ビザンツ帝国の野心家:テオファノの昇進と陰謀

ビザンツ帝国は千年以上にわたる長い歴史を持つが、中でもその名が際立つのはテオファノという女性である。彼女は「酒を取り扱う父」のもとに生まれ、その卓越した美貌が皇帝の目に留まり、シンデレラのような昇進を遂げた。

ビザンツの記録はローマ帝国のものほど詳細ではないため、彼女がどのように皇后となったのかは完全には明らかでない。しかし、彼女が皇帝ロマノス2世と結婚したことは確かである。

政治の舞台裏での彼女の動きは、まさに陰謀の連続だった。彼女は夫の父、コンスタンティノス7世の暗殺を計画し、夫の妹たちを修道院に閉じ込め、政治に無関心な夫を影から操ったと言われている。

しかし、その夫が亡くなった後、彼女はさらなる権力を求め、自らの地位を守るためには手段を選ばない姿勢を見せるようになる。彼女は自らの地位を固めるため、軍の有力者ニケフォロスとの結婚を決意。この策略により彼女は一時的に軍の支持を得ることができた。

ニケフォロスは彼女に心からの愛を持っていたとされるが、テオファノは彼に対しての興味を失っていた。彼女はニケフォロスの甥ヨハネスと秘密の恋愛を始め、ついには夫の暗殺を企てた。

この計画は実際に成功し、ニケフォロスは命を落とす。しかし、全てが計画通りに進むわけではなく、テオファノの陰謀は露見。彼女はアルメニアへと追放され、その地で生涯を閉じた。

シンデレラ物語は幸せな結婚で終わるが、テオファノの物語は権力と陰謀の渦中で続く。彼女のような人物の実像は、歴史の中でどれだけ存在したのだろうか。

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