埋蔵金信じてないよってドヤ顔で言うのやめて。

24時間テレビが始まった。まあ予想通りあまりおもしろくない。裏番組のゴッドタンをしばらくみてから、阿久悠のドラマのところだけ見た。

24時間テレビではないけれど、90年代は徳川埋蔵金の時代だった。糸井重里さんがとにかく熱心に追いかけていた(フリだとおもうけれど)、TBSでは年がら年中特番を組み、重機でひたすら穴を掘りながら、何度も何度も同じビデオを流し、徳川埋蔵金がここにある可能性があることを示唆しながら、雨が振ったり泥まみれになったり、何をしているのか多分誰も理解していないだろう作業員の人々がひたすら穴を掘り続けるという番組が何度も放送されていたのだった。

意外かもしれないけれど、この徳川埋蔵金特番は面白かった。何が面白いのかうまくいえないが、泥まみれでひたすら穴を掘っているところや、地質が変わって赤土がでてくるだけでみんなで興奮したりする。

この感じが一番近いのは、織田裕二による世界陸上の実況だろう。六時間後のスタートを前にして「このあとすぐ!」と行ってしまったり、選手を無視してひたすら話続けているようなあの無意味な興奮は、出てくるはずのない徳川埋蔵金を追い求める姿に何か重なって見えた。

似たような話では、松方弘樹の世界の釣り旅行番組がある。世界中のあちこちで巨大なカジキマグロを釣り上げる旅をするという、身も蓋もなくそれだけの番組なのだが、時折挟まれるカジノでの豪遊だとか、ムダに贅沢な料理だとか、地元の漁師との交流だとか、いろいろするが、最終的にはカジキマグロだ。

そして釣れない。

深夜の24時間テレビは、そうした過度な興奮で疲れ果てた会場を暖かく笑うための長時間のブレイクタイムである。お笑い芸人がたくさんでてきて、あまりおもしろくない笑いも含めて笑う。笑うことで、いままでの、社会正義とコレクトネスで呼吸困難になりそうな正義の大宣伝を、それがロング・ジョークだったことを密かに示すはずだ。

それでも僕は24時間テレビに必要だった、あの無益な期待がなくなったことに悲しさというか、虚しさを覚えるのだった。みなさんはどうですか。

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