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ドラマ日記『その女、ジルバ』(初回)

手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した、有間しのぶさんの『その女、ジルバ』。実写化した連続ドラマが9日にスタートし、初回から傑作の予感。

「三井のリハウス」の美少女、清純派の朝ドラヒロインというイメージを華麗に脱ぎ捨て、今や演技派として知られる池脇千鶴さん(39歳)が、9年ぶりに連ドラ主演する本作。

閉塞した社会や左遷された職場の中で、人生を諦めかけていた笛吹新。40歳の誕生日に、場末のバーで「ホステス求む!時給2000円、40歳以上」の張り紙を見つけ、扉を開けた先に待っていたのは…というストーリー。

傑作というのは冒頭から引き込まれるもので、会津鉄道の帰省シーン、マスク、そして2019年に時間が巻き戻ってからの、40歳崖っぷち女性のリアルが映し出されるまでの流れが完璧。

すっぴん(&恐らくは役作りで太った)姿でいかにも冴えない女性を熱演する池脇さんはもちろん、草笛光子さんらが演じる熟女ホステスたち、バーテンダーの品川徹さん、昼の職場の同僚の江口のりこさんまで、演技派揃いで皆いい味わい。

もはや着飾ることも忘れていた主人公の変貌ぶりは、シンデレラというよりは『プリティ・ウーマン』のワクワクさ。焼け野原から立ち上げたというバーの歴史をさりげなく語る演出も秀逸でしたし、昼の職場の同僚からのホスト通い疑惑やリストラ候補話など、伏線の張り方も過不足なく。

80代の元気な熟女たちから見れば、40歳はまだまだ子供。戦後の焼け野原からすれば、今の日本など平和そのもの。閉塞感を感じている多くの日本人に、希望を感じさせてくれる物語となりそうです。




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