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天然の牛豚鳥を食べたことはありますか?Fish Party開催を通して伝えたい養殖の話

こんにちは!ウミトロンのあこてぃすです。

※ウミトロンは水産養殖×テクノロジーをテーマにしたスタートアップです。詳細はHPをご覧ください。

令和初note!タイトルは問いから始まっていますが、まずは平成に開催したUMITRON Fish Partyについてご紹介したいと思います。

UMITRON Fish Partyとは

ウミトロンに協力してくださっている地域・生産者の方が育てたお魚を美味しくいただく会です。

この日はウミトロンメンバーとメンバーの友人、日頃お世話になっている方々など約30名で、愛媛県愛南町で育った真鯛とクエをいろんな料理でいただきました(愛媛県愛南町でのプロジェクト詳細はこちら)。

ちなみに、愛媛県は真鯛の生産量No.1クエも約5年かけて生産者が育てた高級魚(1万円/kg!!)です。

真鯛もクエも、生簀から水揚げして締めたものを氷詰めして配送してもらったため、超新鮮です!作った料理は、刺身に始まりカルパッチョ、胡麻和え、鍋、鯛茶漬けなどなど。参加者の皆さんからもお酒やおつまみ、お菓子の差し入れもいただき、大盛況でした!

Fish Partyの様子

↑差し入れの日本酒と鯛のカルパッチョ

↑鯛のお刺身。お花のように盛り付け

↑初めてクエとご対面。ぬめっております。魚をさばける先輩のヘルプでクエと鯛の鱗取りをしましたが、翌日腰痛と筋肉痛になりました。

Fish Party内では、UMITRONのCEOケンさんから、Partyで提供している魚の生産者の方の紹介をしたり、

養殖クイズをやったりと盛り上がりました!

ちなみに、クイズを一部紹介すると、

【問題1】日本全体の真鯛生産量の中で、何割が養殖か、次の選択肢から当ててください。

(a)3割 (b)5割 (c)8割

【問題2】最近では、魚の付加価値を高めるため、育てている魚の餌に、ご当地の特産物や特色ある食材を混ぜあわせたブランド魚が話題になっています。次の選択肢の中で、ブランド魚になっていないものを1つ当ててください。

(a)チョコぶり (b)いちごぶり (c)みかんぶり

わかりますか?正解は...



【回答1】(c)8割

真鯛に関しては今や天然の方が珍しく、それくらい養殖の真鯛は身近な存在になってます。

【回答2】(b)いちごぶり

実在するのはチョコぶりとみかんぶりです。チョコぶりは、チョコの味はしません笑。カカオには抗酸化作用があり、色が変色しにくくなるそう。みかんも変色を防ぐ他に生臭さが低減されたり、ほんのーり柑橘系の香りがする効果があるそうです。

(私が選択肢のいちごぶりを読み上げた時に、やたらニヤニヤしていたのでバレバレだったようです笑。反省)


盛り上がったFish Partyですが、参加者からは、

「鯛もクエも臭みがなく、みずみずしくて弾力があって、とっても美味しかったです!」

「養殖についても知れてよかったです。特にクエが養殖されているとは知らなかったので、驚きました。初めてのクエはとても美味しかったです。」

「(会場で流していた養殖現場のスライドショーを見て)生簀がある海がこんなに綺麗だとは知らなかった!」

「ウミトロンメンバーの目が輝いていて眩しかったです笑。交流も広くできて楽しかったです!」

などなど、感想をいただきました!

生産者の方のご紹介

今回のUMITRON Fish Partyで調理した真鯛とクエを愛媛県愛南町で育てている、本多水産の本多さんです。ウミトロンのシステムを実際に使っていただいています。

現在、本多さんは真鯛とクエ合わせて、数十台の生簀を管理しています。

↑本多さんの生産現場。四角の生簀(10m×10m)がいくつも海に浮かんでいます。生簀を覆う黒いシートは、真鯛の日焼けを防ぐために使われています。

養殖現場になっている愛媛県愛南町の海は非常に透明度が高く、天気が良い日は南国のようなエメラルドグリーンとブルーの姿を見せます。時期により透明度は変わりますが、水深20~30m程度下まで見えることもあるそうです。水温が高く、養殖に適した湾や入江が多い愛南町では、幾何学的な生簀が海に浮かぶ様子を見ることができます。

ほとんどの人は生簀の中がどうなっているのか、見たことがないと思います。Fish Party参加者からも好評だった、本多さんのクエの生簀の中をGo Proで撮影した動画はInstagramに上がってますので、よかったらぜひ見てみてください!(そしてそのままフォローもポチっとしてください笑!)


