見出し画像

「文字通りに受け取る」訓練のススメ

「あの件、明日までにできますか?」
1週間前に、期日は指定されずに頼まれていた件。
そろそろやらないと、と思っていたところに、そう声をかけられた。

そんなとき、
「急かされた!」と思うか、
「明日までにできるかな?」と考えるか。

特に文字のコミュニケーションがベースになるリモートワークでは、この差がその後の仕事に大きく影響するというのが、私の経験則。

「急かされた!」と思うとどうなるか

「遅いって思われたかな」
「でもそもそも期日指定しなかったのはそっちじゃん」
など、もやもやした気持ちが心に立ちこめてくる。
そして、
「すみません、●●が×××だったのでちょっと今日までバタバタしていて・・・」などと、質問と違うことを話しはじめてしまったりする。

相手は、「明日までにできますか?」と聞いただけ。
急かしてるかもしれないし、ただ質問してるだけかもしれない。
いずれにしろ、欲しい答えは、明日までにできるかどうか、だ。

だとすれば、もやもやした気持ちは無駄なのだ。
どちらにしたって、さっさと「明日までにできるかどうか」を答えた方が良い。

他の事例でも同じことが言える。
「このやり方って、どうしてこうなってるんでしたっけ?」
と聞かれたとき、
「無駄だって言われてる!?」と思うと、言い訳から始めてしまい、「どうしてこうなってるか」が正しく伝わる説明ができないことも多い。

なぜ、文字通りに受け取れないのか

私が自分の心の内を観察し続けた結果、
文字通りに受け取れるかどうかは、相手の言い方や書き方ではなく、自分のコンディションに左右されていた。
自分が「あーこれそろそろやらなきゃ」と思っていたところに「いつできますか?」と聞かれたら、「急かされた」と感じる。
自分が「この人はいつも面倒なことばかり言ってくる」と思っていると、どんな連絡も面倒に聞こえる・読める。

特にリモートワークでは、相手の顔が見えないために、自分の心の中にある情報だけを使って解釈してしまうので、こういうことが頻繁に起きがち。

文字通りに受け取らないと起きる負のスパイラル

文字に書いていない(あるいは言われていない)ことを勝手に意味づけをし続けると・・・

  1. 心が重くなる(全く必要が無いかもしれないのに)

  2. 言い訳がましくなる

  3. (誤解だった場合)コミュニケーションがすれ違う

  4. 結果、話が長くなりがち

  5. 言われることにどんどんネガティブな意味をつけて、勝手に落ち込む

  6. そして「なんかこの人との仕事、気持ちよく進まないな?」という評価を受けることになる

  7. 実際に、仕事が上手くいかなくなる

文字通りに受け取るには訓練が要る

そんな負のスパイラルを避けたければ、文字通りに受け取ることが必要だ。
「明日までにできますか?」と聞かれたら、できるかどうかを答える。
それでは遅いのかどうか、確認の必要があればそのあとに聞けば良いのだ。
例え本当に、相手が「遅いなぁ」と思っていたとして、その時点でできることは限られている。そこから最善を尽くすためのコミュニケーションを取れればそれでよいのだし、それしかできない。

そんなことは当たり前にわかっていてもなかなかできないのは、前述の通り、自分のコンディション左右されるからだろう。
体調が悪い時には、どんなに好きな音楽でも、大音量は勘弁して欲しい。
それと同じことで、反射的に感じてしまうことだから。

まずは、そういう心のクセを知ること。
そして、モヤっとしたときに「書いてないこと」「言われてないこと」を勝手に意味づけていないか、常に振り返るクセをつける。
すると、思っている以上に、やらかしている自分に気づく。
それを繰り返して、だんだんと悪いクセを捨てて「文字通りに受け取る」ことができるようになる。

リモートワーク時代の必須スキルと考えたい

リモートワークで、どんどん元気を無くしてしまうひとがいる。
その人たちの中には、この「勝手に意味づけしてしまう」ことで苦しんでいるひとも多いと思う。
文字通りに受け取れないと、(不必要に)どんどん心がつらくなる。
それを周囲が慮って、あれやこれやと言葉を尽くそうとすると、文字でのコミュニケーションはどんどんフクザツに、わかりにくくなっていく。(その上、たぶんその人が救われることはない)
チームの中で、「言外の意味を文字に込めない」ことを約束事とし、個人個人も訓練して「文字通りに受け取る」スキルを獲得してほしい。
それは、リモートワークの生産性を維持し、健やかに働くために全員に求められることだと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?