたが、とにかく持ち運びやすいことに関してはたぶんミラーレスで右に出る者はいないんじゃないかとすら思わせます。

 LUMIXの操作体系はとてもわかりやすく、自動でいろいろ判断して撮影条件を決めてくれるのでカメラに詳しくなくてもいい感じの写真が撮れます。
 ただ「自分でもっと考えて追い込みたい!」という人には向いてないかな……。世話好きだけど機械に詳しくないオバハンみたいな感じ。ダイヤルがモードダイヤルだけでそれ以外にはあんまり操作しやすくなさそうなジョグがひとつ付いているだけというのも、う~ん…。センサーがフォーサーズなので上のほうで書いていたフォーサーズのクセを持っているのも覚えていたほうがいいですね。
 外観がカメラらしいというよりは家電寄りなのも好みが分かれるところで、よりカメラっぽさが欲しい人はEVFも付いてるLUMIX G5のほうがいいかな……という気もします。

 とはいえ「どんどん外に持ち出して撮る」ということを考えるとこの軽量コンパクトはかなりの長所だと思います。カバンを圧迫しにくいので旅行カメラにもいいですね。


Nikon 1 J5

 これはオススメするか非常に迷いどころなんですがこういうミラーレスもあるよ、ということで。

 ニコンが出していた軽量小型ミラーレスシリーズ、Nikon 1シリーズのひとつ。
 センサーサイズはフォーサーズよりも小さい1インチ……これはなかなかクセ強いですよ。千鳥のノブがワイプで出てくるくらいのクセスゴ感。それでいて2000万画素あるのはすごいことですが……。

 天下のニコンが作ってるのでボディ側にとくに問題はないと思うんですが、レンズが専用レンズを使っているうえに新しいモデルが出ないため、事実上打ち切りとなっているシリーズですね。
 レンズの種類が少ないのはまあともかくとして、価格や性能的にいちばん手を出しやすい古めの標準ズームレンズで絞り羽根の故障が相次いでリコール対象にまでなっているのがう~ん…という感じ。その後に出た電動の標準ズームは問題なさそうなんですが、値段が少し高いのと電動というところでちょっと好みが分かれそう。「本体がよくても、レンズが……」の典型例みたいな感じですね。

 非常に短い焦点距離で済むのでレンズ含めてかなりの小型で、ニコン製なので操作性も期待でき決して悪いカメラではないと思うんですが、諸条件を考えるとなんとも言えないな…ってカメラですね。


α NEX-5N

 ちょっと変わった外観のSONYらしいミラーレス一眼。

 今でも通用するであろう画素数にレンズは歴史が長く中古市場も潤沢なEマウントと、悪くない感じ。

 ただ個人的に気になるところはダイヤルがないこと。モードダイヤルもない。これは……操作が手間だろうなぁ……。
 タッチパネルで操作するカメラは誤タッチで貴重な一瞬を逃したり、絞りやシャッタースピードを直感的に変えられないので基本的にオートで撮ることになるので、ちょっと一眼らしくないというかコンデジっぽい気がします。そこをどう捉えるかかなぁ…。

 自分の好みに合わせて絞りを合わせていくといった使い方は厳しいかもしれませんが、手軽にキレイな写真を撮りたい!という方にはオススメできる機材なんじゃないかと思いますね。


PEN Lite E-PL5

 フィルムカメラの時代から続く大衆向けシリーズ"PEN"の名を冠したオリンパス製フォーサーズ機。

 広く初心者に使ってもらおう、という設計意図のとおり、基本のモードダイヤルやカスタマイズ可能なファンクションキーがあるほか、モニターもバリアングルになっていて空を撮ったりローアングルで植物を撮ったときに確認しやすい…となかなか気の利いた仕様になっています。
 レンズもマイクロフォーサーズなので、よりどりみどりというほどではないにしても無難に安くて使いやすいレンズがあり、持ち運びも楽。

 ただおれがオリンパスを使っている以上これは言っておかなければならないのですが、オリンパスの操作メニュー画面はマジで複雑です。使い始めてしばらくは「なんだこれは!?」と岡本太郎作品を見たとき以上に言い続けることになると思います。

 だいたいのカメラに言えることですが、こんな感じでKindleで使い方のガイド本が出ているのでこういうもので最初の勉強をしてみるとわかりやすいですね。おれも愛機のE-M10の操作で苦行……あっいや己を磨くことになりましたがこういうガイドを読んでからだいぶ早く慣れました。

