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カテイカを見て、当たり前の論理がなくなった世界に生きてるのかなって。

NHK教育では、国語や英語や数学(算数)といった主要科目以外にも、家庭科や保健体育などに関する番組も放送している。中でも家庭科を扱う小学校高学年向けの「カテイカ」はここ数年の番組中でも出色の出来だ

なぞのイカファッションに身を包んだエンドゥ(性別男性だけどおしゃれ)が、ファッションセンスに見合わぬフシダラでだらしのないいい加減な生活をしているのを、「イカ」と先生が丁寧に、計画的な経済計画や生活プラン、お茶の入れ方までいろいろ教えてくれる番組である。

「ねえ、そこのあなた、毎日『マァイイカー』で過ごしてない?」

から始まるイカおねえさんの、「ふしだらな生活」への非難は苛烈を極める。

エンドゥの百倍ぐらいふしだらな生活(連休最終日に昼から串カツと酒をあおるゴミ)をしている僕にとって、もう呼吸困難になるぐらい死にそうなほど、やんわりとした警告を発してくるのだ。

今回のカテイカは筆箱を買いに行く話で、筆箱を買う前に「ほんとうに必要かどうか」をチェック、実際にお店にいって「実物を確認」して買うという当たり前極まりない購入プロセスは、適当にウェブサイトでなんかかって後で後悔する人にとっては、「小学生からやりなおせ!」と言われても仕方ないなって思う。

「これってなんか役に立つんですか?」という質問、子供から大人までよくするだろう。大人になってわかるのは「役に立たなくても椅子に座ってれば給料が発生するし無駄でも逆らうと給料がさがる」という事が多いため、積極的に用無用を聞かなくなる、のかもしれない。


でも数ある小学校の授業で、もっとも将来役に立つのは「家庭科」だろう。なんでもっと家庭科をちゃんとやっておかなかったのか、僕らは死ぬほど後悔するべきであり、そしてふしだらで無節制な生活をいますぐやめるべきだ。

なぜか最後にエンドゥが「イーカンジダンス」みたいな、なんか名前忘れたけど踊るのがナゾで、ナゾだけど、家で料理作ってる最中に踊ってる人とかってこういう気持ちなんだろうって思う。

番組はHPで見える。なぜかフラッシュ必須。

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ウェブライターさんとか、あるいは普通の人もそうだけど、なんだかみんなめちゃくちゃさを一度競い始めるともうそれを止めて普通になることは何かに対する敗北みたいになっている世界に生きてるなあって最近思う。

たとえば、身近なところではガチャにいくら突っ込んだとか、○○してみた、とか。ユーチューバーの若い子がドラッグストアのティッシュロールを潰したみたいな、「メーワク系」(そういうカテゴライズがある)を意識的にやって、それでもPV上がらないことでいろんな事件が起こってるのを見たり、聞いたり、朝10時から翌4時まで働いているのが「普通」になっている会社とか見るたびに「おまえらにはカテイカがたりないよ!」っていってやりたくなるし、逆に自分もカテイカちからが足りないので死ぬのではと思う。

実際にこういうめちゃくちゃな生活をさせられてきた人にも何人かあったことがあるし、そういうめちゃくちゃさを最終的に非難されて酷いことになったこともあった。

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昔、ソラノートという会社があって、Ustreamというサービスを使っていろいろな所に無編集で出入りしたり、ウェブ界隈(Twitterとか)のくだらない諍いをおもしろおかしく取り上げたりして、いろいろ大丈夫か、と思ったことがあった。その時に矢表に立っていたのは、そらのさんという若くて可愛らしい女性のキャスターで、いろいろあってソラノートをやめた。

いまどうしているのかは分からない。彼女はふしだらではなかったけれど、めちゃくちゃだった。

そのめちゃくちゃさを喜ぶ風土がインターネットに芽生えていたのはたしかだった。2000年代の日本のインターネットはアンダーグラウンドなNEWカルチャーであり、だらだらしてふしだらなものが毎日死ぬほど大量に流れていた。いまよりもっと「ヒドイ」状態だったのだ。それをおもしろおかしく消費する裏側で、そらのさんのように燃え尽きて消えていった人が星の数ほどいた(そらの氏を擁護しているわけではない)。

でもきっとみんな家庭科をちゃんとやってたらこんなことにはならなかったはずだ! よくわかんないけど! 終り!

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