焼きそばやの話。

最近、神保町やらあちこちに焼きそば屋が乱立しているようだ。焼きそば、といっても出店でみるようなぐしゃっとしたジャンクフードではなく、やや堅めで太い麺を使ったなかなか本格的な料理だ。中皿にのって390円から600円ぐらい。美味しい店は美味しいが、美味しくなくてもまずくはない。

僕が入ったのはそういう焼きそばやの一つで、店の中ではずっとロッキーがでかい画面で流されつづけていた。だいたい映画を流し続けている店に碌なものはない、というのが個人的な予感で、それはまあ思い切り当たった。

焼きそば屋は体育会系だった。というか、体育会系であることを客に要求するお店だったのだ。僕は焼きそばを黙々と食べながら、なにもおこらないことを期待して時間がすぎるのをまっていた。店主の怒鳴り声と店員の元気のよいというか、なんかへんてこな叫び声を聞きながら。

僕は中盛りの豚バラ肉がもりあがった焼きそばを食べていた。美味しいかどうかといわれれば美味しかったが、ソースの味が強くてたまらない、という感じだ。十五分ほどで食べ終わった。店には次々とがたいのいい男性が入ってきた。

そしてなぜか、僕の前に再び塩焼きそばが差し出された。このときのぼくは「!!」という、メタルギアソリッドのスネークが見つかったときの効果音が頭に鳴り響いた。店主はいった。

「おごりだ」

おごられても僕はそれを食べきれる予感がしなかった。あわあわとうなずくと、「間違えた」といって、すっと皿を外され、となりのとなりの席に塩焼きそばはもっていかれていまったのだった。

この時の空虚感を店主にぶつけるべく、ぼくはこういった「びーる」と。

店主は麦酒をだした。麦酒をだして、そして、なぜかコーラで割った。びーるをこーらで割ってぼくに出したのだった。

「暑いからな」

仏陀。暑いから麦酒をコーラで割るのは仏陀の諸行だった。そうでなければ、この理不尽に説明がつかなかった。僕はもう何もかもいやになってしまって、しばらくもけもけしながらびーるのコーラ割りを飲んだ。そして店をでて(お金は前払いだった。麦酒コーラは現金をその場でわたした)。

店からでるとJkが通り過ぎていくところだった。推し松が誰かを話していた。『虹色デイズ』のような青春と無縁そうだけれど、それはそれで輝いていた。僕はそれからしばらくあるき、コーヒー屋に入ってコーヒーを飲んだ。そして電車に乗って、その間に焼きそば屋のすべては激烈な競争にされされる焼きそば業界における過剰なサービスではないか、と思った。

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ここまで読んでくれればわかると思うが、この記事はソニーへの応援歌だ。みんなでソニーを応援しよう。ぼくはこのことを一番伝えたかったのだ。焼きそばくってる場合じゃないんだ!

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