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【3】#かんたんなアンケートと300字で勝手に本をおすすめする 穂村弘『もしもし、運命の人ですか。』

かんたんなアンケート(年齢や性別、好きな色など)と300字のなんでもいいなにか文章のようなものを書いてもらって、それを読んで独断と偏見で本をオススメする、という連載をやっています。今日はその第3回です。

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【#5】26歳・男性・八百屋/イベンター

好きな映画:グレイテスト・ショーマン
好きな作家:原田マハさん(しか知らない)
好きな色 :青
最近興味があること:コミュニティづくり。パートナーづくり。同年代の繋がりの楽しさ。青春。

ナンパしたら「八百屋はちょっと…」と断られた。そんな夢をみた。ナンパなんかしたことないのに。悲しい目覚めだったがその日は初めての婚活イベントに行く日だった。夢がちょっとしたトラウマになって会場に着いたけど、一旦通り過ぎたりしたりして、ほぐれない緊張と共にいざ入場。その日女性に一番言ってもらえたのは「え!八百屋さん?行きたいです !」

おすすめしたい本:穂村弘『もしもし、運命の人ですか。

「現実は残酷だ」なんて言われるこの世の中で、現実が夢よりもいいものであってよかったです。婚活イベントのその後はいかがでしょうか? 八百屋に来てくださった女性はいらっしゃいましたか? とにかく野菜不足が甚だしいので、私もぜひ行ってみたいです。

「八百屋/イベンター」というユニークな肩書き、「青春」「婚活イベント」「緊張」などという言葉から、穂村弘さんの『もしもし、運命の人ですか。』をおすすめしたいと思います。

穂村弘さんは歌人・エッセイスト。この本は、そんな穂村さんによる恋愛についてのエッセイ集です。

私は穂村弘さんのエッセイが大好きで、おそらく今まで発刊されているすべての本を読んでいるのですが、穂村弘さんのおもしろさは、今まで出会ってきたどんな人よりも、今まで読んできたどんな作家さんよりも、「論理的な部分」と「感性的な部分」を強く持ち合わせているところだと思います。

日々の出来事から違和感を感じ取るその感性と、その感性を冷静に分析できる論理力。だって、「いちご狩りのデートでコンデンスミルクを持参した男の子のエピソード」から、恋愛の純粋さ、難しさ、残酷さ、面白さについて語るんですよ(笑)。

きっと、夢がトラウマになって会場を一度通りすぎてしまったという回答者さんも、繊細な心の持ち主なのではないかなあと勝手に想像し、この穂村さんの独特な世界観に触れてほしいなと思いました。

巻末の瀧波ユカリさんの解説文が秀逸だったので、ここに転記しておきます。

最初に言っておきます。穂村さん、あなたはずるいです。

「小心者で、自分が他人にどう思われているかが気になって仕方がない。だけど自分を飾り立てる勇気はない。恋愛の機会は多々あれど、『いい人』で終わってしまう事がコンプレックス。常に世界とちょっとだけずれていて、多少の生きづらさを感じている。妄想癖が半端ではない。しかしそんな自分が嫌いというわけではなく、むしろ強く激しい自己愛に振り回されている。」

この本から読み取れる穂村弘像をざくっと書くと恐らくはこんなダメな感じだろうが、私はここにもうひとつ付け加えたい。「そして、そんな己の性質を打ち明ける演出によって、女性を虜にする技に長けている。」

私も穂村さんに虜にされてしまった女性の一人です。この本が多くの女性に受け入れられているという現実は、多くの男性にとって希望になるのではないかと(勝手に)思っています。

女心を理解するための一冊としてもおすすめです! ぜひぜひ読んでみてください。

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※回答は順不同。回答は遅くなってしまうかもしれませんが、アンケート、まだまだ募集中です。


ありがとうございます。ちょっと疲れた日にちょっといいビールを買おうと思います。