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【剣闘博打】ファーストクラス・ソーティション

 午後、どこかの地下街。ここは数多くのおもちゃ屋、ゲーセン、カードショップ、ゲームショップが並んでいる場所。秋葉原より遥かに小さいが、それでもこの国において屈指のナード街である。

 夏休み中、現実に希望を捨て、モニターの向こうや紙上にいるベイブに慰めを求める大勢の青少年が行き来する中、アクズメの姿があった。事件発生後、彼は剣闘できる場所を求めて各地に回り、ここに来た格好だ。

 そして彼は失望した。

(チッ、どこの店もDBHに変わったか、稼働停止になってやがる)

 さっそく挫折した彼だが、せっかく来たので、もう少し店を回ることにした。

(最近流行っているのはやはりデーモンスレイヤーか。すげえ量のグッズだぜ。む、あれは)

 店の前にぶら下がっているアイカツ!の一番くじが彼の注意を引いた。

(一回でコイン50枚……およそ剣闘18回分か。クソ高いな。いやでも)

 ここ最近の剣闘不足で、ちょっとした額が溜まっている。金を使いたい欲がうずうずしている。

(じゃあ、一回でも)

 彼は腹を決めて、店に入った。

「すみません。くじを引くやつをやりたいっす」
「はい、それにするかね?」
「アイカツの」
「アイカツね……何回で?」
「1、いや、二回でお願いします」
「待っててね」

 店員がガラスショーケースからJRのチケットみたいな紙片がたくさん入った箱を取り出し、アクズメに差しだした。

「二枚取って」

 店員に言われて、アクズメはわざと下にあるくじを選んだ。何気に下の方がいい賞品もらえる気がした。

 くじの表面に刻まれた切れ目を沿って、ペリペリと開封していく。一枚目、M賞。何らかのキーホルダー。せめてアクリルスタンドが欲しいと彼はは思った。二枚目、B賞、ルミナスのクロス。えっ待って、B賞?

 Bとは、Aの次、つまり二番目大きな賞である。しかし一番くじ初体験のアクズメはピンとこなかった。

「これらが当たったんけど」
「OK。ちょっと待ってね」

 くじをチェックした店員がショーケースの中から、それなりに大きいビニール袋の包みを取り出した。(うわ)アクズメはこの時点で当たりを引いたと自覚した。

「B賞です。おめでそう。そしてこれがM賞。中から一つ選んで」

 ショーケースの上にデフォルメされた(今週の格言のあれだ)アイカツキャラのキーホルダーが並んでいる。ひなき同志、かえで、きぃ、三つ葉さん……他に何があった気がするが忘れた。彼はとりあえず無難にきぃを取った。

  後ろにほかの客が待っている。アクズメは剣闘の掟『ことが済んだら席を譲れ』に従い、店を後にした。

(一番くじ、なんかいいよな。またやってみよう)

 沼にハマった声がした。

 デデン

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 今日の収穫。B賞貰えのはいいけど、俺は部屋をあまり飾らないタイプのオタクなんだよな。同士たちが俺のオタク瘴気に触れて黄ばんでいくのも忍びない。

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 未開封でもあかり同士の御顔を拝める。ちょっと可愛すぎないか。

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 裏返すと同志三人の御足、特にひなき同士の可憐な足指が……破ァーッ!!(彼が己を強くして邪心を振り払った)

 こんな物、俺の部屋では飾れない。俺にも荷が重すぎる。欲しい人が居れば譲ろう。本名と住所がアクズメさんに知られても構わないのなら、国際便で日本にも送るよ。送料は頂くだど。

 では、しばらくは同志たちをクローセットに中にしまっとくね。

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