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タピオ・カーン INTO SWEETIA

 FLAAASH!

 森の中、神が放った火柱の如く太い稲妻が落ちた。その直後……

 ズッグーン……グラタァァァン!!!

 神の怒りの如く大きな雷鳴!キャンディリス、トフィーフォックス、シロップラクーンなど野生動物が逃げ惑う。

 稲妻が当たった場所、クラウン・ゼロ。木々が倒れ、土が爆ぜてクレーターが生じた。そのど真ん中、モンゴル帝国式鎧を着たひげ面の男と、彼が載っている漆黒の毛色のモンゴル馬がいた。

 『……カーン』『プフーン』

 降りしきる雨の中で、男は状況整理すべく、深呼吸した。「スゥ……」空気の中に焦げたキャラメルの臭い、乳が腐った臭い、カビの臭い混じっている。男は眉間に皺寄せた、何かが起きている。とりあえずより広い場所に出て、視野を確保したい。「ヤァ!」男は跨っている黒いモンゴル馬を励まし、クレーターを登った。

「レイェレイェ、レレレ……レッベぇ!?」

 呑気に枝に止まって呑気に鳴いていた緑黄色の鳥に矢が刺さり、奇妙な断末魔をあげて転がり落ちた。男は鳥の死体を拾い上げ、翼を広げたり足を伸ばさたり確認したした。見たことのない種だ、なら味はどうだ?男は鳥の左足をかじって、パリパリと咀嚼した。食感はまさしく肉だが、味はレモネードのような甘酸っぱさがある。なんと不思議な味か。残りの鳥を黒馬に口元に運ぶと、彼女がポリポリと鳥を噛み砕いた。

 馬は徐行で森を進むと、やがて気が少なくなり、視野が広い場所に出た。男は目を凝らし、遊牧民族視力で50㎞先の光景を目に収めた。遠い所に黒い煙が上げている、さらにズームインすると、城らしき大きな建築が見られた。それを見た瞬間、男の心臓は動悸し、訳も知らぬ衝動が全身に駆け巡った。あそこに行かねばと。

 男は自分がなぜこの場所にきたか分からない。しかし自分の背中に弓と矢筒、腰に刀がある。股の下に戦馬がいる。そして先に戦場がある。ならばやることはただ一つ。男は柄に黒真珠を嵌めた刀を高く掲げ、自分の名を叫んだーー

『タァーピオォォ……カァーーン!!!!』

『タピーンフィーヒヒーン!!!』

 主人の昂ぶりに応じて、戦馬は前足をあげて嘶いた。その瞳は赤い光が帯び始め、鼻孔から炎の息を吹き出す!彼女はただのモンゴル馬ではない。悪夢の化身、夜の戦騎、モンゴルナイトメアなのだ!

『ヤー!』『タプルルッ!』カーンはナイトメアの脇腹を蹴り、加速を促した。魔馬が黒い風めいて野を駆ける。すぐに人の手によって拓かれた道路が見つかった。このままをすすめば、いずれ村や町に出会すだろう。カーンは笑い、またみぬ出会いに心躍った。

 歯向かう者は殺す、協力的ならば有用の情報を聞き出し、気分次第で殺す。畑があればキャッサバも植えて、軍隊を増やそう。目指すは世界征服だ。雄大なビジョンを思い馳せながら、タピオ・カーンは突き進む。

 ここはスイーティア、かつてスイーツ達平和に暮らしていた国は今、覇権をめぐって、スイーツ達が殺し合い、シロップでシロップを洗う、混沌極めた土地だ。

これはなんですか?

2019年6月23日、奇にも同じ日に、タピオカを主題にした小説が投稿された。一つはしゅげんじゃ氏のスイーツを擬人化したキャラがバトルを繰り広げるタピ子 Queen of the Sweetsと、私が書いたタピオカの化身である大王タピオ・カーンがタピオカをなめた奴を理不尽に蹂躙するタピオ・カーンシリーズだった。

運命かな。

タピ子を読んでライバル意識が高まったと同時に、スイーティアにカーンを乱入させたとずっと思っていた。完成したのはこれだ。スイーティア側のキャラは一人も出てないのでクロスオーバーとは言い難いね。

スイーティアのスイーツたちはどいつもこいつも只者ではない。タピオカーンとナイトメアにとって未曾有の苦戦になるだろう。続き?気が向いたらね。


タピオカーンの軌跡に迫ろう



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