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放射能について分かっていること、分かってないこと

サザエさんもフネさんも気をつけていたストロンチウム(昭和33年) 
というのを回覧するのはいいが、この時の時代背景などを無視してやっていたらただのバカ騒ぎでしかない。


この時代にストロンチウム90が注目されるようになったきっかけは、昭和29年3月のビキニ環礁での水爆実験だ。日本のマグロ漁船「第五福竜丸」が死の灰を浴び、無線長だった久保山愛吉さんが被曝で亡くなった。

色々調べたが、ここからの話は、あまり明確な裏がとれない。間違っていることも多々あるだろうという前提で読んでいただきたい。

第五福竜丸の被曝した乗組員の体内やマグロから、ストロンチウム90が検出されたことから、食品のストロンチウム90汚染が注目されるようになったらしい。他のマグロ漁船が水揚げしようとしたマグロからも次々と「ストロンチウムが検出され」全て廃棄されたらしい。マグロ廃棄となった漁船は千艘以上との記述も見られる。ただ、このころの「検出方法」は、シンチレーションカウンタを当てて計数しただけの様子で、「2000カウント」とか「1万カウント」とかの、全く意味不明な単位での計測結果のマグロが見つかって廃棄されたというような記述しか見つからない。廃棄の基準も不明だ。

とにかく、こうしたマグロ廃棄騒ぎで「ストロンチウム90で汚染された食品(マグロ)」は危険で食べられないというイメージが国民に浸透した後、昭和30年の初め(?)に、「アメリカの要請を受けて」(?)、政府は水揚げマグロの「ストロンチウム検査」を止めてしまったらしい。(止めた理由はほかにもあるようには思うが、何しろネットでぐぐったぐらいでは見つからない)

「マグロはもう安全だから検査は止めた」わけではないらしいので、当然ながらストロンチウムの食品汚染に対する恐怖感は日本中でますます増大したようだ。

こういう経緯を引きずっているだろう背景を認識してから、このサザエさんの風刺を見直せば、この頃も随分ややこしい事情だったのだなと、半笑いでこの漫画を読むことになろう。付け加えておくと、サザエさんという4コマ漫画は、ほのぼの家族漫画では決してなくて、きっつい風刺漫画だったのだ。

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