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『エルピス-希望、あるいは災い―』(初回)

エースの座から転落した女子アナ・浅川恵那(長澤まさみさん)と、彼女に共鳴した仲間たちが、連続殺人で死刑が確定した男の冤罪事件を追う中で、自分の価値を取り戻していく社会派エンターテイメント『エルピス-希望、あるいは災い―』の初回。

大洋テレビのアナウンサー・浅川恵那は人気、実力を兼ね備えた女子アナだったが、週刊誌に路上キスを撮られて番組を降板。現在は、深夜の情報番組でコーナーMCを担当している。ある日、新米ディレクターの岸本拓朗(眞栄田郷敦さん)に呼び止められた恵那は、ある連続殺人事件の犯人とされる死刑囚が、実は冤罪かもしれないと相談される。

冒頭は2018年からスタート。脚本家の渡辺あやさんはインタビューで「2018年の1月に最終話まで書き上げました。」と語っており、カラオケシーンで前年にリリースされた欅坂46の「不協和音」が歌われたり、「森友(問題)」という言葉が使われているのも納得。

エンディングのケーキ箱?の日付は2022年10月24日、つまり本作の初回放送日。2018年から2022年までが描かれるということなのか、本作が放送に至るまでの紆余曲折を表しているのか。賞味期限の意味するものは、テレビ局の未来?箱は「パンドラの箱」の象徴なのでしょうが。

チーフプロデューサー・村井(岡部たかしさん)のパワハラ・セクハラ・モラハラと、それを受け流す恵那。しかし、ストレスで嘔吐を繰り返し、水しか飲めなくなっていて…。泥水を飲むような思いで、男社会で生き延びてきた、ということでしょうか。長澤さんの押さえた演技が秀逸。

政権と親し過ぎて、忖度する報道なども、テレビキー局のリアルなんでしょうね。にしても、『ちむどんどん』の善一さ(山路和弘さん)が副総理役とは(笑)。明らかに誰かをモデルにしてます。

ヘアメーク・さくら役の三浦透子さん(少女時代は根本真陽さん)がキーマンとなり、動き出した冤罪事件。そこに速報が入り、連続殺人が起きた八頭尾山で、再び女子中学生の遺体が見つかったと。根本さんと言えば『透明なゆりかご』で衝撃的な役を演じた名子役。今後も出番がありそう。

恵那の路上キスの相手が、斎藤(鈴木亮平さん)という設定は意表を突かれましたが、この二人の関係も今後の展開に活かされるのでしょう。今期最も楽しみにしていた本作。エンタメとして成立させつつ、骨太なメッセージが込められていて、このまま最後まで突っ走って欲しいものです。


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