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竹取物語の中には翁と姫が結婚してた話もある。

国語の時間に『竹取物語』を読まされたことがあるだろう。

竹を取って暮らしてる翁(じじい)が輝く竹の中から子供を見つけて・・・・・・という話。冒頭の

いまは昔、竹取の翁といふものありけり。

から始まる文章を「三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。」まで暗誦できる人もいるだろうと思う。

よく知られた事だけれど、このような『竹取物語』の他にかぐや姫と翁の話にはかなり多数のヴァリアント(異説)がある。その多くは『今昔物語』や『海道記』、『毘沙門堂本古今集注』(まあ中世の古今集注釈)などに多数登場する。

異説とはいってもその多くは断片的なもので、富士山の名前の由来が記されたり記されなかったり、求婚者たちに無理難題をいったり言わなかったりと様々なパーツが違うという程度か、もうまったく別物か、である。そのヒロインの名前も、「かぐや姫」ではなくて「鶯姫」と言われることが多い。鶯の卵から生まれたからそういう名前なのだそうだが、光る竹と鴬のタマゴとどっちが詩的かは分からない。

こうした竹取物語のいろんなシリーズをまとめて「中世竹取説話」というのが通例になっている。正直グッドな名前ではないと思うけれど、そういう事になっているので踏襲することにしたい。

今僕がちょっと手がけているのはこうした「中世竹取説話」の一つで、それは「鶴の恩返し」と「浦島太郎」と「竹取物語」を一緒くたにして適当に混ぜたような話になっている。

連歌で使われる特殊なことばを説明するある本に見える小さな一挿話、しかもその挿話にある「駿河翁」というのは連歌の使用例が見られないという残念さである。それによると大きくなったかぐや姫は「翁は天上の王であった。その昔、私はあなたと結婚していた。今一緒にいられてうれしい」というようなことをいうのである。

ロリコンである。

ちなみに画像はウィキペディアで「多幸感」のページを調べるとでてくるやつ。

二次創作の話をしたい。僕は二次創作が好きだ。とくに途中でヒロインが急にエロいことを言い出す作品が好きだ。なんで好きなのかはわからないが、そういう「想像力」を欲望化させるような作品は良い意味でも悪い意味でも力がある。

たぶん、中世の人達にとって竹取は源氏や伊勢に比べてもはるかにこうしたエロチィックな観念を欲動させるものだったのだろう、と思う。かぐや姫が天人であり、あっという間に大人になったというその儚さによるのだろう。かぐや姫が翁と昔は結ばれていた、という話は、姫と翁とが、違う時期に、同じような時間を過ごしていたことを示す。うらしま効果というやつだ。たぶん。

ぼくはずっと、こういうクソみたいな話には見向きもせずに、大古典を理解するようにと言われてきた。それは正しかった。世の中にはいろーんな大古典が生きていて、いまでもそれを知っているか知らないかは大きなアドバンテージになったりする。

そんなのくそ食らえ、二次創作を食らえ! という気分にさせてくれる。

そういうのが好き。





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