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ドラマ日記『その女、ジルバ』(第8話)&『ここは今から倫理です。』(第6話)

人生を諦めていた負け組OLの笛吹新(池脇千鶴さん)が、ひょんなことからバーで働き始め、パワフルな高齢ホステスたちに感化され変わっていく、人生賛歌ドラマ『その女、ジルバ』。第8話は、スミレ(江口のりこさん)がフィーチャーされました。

バーの仕事一本に絞る決意をした新(池脇千鶴)は、ついに会社に退職届を提出。一方、石動(水澤紳吾さん)との恋に浮かれるスミレでしたが、一転、どんよりした表情でバーに現れ…というストーリー。

退職する以上、会社の寮を出なければいけないことを忘れていた新でしたが、あっさりバーの上の階に住めることになり決着。光熱費込みで家賃2万円は安い!固定費が最低限なら、例の感染症が描かれても、なんとかやっていけるかな。

一方、妊娠したスミレは、石動と一時的に連絡が取れなかったことから不安になり、一人で産んで育てると言い出し…生い立ちもあってか、相手を信じることを恐れていたスミレに、くじらママ(草笛光子さん)が語りかける説得力。

あなたは幸せになるのが怖いのね。今までたった一人で、たくさんの辛い思いをして。もう我慢しなくていい。誰でも幸せになる権利を持っているんだから。だから、勇気を持って目の前の幸せに、飛び込みなさい。人を、人を信じるのよ。

みか(真飛聖さん)も島根から上京してきた、バーでの結婚式。内気な夫婦が、二人でブルーハーツ「人にやさしく」を叫ぶまでの多幸感。一転、くじらママが倒れ、来週はその壮絶な過去が語られそうです。

続いて、『ここは今から倫理です。』第6話。雨瀬シオリさんの異色の学園コミックを実写ドラマ化。高校生たちの答えの出ない悩みに寄り添う、倫理教師・高柳(山田裕貴さん)の姿を描いたもので、今回は対照的な二人の生徒が描かれました。

無口な生徒・曽我(犬飼直紀さん)を、喋らせようとする教師たちを、高柳はおせっかいだと突き放す。一方、高柳は図書館でよく同席する田村創(杉田雷麟さん)の悩みに向き合うことに…というストーリー。

まずは一人目の生徒、田村。懸命に働いている母親に報いるために、自分の希望を後回しにして、受験勉強に励んでいるのですが、高柳は心配して哲学者ホッファーの言葉を伝えます。

「他者への没頭は、それが支援であれ妨害であれ、愛情であれ憎悪であれ。つまるところ、自分から逃げるための手段である。」

ここでは、母親への想いはあるのに、肝心の自分自身と向き合っていないのでは?という意味でしょうし、だからこそ、最後に「あなたは努力が出来て、親思いで、とても立派な人です。どうかそんな自分を一番に愛して、自分のために生きてくださいね。」という高柳の言葉が出てきたのでしょう。

もう一人の生徒、無口な生徒・曽我を見ていると、高校時代の自分を見るようで(笑)。誰とも、一言も話さずに帰る日も多かったなあ。そんな曽我に、高柳が語ったのはショーペンハウアーの言葉。

「我々は他人と同じになるために、厳しい自己放棄によって、自身の4分の3を捨てねばならない。」

人は多かれ少なかれ、他人に同調することで生きていて、孤立を恐れがちな学生ならば、なおさら。意味のない、空虚な言葉を並べ立て、偽りの仲間意識の中に生きる教室。そうした不誠実な生き方を、曽我は沈黙することで回避していたというわけですね。なかなかに難解な回でした。


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