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【2】 #かんたんなアンケートと300字で勝手に本をおすすめする 吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』

かんたんなアンケート(年齢や性別、好きな色など)と300字のなんでもいいなにか文章のようなものを書いてもらって、それを読んで独断と偏見で本をオススメする、という連載をやっています。第1回に続き、今日はその第2回です。

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【#3】28歳・男性・整体師

好きな映画:La La Land
好きな作家:白石一文
好きな色 :みどり
最近興味があること:二十四節気、七十二候

春になるのが待ち遠しかったのに、いざ桜が咲き始めると冬の寒さを恋しく感じる時がある。あの人と「今日も寒いね」と言い合うのが好きだったし、一段と冷える日に食べたスープの温かさが忘れられないからかもしれない。まだ冬にケジメがつけられていな私は少し季節とズレた服装で家を出てしまい、「 ああ、また今日も失敗した」と、ひとり呟く。

一直線に暖かくなってくれればいいのに、天気は毎日ころころ変わるから私のこころも定まらない。頭のなかでは昨日と同じことをぐるぐる考えている。本棚にあった本を何の気なしにめくると、「きになる、はすぐすきになる。」と書いてあって、ドキッとした。ああ、私はやっぱり好きなんだ。

おすすめしたい本:吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした

不安定に三寒四温だった天気が、ようやく春に向けて一直線に歩きだした気がします。ただ、まだまだ夜は冷え込むこの季節。文章を読んで「ああ、スープが飲みたいなあ」と感じました。

そして、どこか切なくてやさしい文体を持ち、(おそらく)恋をしているあなたにオススメしたいのは、吉田篤弘さんの『それからはスープのことばかり考えて暮らした』。

吉田篤弘さんの描く世界は、どこか不思議でやさしくて、現実世界ではない──まるで3.5次元にいるような気持ちにさせてくれます。この作品は、失業してとある町に引っ越してきた「オーリィさん」が、その町にあるサンドイッチ屋さんの店主「安藤さん」と出会うところから始まる、そのふたりを中心とした人間模様の物語。

吉田篤弘さんの作品の中には「月舟町3部作」というものがあり、これはその第2作目です。1作目は『つむじ風食堂の夜』、3作目は『レインコートを着た犬』。いずれも「月舟町」という町に住む人々の物語を描いたもので、静謐な春の夜を思い出し、毎年春から梅雨の時期にかけて読み返したくなるのです。

何も起こらず、何も動かず、何も変わらないのに、それでもやはりうつろいゆくものはあって、動かないものとうつろいゆくもののあいだで、無力な町の人たちは、しばしば迷って言葉を失う。

中に出てくるこの文章が、まさにこの本自体のことを表した文章だ、と思います。この本を読むときっと、一段と冷える日に飲むスープの温かさがより身にしみるはず。


【#4】21歳・女性・学生

好きな映画:ムーンライト、もののけ姫
好きな作家:探し中です...
好きな色 :黄色
最近興味があること:海外

はじめまして。
元々、本を読むほうでもないし、文章を書くこともない私ですが、ある時にTwitterで見かけたあかしさんの文章を読むうちに、書くことや言葉を選ぶことに興味が湧いてきました。そこで今年は書くことにチャレンジしていこうと思っています。あかしさんの言葉が大好きで、きっと素敵な方なんだろうなあと思いを膨らませながら、いつも拝見しています。
今回の企画も嬉しくてすぐにこれを書いてしまいました...!
旅とダイビングが好きな女子ですが、どうか何かおすすめの本を紹介してもらえたらと思います。よろしくお願いします!

おすすめしたい本:角田光代『この本が、世界に存在することに

はじめまして。嬉しすぎるお言葉を、ありがとうございます……! じーんとしました。励みになります。「書くことや言葉を選ぶことに興味が湧いてきた」というあなたには、私が本を大好きになるきっかけとなった本をオススメしたいと思います。

角田光代さんの『この本が、世界に存在することに』が、その一冊。これは「本」にまつわる9つの物語が入った短編集で、私が本をたくさん読むようになったきっかけとなった本です(現在はハードカバーは絶版となり、『さがしもの』というタイトルで文庫化されています)。

はじめてこの本を本屋で見つけてパラパラとページをめくったとき、一つ一つの物語ごとにフォントの種類やサイズ、一ページの行数などが違うことに驚きました。そして読み進めていくうちに、角田光代さんの紡ぐ、本質的でまっすぐな言葉たちに心を奪われました。

角田光代さんは、多面性を持つ作家さんだなと思っています。絵本のようなものも書かれるし、人間の本質をえぐるような『八日目の蝉』や『対岸の彼女』のような小説も書く。そうかと思えば『愛してるなんて言うわけないだろ』のような恋愛エッセイも書かれるし、旅好きとしても知られています(旅好きなら『世界中で迷子になって』なども絶対にお好きだと思います!)

1冊だけではなく、同じ作家さんのいろんな作品を読むことはとてもおもしろいこと。角田光代さんの作品を読み漁り、その多面性に触れることで、私はそんなことを教わりました。ぜひぜひ、読んだ感想を聞かせていただけるとうれしいです。


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※回答は順不同。回答は遅くなってしまうかもしれませんが、アンケート、まだまだ募集中です。

ありがとうございます。ちょっと疲れた日にちょっといいビールを買おうと思います。