【沢庵和尚から柳生宗矩への手紙その9:水上に胡蘆子を打ち捻着すれば即ち轉ず】


 胡蘆子(ころす、ユウガオまたはヒョウタンの別名)を捻着するとは、手で胡蘆子を押すということです。
 ヒョウタンを水に浮かべて手で押そうとすると、ひょいと向きを変えて動き、何をどうしても一箇所にとどまりません。
 
 修行を積んで道に到達した人の心も、このようにいっときも何事かに心がとどまりません。水に浮かんだヒョウタンを押すようなものです。
 
 
 
 
水上打2胡蘆子1捻着即轉
 胡蘆子を捻着するとは、手を以て押すなり。
 瓢を水へ投げて押せば、ひよつと脇へ退き、何をしても一所に止らぬものなり。至りたる人の心は卒度も物に止らぬ事なり。水の上の瓢を押すが如くなり。