本多さんのお祖父様・お父様の代から養殖事業を愛南町で営んできたきましたが、お父様の代で倒産。船や漁具などは返済に当てられ、残されたのは漁業権だけ。それでも、

「自分が何とかせにゃいかん!」

という思いで、自ら本多水産を創業し直し、一人で真鯛の養殖を生簀6台から始められたそうです。

海や天候といった自然が相手で変数が多い水産養殖。そのため、数十年にも渡り養殖に携わっている本多さんでも、自分の思い通りにいった年は一回もないと言い切ります。

だからこそ、「自分が思い描いた理想の魚に近づけた瞬間が一番楽しい。難しい目標だからこそ、できた達成感は大きいし、難しさも楽しんだもん勝ちよ」と笑いながら話します。

そんな本多さんは、養殖業者の子供に産まれながら実は養殖の魚が嫌いだったそうです。だからこそ、自分が食べて本当に美味しいと思う魚を育てようと、試行錯誤されています。

「他のクエ業者は生餌、モイストペレットでの飼育がほとんど。成長が良いですからね。うちは配合飼料100%で、養殖臭独特の臭みをとるため、油を極限まで下げたオリジナルのEPで飼育してます。この餌も、何を混ぜて食わせたらいいか、色々試しました。結果、今は緑茶に入っているカテキンを配合した餌で育てとります。
結果、完璧とは言えませんが自分が食べて美味しいと自信が持てる魚ができてます。その点、成長はちょっと遅いんやけどな」

※餌の種類について

生餌:イワシなど生魚の切り身

モイストペレット(MP):生餌や魚粉を固めた半生の餌

エクストルーダーペレット(EP):栄養設計により原料の消化吸収性を高めた固形の餌

例え従業員の方が餌をやったり自分の代わりに働いてくれたとしても、自分が育てている魚は自分の目で絶対に様子を見るという本多さん。日焼けした肌と豪快に笑いながら熱くこだわりや想いを語る姿が印象的でした。

まとめ

Fish Partyを開催して記事化し、合わせて生産者の方の紹介をした背景としては、イベント参加者だけでなく、読者の方々にも養殖について少しでも知るきっかけを作りたいと思ったからです。

寿司屋や居酒屋で「この魚って天然ですか?養殖ですか?」と聞くと、「うちは養殖は置いてませんから!全て天然です!」と言われることもあるほど、日本ではいまだに天然信仰のようなものがある気がしています。

私も、小さい頃食卓で両親から「今日は天然の鮭よ!」と、わざわざ「天然」という枕詞付きで説明された記憶もあります。

もちろん、私も天然の魚も大好きですし、漁獲の漁師さんも誇りを持って仕事をされていると思うので、天然と養殖どちらがいいといった議論をするつもりはありません。養殖の方が生簀で育てている性質上、脂が乗っているとか、食感が天然と違って苦手だと思う方もいらっしゃると思います。

ただ、「何となく天然がいい」と思っている方は、一度色眼鏡を外して考えてみていただきたいです。

天然の、牛や豚や鳥を食べたことありますか?

逆に、天然の牛や豚や鳥なんて、何食べて育ってるかわからないから怖い…という思いにすら個人的にはなります(特に豚や鳥は雑食なので何でも食べます)。


一時期話題になったアニサキスですが、養殖の魚はアニサキスフリーで安心して生でも食べられます。養殖の魚が何を食べて育っているかも、大体上記に記載した餌の種類なので想像がつきますし、今後はトレーサビリティーの観点からより詳細な開示が進むかもしれません。

Fish Partyで実際に養殖のお魚を食べたり、生産現場の様子や生産者の方の想いやこだわりを知ったりすることで、スーパーや居酒屋で「養殖」と書いてある魚を目にした時に、「そういえばこんなnoteあったなあ」と少し思い出していただければ嬉しいです。

以上、令和最初のnoteでした!

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