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会議は踊る、されど進まず

会議の時間になった。

送ってもらったミーティングIDを慎重に打ち込み、部屋に入る。

「あ、来た」

「久しぶり~おつかれ」

画面に現れたなつかしい顔に、思わず子どもみたいに手を振った。


集合早々、久しぶりの面々と話す内容とは思えない会話が飛び出していく。近況報告もほとんどなし、学校の話もなし、ただ、その場で思いついたことをぽんと投げかける。さっき「久しぶり」と言ったばかりなのに。

誰かの号令で本題に入ろうとしても、すぐに誰かが話を脱線させる。しょうもないボケ、思いつきで始まったゲーム、思い出話。脱線はみるみる広がる。つながる。終着点が分からなくなってきたところで、やっと本題に戻ってくる。真面目に考え始めたと思ったら、また誰かが別の方向へ話を持っていく。

結局、出掛ける場所を決定するのに5時間もかかった。こうなるなら、はじめからLINEで片付ければよかったかもしれない。

最高に無駄な時間なのは間違いない。実際、脱線した無駄話の内容は殆ど思い出せない。

それでも、踊りまくりのこの会議が世界でいちばん好きだ。