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【nier:automataプレイ日記②】

これまでのあらすじ:遊園地でオペラドーモと交戦し、辛うじて勝利した2Bと9S。帰路に妙なドーモトルーパーと出会った。「おまえたちを村に連れて行く」罠だと恐れつつも、特にやることもないのでついて行くことにした二人は、森の中で築き上げたツリーハウスの村と、白旗を翻すドーモトルーパーであった。

「ドーモ、ヨルハの客人よ。わたしはパスカル、この村の長を勤めています」マイナードーモがノイズ混じりの電子マイコ音声でアイサツした。その声は穏やかで、優しかった。

「敵意のないドーモトルーパーが作った集落ですか、ちょっと信じられませんね。やはり僕たちを油断させるための罠なんじゃ……」ヨルハ部隊の常識を覆す現実に、9Sはいささか懐疑的な様子だ。

「いきなり完全に信頼してくれというのも無理がありますね。ですが私たちは未だに荒野でさまよう同胞と違い、自我があります。自我が目覚めた我々は、ゼロ化の命令から解き放たれ、もう二度と戦わぬよう、自発的にここに集まったんです。もしよかったら、村を見回って、皆と交流を取ってください。我々が平和を望む心に一片の偽りもないことを、きっとわかるです」

「ですって。どうしますか、2B?」と尋ねる9S。

2Bは少し思案し、模範ヨルハ軍人として最良の答えを導き出した。

「パスカル、白旗意味知っているようだな。だが軍人相手に白旗をあげる民間人はいかなる末路が待っているかもわかっているな?」

「と、おっしゃいますと?」

「こうだ」2Bは咄嗟に腕をしならせてカタナを投擲!「グワーッ!」白旗を揺らしていたドーモトルーパーの両膝が切断され、地に倒れた。サツバツ!

「2B!?」「なっ!?」訝しむ9Sとパスカル。倒れているドーモトルーパーに近づく2B。「目が赤くならないのか?」

「アタリ、メエだ!ピガッ、イキナリ、ナニしてくれヤガルンダ!」ドーモトルーパーが腕で体を起こした。「トウイウことデスカパスカルさん!平和主義っテノモ限度がアルぞ!」

「どうやら戦う意志がないのは本当のようだ」2Bは負傷したトルーパーのそばで片膝をついた。パンモロ。「すまなかった。資材を分けてやるからそいつで修理しろ」

「ザッケンナコラー……!タタで済むトデモ……アイエッ!?」ドーモトルーパーは戦慄した。目の前のアンドロイドが死神のごとく冷たい視線で自分を見射抜いている。いや、アンドロイドの目黒いは布に覆われて窺い知れないが、そんな気がした。「アイエエ……ワカッタヨォ……」「許してくれて感謝する」(アイエエエ……)ロボットはしめやかに失禁し、冷却液を漏らした。それが切断された両足から漏れ出るオイルと混ざり合って、識別しにくくなったのはせめての救いであろう。

「これで十分に、私の信頼を得た、パスカルこの村のことはバンカーに漏らさぬと約束しよう。また来る」「貴女って人は……」頭を俯いて、悲しいそうなパスカル。

「行こう、9S」「あっ、ちょっと、待ってください!」9Sは一度振り返り、申し訳なさそうな表情でパスカルに何を言おうとしたが、ヨルハ軍人の矜持がその言葉を押し戻した。

桟橋を歩きながら、9Sは非武装トルーパーの村のでき事を脳内で反芻した。そして初めて、模範的ヨルハ軍人である2Bに対して畏怖を覚えた。あれは軍人としての正しい判断かもしれないが、余りにも冷徹であった。目の前に歩いている人型、その中に一体なにが潜んでいるのか。

ガツ、ガツ、ガツ……ブーツのヒールが板に刺さる音、続く沈黙。センサー感度を上げると、周囲の機械たちの音が耳に入る。

「ナァ、聞イタカ?デムシのオッサンがサ……」「ヒドイわ……」「パスカスサンの気持ち踏ミニジッテ……」「ヤハリアンドロイド、コワイ」

様々な感情が9Sの中に行き来する。耐えられない。僕は今、ここで、2Bの真意を知らなければならない!

「ねえ、2B……」「さっきのことなら、ちゃんと直せるように斬ったよ」「いやそうじゃなくて!そこまでやる必要があったんですか?相手は一応非武装平民でしたよ?」「奴らは私たちと同じ、戦争のため作られた機械、手と足さえあれば十分、脅威になる」「そうですけど……」「あと甘ったれた平和主義を唱えるのが個人的に気に食わなかった。だから教えてやった。戦いを放棄するとは、ツキジの冷凍マグロと同じ、切り刻まれても文句言えないことを」「……そうかもしないですけど、でもこういう時代こそ、平和を信じることも、大事なんじゃないのかな?戦争がいつか終わって、平和の時代を迎えられたら、平和について詳しい彼らこそが、必要されるか……も?」

ガッカ、2Bは歩きを止め、踵返した。その顔にはいつになく凄みがある。

(ヤッベ!)9Sは殴られることを覚悟し、体を縮めたが、2Bの手は、優しくかつ力強く彼の肩を掴んだ。

「その考え方、悪くない」「はい……?」

2Bは怒るとこか、その口元が微笑んでいるようにすこし吊り上がっている、9Sは再び2Bの美貌を再確認し、見惚れていた。

「おまえの言う通りだ。いつの日が、もう戦わずにすむ世界が来るかもしれない。その時はおまえのような平和に役立てるアンドロイドが真価を発揮する時代が来るだろう。それまでに私が戦い続ける」

「2B……」もしその時が来たら、貴女はどうなるんだ?と問いたい衝動を抑えて、9Sは笑顔で2Bに返した。「じゃあもっと頑張ってもらわなくっちゃですね!」

「ああ、そうだな。急ぐぞ、9S!」「はい!」

森の中を、二人のアンドロイドは陸上選手じみた美しいフォームで走りぬいた。

大人の演技をする悠木さんの優しさの裏側に無限に広がる虚無と闇を感じさせるところが好きです。あとこれプレイ日記というより同人小説になってませんか?

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