 メニュー画面にちょっとクセがあるのは否めませんが、いちど慣れてさえしまえば問題ないですし、機能的に足りない!というところが少なく撮影にややこだわりたい人も満足できると思います。手軽さと奥深さがうまくバランス取れてる機種なんじゃないかな。
 もうちょっとガチでやってみたいなという人は同じオリンパスで言うとE-M5やおれが使っているE-M10あたりがダイヤルや機能が多く、より深くこだわれるのでそちらもオススメしておきます。


その他あんちょこ

 だいたい必要そうなことは書いておいたので、その他おれがカメラ選びの中で気づいたことを書いていきます。ただの好みとも言う。

ダイヤルはナンボ付いててもいいですからね

 操作ダイヤル。これいくらあってもいいです。多ければ多いほど良いです。

 モードダイヤルはもちろんあったほうが良いですが、絞りを操作するためのダイヤルは非常~~~~によく使うことになるので別に一個あったほうが良いですね。さらにもうひとつ付いていればシャッタースピードなりEVなりも同時操作できるのでGoodです。なんなら百個くらいダイヤル付いててもいいよ(嘘)

 ダイヤルがなくてもジョグやファンクションキーなんかがあればとりあえず割り当てて解決できますからそれでもいいと思いますが、やはり物理ダイヤルは見ないで操作できるので多いほど良いです。マジで。


バッテリーは買い替えるのが吉

 カメラを中古で買うとたぶんバッテリーが付いてくると思うんですが、古くなったバッテリーは劣化していてすぐ残量がなくなったり膨らんだりしているので買い替えるのが吉です。

 中古だともう純正品は生産完了になってしまっていることが多いので、自分の買った機種と互換性のある社外品を探して使うのがベターですかね。社外品自体本当はあんまりよくないんですが、いつ発火するかわからないバッテリーを使い続けるよりは圧倒的にマシ。ちゃんとPSEマークCEマークが付いているメーカーのものにすると安心です。


機種ガイドの本を読むとわかりやすい

 PENの欄で軽く紹介しましたが、たいていのカメラにはあんな感じでプロカメラマンが「こういうふうに使うといいよ~」と初心者ガイド本を出してくれてます。

 ネットの世界は知識ゼロの状態で調べ物をしようとするのが鬼難しいので、まずはこういった体系的に教えてくれる本を読んでから「シャッタースピードをもっと詳しく知りたい」「被写界深度ってなんだろう」とキーワードでググっていくと身につきやすいですね。


ストラップは落下防止のためにもあったほうがいい

 だいたいのカメラには両サイドに金具がついててストラップを付けられるようになっています。付けましょう。カメラは精密機器なので落としたときに高確率で死にます。

 ストラップを付けると落としにくいだけでなく、手に絡めたりしてホールド感を増したり、とりあえず出しておいて首から提げておけるのですぐ撮影に移れるなどメリットが多いです。
 革やパラコードなど素材もいろいろあって面白いですし、自分だけのコーディネートを楽しめるアクセサリーでもあります。


レンズとボディの管理

 レンズやカメラボディについているセンサーですが、驚くべきことにあんな栄養も何もなさそうなところにカビが生えることがあります。
 実際にジャンク品を漁るとひどいカビでダメになっているものがチラホラ出てくるので、「こうならないようにしなきゃな…」と思わせます。

 簡単なお手入れとしてレンズを拭ける使い捨てペーパーがあるので、外で使い終わったあとはそういったもので拭いておくといいと思います。
 また、湿気さえなければそうそうカビが繁殖することもないのでできれば防湿庫を買って入れておきましょう。べつにでっかいワインセラーみたいな高いものじゃなくても大丈夫です。ハクバとかが出してる密閉式の蓋がついてるボックスに乾燥剤を放り込んで、レンズと本体をしまっておけば問題ありません。


三脚はそれなりのものが良い

 スナップショットであれば三脚を使うことはないですが、星を撮ったり望遠で撮影する時はそれなりの三脚を使いましょう。

 決して高い三脚でなくてもいいので、使い勝手を理解して設計してくれている歴史の長い有名メーカーのものがいいです。おれは百円均一の三脚を寒冷地に担いでいっていつまでもアングルがバシッと決まらず凍え続けるという地獄を味わいました。必須ではないですが、望遠やシャッタースピードが遅い撮影をやるならそこそこのものを買いましょう。


 さて、気づいたら1万4千字くらい書いてました。ここまで書いといてあれですが、書き出しでも触れたとおりおれが言っていることはあくまで素人の浅知恵なのでどなたか身近にプロがいたらその方に訊いたりちゃんとしたガイドを読んでカメラ選びをされるといいかなと思います。
 カメラ選びの一助になれば嬉しいですし、ならなくてもおれの言いたい放題好き勝手な記事が書けたうえに他人に読ますという目的が達成されたので満足です。

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