【コラム】鮒ずし (滋賀の食材・大集合! )
< 2018年・滋賀の食材探しの旅 ⑦ >
滋賀のお料理を紹介しよう!と思ったのが、2018年の始め。
その後、10ヶ月間。
食材を探して、色々学び、2018年11月の料理教室で使う食材を決めて、
取り寄せました。
鮒ずし(ふなずし)
ここで、ちょっと「鮒ずしのお話」
鮒ずしと聞いて、「あの、きつい臭いの…」「以前、一度食べたけど無理やった…」。
拒否反応を起こす人もいると思います。
ただ、最近の鮒ずしは、変わってきています。
鮒ずしとは、なんぞや。
ニコロブナ(煮頃鮒)で作られる熟鮓です。
では、熟鮓(なれずし)とは、なんぞや。
熟鮓は、魚を、塩と米飯で漬け込み、乳酸発酵させたもの。
室町時代から、この熟鮓があり、鮨(鮓)の原型とも、言われています。
発酵による酸味が特徴で、この ‟ 酸っぱさ ”、‟臭い” に苦手意識を持つ方もいらっしゃるようです。
安土・桃山時代、明智光秀が、徳川家康をもてなす為に、
近江の食材・名物を沢山盛り込んだお膳を用意したところ、
主人・織田信長が激怒、解任された話。
「こんな腐ったような匂いのする魚を出しおって!」
お膳の一皿にあった「鮒ずし」が、近江の郷土料理として
信長が、知っていたかどうかは不明ですが、この「鮒ずし」が原因だったという説、もあるそうです。
(もちろん、他にも色々な説ありますよ)
江戸時代に、酢が出回り、酢飯を使った寿司が主流となっていったので、
下火になりますが、郷土料理として作り続けられていました。
熟鮓は、「熟れ」とも「馴れ」とも書きます。
「熟成させて作る」と言う意味、そして、独特の酸味や臭いに、
最初、ビックリするけれども、段々、「馴れ親しんで、癖になる」と言う意味とも、言われています。
熟鮓=鮒ずし、だけと思われがちですが、色々な魚で作られるんですよ。
さばの熟鮓、鮎の熟鮓、等々。
ニコロブナで仕込む熟鮓を「鮒ずし」と呼んでいます。
子持ちのメスが重宝されますが、最近では、オスも活用できないかと、
腹の部分にチーズを入れて漬け込んだりと、新しい「鮒ずし」も作られ始めてます。
進化系・鮒ずし!
味が強いので、お酒のお供に、少しずつ食べたり、ご飯の締めのお茶漬けにしたりして食べるのも、お薦めです。
漬け込んだ白ご飯は、飯(いい)と呼ばれ、これも、発酵食品。
残ったら、白味噌と合わして調味し、茹でた野菜や煮豆などと、
和えても美味しいですよ。
先述の「チーズ入り鮒ずし」や、発酵臭を抑えるために丁寧な下処理を繰り返したり、塩や米飯の量を調節したりと、最近では、だいぶ食べやすくなっています。
ご紹介したレッスンでも、
「今まで食べたものと違ってた」「初めてで、ドキドキしたけど、美味しく食べれた」と、多くの方に喜んで頂きました。
長く作り続けられる郷土料理のひとつとして、機会があれば、
是非、一度試して頂きたいです。
2020年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」。
主人公・明智光秀が、どのように描かれるか、今から楽しみです。
もしかしたら、「鮒ずし説」、出てくるかもしれませんね。
ちなみに、江戸前寿司は、酢飯を使った、大ぶりのにぎり寿司を、立ち食い屋台で、パクパクッと口に入れ、「ごちそうさん!」と、お代を払い、
パッと仕事に戻る、早ずしが原型です。
同じ「すし」と呼ばれるけれど、まったく違う鮨(鮓)のことで、面白いです。
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他にも、滋賀の食材色々、使わせて頂きました。
滋賀の食材いろいろ
織田信長も食べたと言われる「赤こんにゃく」。
琵琶湖の湖魚「いさざ」「ごり」の佃煮。
琵琶湖の「瀬田しじみ」。
これら食材にも、色々なお話があるのですが、また、それは、次の機会に…。
もちろん、古株牧場さんの「つやこフロマージュ」も食べて頂きました!
古株牧場「つやこフロマージュ」
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郷土料理は、その背景、歴史を知ると、益々、面白くなります。
料理をする時、食べる時、その食材、料理にまつわるストーリーが分かっていると、楽しさが増しますからね。
当料理教室では、丁寧な作り方はもちろん、このバックグラウンド、歴史も、お伝えできたらと考えています。
お読み頂き、ありがとうございます。 サポート頂ければ、心強いです。