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パンと魚と剣の奇跡

 ローマの探り手を避けるため船旅し、寂しい所に来たイエスと弟子だちだが、なんと、イエスを慕い、教えを求める群衆が羊が牧羊人を追うように彼らの後についてきた。その数、なんと五千!

 イエスがスピーチしてしばらく、空の色が暗くなった。群衆の中から空腹を訴える声が聞こえた。

「先生、時間が遅くなりました。今日の説法はここまでにして、皆を解散させまて近くの村に活かせましょう。それに」弟子のユダがイエスに近づき、小声で囁いた。「先程、気で探りましたが、"鳶"が潜っております」

 鳶とは、イエスと弟子達が用いる隠語で、ローマの刺客を意味する。

「ふむ」

 イエスはよくて入れた形のいい顎髭を手で梳き、しばらく思案して口を開けた。

「施しましょう。鳶にも、我々の懐の深さを見せてあげよう」

「先生、しかしですが、我々に残された食料がバン5枚と干し魚2本、とても足りると思いません……いや、決して先生のおっしゃったことを疑ったわけではありません!ただ現実的に」

「海さ……」

 イエスは顔をあげて地平の彼方を見た。夕焼けが男の愁いを帯びた顔を照らし、宗教絵じみた荘厳さを醸し出した。ユダは師のハンサムを見惚れて、息を呑んだ。

「ユダよ、覚えておるか?最果ての岬で見た、あの巨大な蛟を」

「はい、忘れるわけがありません。」

「あれがあれば、何万人分の食べ物が賄えるだろうな」

「何を言っているのです!?アレを見た際、先生は驚きのあまりに倒れて、二日寝込んだのではないか!」

「あの時は私が未熟だった、だが今は違う」イエスは立ち上がって、ユダの肩を叩いた。「私を信じなさい」

「あ、はい」

 ユダはこれ以上口出しなかった。

「皆の者!遥々私について来て、まことに殊勝であった!皆の苦労に応えるべく、空腹の者を満たそう!私は食料を調達しに参る!およそ……明日の朝に間に合う!しばし待たれよう!」

「なんと、主は我々にご馳走くれるんじゃ!」「女房子供を家にほったらかして追ってくる甲斐があった!」「朝食になっちゃうかぁ」

 人々が騒然している中、イエスは元漁師のヨハネとヤコブを呼んだ。三人はバンをちぎり、親指大の欠片を食べ、カロリーと栄養をチャージした。これはただのパンではなく、イエスが父に祈禱を捧げながら捏ねた聖食である。

 バンを食べた三人は野を駆けた。寂しい所と最果ての岬は200kmぐらい離れているが、聖食でブーストした三人の脚力を持ってすれば2時間もかかなかった。断崖縁に立つイエスが広大な海に向かって叫んだ。

「リヴィアダン!海の悪魔よ!ナザレのイエスが貴様に挑に来た!出てこぉい!」

 すると、ゴォォォォ……大気が震えて、海面が大きく隆起し、まるで巨大なを天を衝くよう柱めいて、最強と呼ばれる終末の獣が姿を現した。巨大すぎたウナギと似た頭の横に、胸鰭が翼のように広げている。リヴィアダンは鎌首を曲げ、左右4対の目でイエスを見下ろした。

『誰かと思えば、儂を見ただけで泡を吹いて失神した小僧か。今度は何だ?もっと辱めてやろうか?』

「あの時の私ではない!ヨーン、剣を!」

「ハッ!」

 ヨハネからバスタードソードを受け取った。その剣の名はシュピナートヌィ・サラート・スヨーグルターム、以前鉱山町に立ち寄った際に、異様に背が低い老人に贈られた。イエスが老人の言葉を思い出した。

「御子よ、数多くの苦難がおぬしを待ち構えておる。これがおぬしの役に立つだろう」

(御老、今がその時ぞ)

 イエスが剣を抜き、頭上に高く掲げた!

「シュピナートヌィの誇りと共に!」

 イエスが唱えると、剣神に刻まれた”ספינאטו ניסאראטו יוגורטום”の古代ヘブライ文字が光ってイエスを包んだ!勇壮な音楽が響いた。

THE-SATH!
ドコドコドコトドドン
THE-SATH! THE-SATH!
ドコドコドコトドデデン
WOWOOOO
THE-SATH!

 そして不思議なことに、イエスの身体はパンプアップして、筋骨隆々の戦士に変化した!

「I AM THE-SAAAAATH!」

 高らかに宣言!シュピナートヌィ・サラート・スヨーグルタームの力を借りて、イエスが戦士ジ・サスに変身したのだ!

 ジ・サスが剣を構え、先端からビームを射出してヨハネとヤコブに当てた!「ARRRRGH!」「WARRRR!」二人もまたバンプアップし、青銅鎧を纏った鎧武者に化した。

「ゆくぞ!」

『面白い!かかって参れい!』

 リヴィアダンが胸鰭を強張らせて毒液をまき散らした威嚇!叙事詩めいたが繰り広げた。激戦の最後、三人はリヴィアダンの身を1tを切り落とすことに成功した。戦士達がそれを担って、早朝まで寂しい地に戻った。弟子たちが肉を焼き、群衆に分け与えた。リヴィアダンの肉を食べたローマの刺客はあまりの美味しさで任務を放棄してイエスを支持者になったとさ。

【HAPPY END 本文1982字】

シュピナートヌィ・サラート・ス・ヨーグルタームのこと考えてたらノってきました。一人一点とか書いてませんしいいですよね?



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