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ひまわりとビール、それらの事実と解釈と。

向日葵(ひまわり)の花言葉を初めて調べた。

サクラや、タンポポや、朝顔や、ひまわり。日常生活で当たり前のように見かける四季折々の花たちにも、母の日に贈るカーネーションにも、恋人からもらったバラにも、花にはすべてに意味があることを、あらためて知る。

この現実世界には意味のないものなんて森羅万象何ひとつないんだということに気づかされる。

意味にあふれすぎた世界は、色鮮やかなようでいて、ちょっと息苦しいな、とも思う。


ひまわりの花言葉は、「私はあなただけを見つめる」だった。

私はあなただけを見つめる。

これを聞いたとき、美しくもあり、怖くもあると感じた。

離ればなれになってしまう恋人が、愛する人にひまわりを贈る。「私は、いつまでも、あなただけを見つめている」という花言葉とともに。それは物理的な距離が離れたとしても心は離れないという一途な恋心の誓いであり、すごくロマンチックである。

しかし一転して、ストーカー相手からひまわりを渡されたらどうか。「私はあなただけを見つめている」と言われたら……。考えただけでも、背筋がゾッと凍るような気持ちになる。

何かの漫画のセリフに「興味のない人から向けられる好意ほど、気持ち悪いものはないでしょう?」というものがあったが、本当にそのとおりだと思う。さいきん話題の暴言を吐く議員さんが言っていたように、「物事には表と裏がある」のだ。

このようにいつだって、たとえ同じ「意味」という事実がそこにおかれていたとしても、それに対する解釈は人それぞれなのだということを、忘れずにいたい。

ひまわり畑にいるすべての人が、すてきな気持ちでいるわけではない。時に切なくなりながら、悲しくなりながら、「いつまでも、あなたのことだけを見つめる」と思っている人がそこにいる、のかもしれない。

夏に飲むキンキンに冷えたビールだって、一見、なんの落ち度もない完璧な事実であるように思えるけれど、そのビールも、ある人からしてみれば、ものすごく残酷なものかもしれないのだ。

仕事がまったく終わっていないのに飲むビール、恋人を裏切りながら飲むビール、大人数の飲み会で輪に入れないときに端っこで飲むビール……。たしかにこれらは、考えただけで、ビールが苦い。

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「最初と最後の一文が決まった文」を、7人で書きました。書き始めは「向日葵の花言葉をはじめて調べた」、書き終わりは「ビールが苦い」です。
https://note.mu/ikeikeikkei/n/n9a50800cc95b

ありがとうございます。ちょっと疲れた日にちょっといいビールを買おうと思います。