保守的な女の子を量産する話

平安女学院大学、倒産寸前から再生で就職率100%達成 “大学のゴーン”が狙う次の一手 http://biz-journal.jp/2014/07/post_5339.html 

ビズ・ジャーナルの記事。平安女学院大はマジで倒産寸前というか、ほぼほぼ倒産しかけていた大学だったのだが、そこから立て直した話である。この話のポイントはいくつかある。

一つ目は「スーパートップダウン型」に変えたこと。それまでの教職員がどれだけダメだったのかよくわからないけれど、そういう形でメスを入れなければならないぐらいに腐敗していたのだろう。

二つ目がポイントで、この理事長はすさまじく保守的な男女観を持っているようだということ。こちらに寧ろ興味がある。

 立派な社会人とは、大企業に就職することだけではなく、立派な親になれる素養をもった人間だと私は思っています。うちは女子大学ですから、立派なお母さんになれる人材を育てたいと思っています。明るくて気配りができて、思いやりがあり、我慢強く、献身的な努力ができるような人材のイメージです。平安女学院では「貴品女性」という大学のブランドをイメージするような造語をつくり、そのような女性になるために、実学と教養教育を強化し、お茶やお花など文化や歴史を学ぶ講義も重視して展開しています。財政が厳しい中、旧有栖川宮邸を買い取り、そうした講義などに活用しています。
 教養教育重視は、今の日本の大学教育で欠けている部分だと思います。平安女学院ではこうした教育を強化した結果、卒業生は積極性とコミュニケーション能力が高く、責任感も強い人材が多いと社会に評価され、それが就職率向上につながりました。現在の就職率は2年連続で100%です。

もちろんこの「100%」は全員就職したではなく、内定率二社以上がこれだけあるということ。本のほうでは「ホスピタリティ」と言っていたと思うけれど、「保守的な価値観を持った教養教育を受けたお母さん的な学生」がウケたというのはある程度頷ける。

ところで、この理事長は後段では大学の助成金や補助金改革についてあれこれ書いているが、権力分配のあり方としてはここ15年ぐらいの文科省/政府が推進してきたその理想型だといえる。理事長が優秀・・・・・・というか正気だったからできた大改革だが、もしこの改革が失敗していたら普通に旧有栖川邸もどうなっていたか分からなかった。いや、けなしているのではない。僕はこの改革を普通に凄いと思う。

それでも気になったのは、恐らくいま社会も父兄(保護者)もなってほしい大人の像はこうした「お母さん」に近い保守的な女性なのだろうということである。お茶の水女子や日本女子大学ではよりリベラルな女性教育が施されているはずだけれど、むしろ西で求められているのは理事長が述べるような「こういう女性」なのだろう。

それでいいのか、と言えば、どれほど就職率がよくてもどうかなという気がする。ちょっと遠いが、九州では未だに女性差別が普通にすさまじく、財界で活躍する女性は「ちょっと」という感じだと聞いた。ある女性に面白い話を聞いたことがある。恋人が友人を連れてきたときのことだ。友人が家から出て行くとき、その恋人(男性)は家のなかにいて「おまえが玄関までお見送りをしろ」といわれたというのである。

この話はいろんな意味で示唆に富むなあ、と最近よく考える。恋人氏は友人達にたいして強いホスピタリティを表現したいが、自分のジェンダーによってそれを表現することはできない(という慣習が九州的らしい)。しかし、恋人の恋人氏(女性)を道具のように使ってジェンダー傾斜を作り出すと、ホスピタリティを実現できるのである。

これは実現しないでよいホスピタリティである。礼儀でもなんでも知ったことではない。このようなホスピタリティは犠牲の上にしか成り立たない。そして犠牲に対価はない。そしてもし、企業が女性に対してこうした犠牲型のホスピタリティを求めるのはおかしい。

平安女学院的な改革はそうした犠牲的なホスピタリティを育てることに成功したんじゃないか、という気がしてならない。そして僕らは教養教育を笠にきて、そうした「いうことを聞くだけの女」を育てようとしているのではないか、と常々疑うべきであり、自分もまた「いうことを聞くだけ」の女になっていないか点検する力を失わせているのではないかということである。

ただ、まじで大学をえらぶときは教員の著作を読むことをすすめるよ。学生諸君。

まあ、どうでもいいのだけれど。それから所属学会に「おもてなし学会」ってある人がいるんだけど、この学会機関誌がまだ出ていないらしい・・・・・・。サイニーみてもでてこないなぁ。

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コメント4件

日本は小学校中学校から従順で逆らわない人間作ってる 社会習慣もそんなんだし、大学だけピンポイントで指摘してもむしろ問題を見誤る
そこに通いたいと願書を提出する受験生のマインドはどのようなものなのだろうか。
本当にあるんですね、こんな教育方針。びっくり&怖いです!!
安倍政権の岩盤支持45%の礎の一つは若者の(現状を肯定するという意味での)保守化です。最近はディベートの訓練をする高校も多いのに、基本的には変化を嫌う10代が量産されている。日本の将来には、そんな余裕はかけらもないのに、と危惧を通り越して恐怖を覚えます。
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