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ダンテ祭りで感じるイタリア人の郷土愛

こんにちは、note読者のみなさん。

今回は イタリアで目にした
「自国文化と郷土への愛」の表現方法
についてお伝えしたいと思います。

1 イタリアの歴史とダンテの関係、簡単におさらい

イタリアが現在の統一国家となったのは1861年(日本は幕末)

それ以前は
ブルボン家が統治する両シチリア王国・
オーストリアの息がかかったロンバルディア=ベネト王国・
教皇領・
トスカーナ大公国・
サルデーニャ王国
などにわかれており、

さらにその前も、教皇領と小都市国家が林立する半島でした。

フィレンツェがルネサンスに突入する少し前、
イタリア語がまだラテン語の俗語としか認識されていなかったころ、
「俗語は口語」「筆記はラテン語」が常識だった時代に、
「神曲(Divina Commedia)」などを
イタリア語で記述し発表した詩人 ダンテ・アリギエーリ。

イタリアが統一国家となったとき、
人心に帰属意識や統一国家感を醸成させるため、
「イタリア語」の父としてのダンテが大変重要視され、
国民学校では必ず「神曲」を学ぶことになりました。


2 ダンテ祭りへの絵画受注

2021年は、
そんなイタリアの文化の象徴のような
ダンテの「没後700年」
所縁の各地でさまざまな催事がありました。

2021年初頭、
フィレンツェに住む友人から、ある日、
こんな依頼が来ました。

「神曲」の中の数行を額絵にしたいのだけど、、、

詳しく聞くと、
「ダンテが書いた詩篇の中に、
Acone町の名が登場するので
そのフレーズを絵にして
700年祭を開催する町lに寄付したい」

このAcone、
フィレンツェの北東約40km、
ロマーニャ地方へとつながる山中の小さな町
ポンタッシエーヴェ市に属す。
この依頼主の祖先の出身地なのだとか。

筆者も過去に訪れた際に
町に一軒だけあるトラットリアで
名物のPenne ad Acone を味わったことがあります。
このペンネ、レシピは門外不出だそうです。

3制作

一旦 文字だけのものを試作した後 それは没に

町の写真を支給されたので
風景を左半分に描き、
手書き文字でダンテのフレーズを右半分に

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めでたく依頼主の友人に納めました。
そして彼女はAcone市民文化クラブへ寄贈。

この友人が色々奔走したおかげで
イタリア語の言語研究の権威的学会である
アカデミア・デッラ・クルスカや
ポンタッシエーヴェ市の後援などを取り付け
Aconeダンテ祭りは大成功に終わったのでした。

4イタリア人の郷土愛・懐の深さ

自分の郷里の文化的価値を高めるよう
歴史や文学の中にそのネタを求め
絵画という形にして記念する

そして私のようなガイジンにも門戸を開いてくれる

イタリア人の懐の深さを 
改めて
感じさせていただきました。


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