アクマで主観~アクマの主観~

とある水曜日、数年前に数ヵ月ほど一緒に仕事をしていた客から1日だけの依頼を受ける。

この日は銀行と役所への私用をまとめて済まそうと、事前に会社へ欠勤の要請を告げていたのであったが、それを理由に返上した。銀行や役所に対して私は思う。

日曜日に働けや

自慢じゃないことないのだが、私の顧客からのリピート率は非常に高い。アナタがいい、アナタじゃなきゃダメ、アナタしか見えない。彼らにそう思わせる何かが私にはあるらしい。

意図的にそのような立ち回りを意識しているつもりは微塵もなく、現在に至るまで十割が男性であるため、会社の評価ばかりを気にする上司が誇らしげにそのことを語るたびに私は「ふ~ん、あ、そう」と思う次第である。

その日の朝、数年前に通っていた建物の中で、二時間ほどアニメとゲームの話で顧客と盛り上がる。具体的な仕事内容はまだ聞かされてはいない。喉がかわいたので、顧客に、とあるゲームのキャラのセリフを叫びながらマシンガンをぶっ放すジェスチャーをかました後、彼に背を向け自販機へと向かう。

建物を出て右、一番近い自販機ですら地味に遠い。しばらく歩き到着。慢性的な金欠病のくせにその時は万札だけで千円札は持ち合わせていなかった。100円玉、50円玉も見当たらない。自販機に一枚だけ持っていた500円玉を入れるもすぐに吐き出される。何度試しても同じであった。

電子マネー使えますとのことなので、サイフから取り出した電子マネーカードをあてがうと私の所持しているものだけは例外であったらしい。『残念でした~』みたいな効果音を鳴らす機能つけとくくらいなら使えるようにしとけや。

その場をUターンして自分がいた建物の前を通りすぎた後もしばらく歩き続け、突き当たりを右に曲がり、またしばらく歩く。駐車場の横の自販機にたどり着き、500円玉を入れるも案の定ペッと吐き出されてしまう。私の所持している電子マネーカードも使えるとのことなのであてがうも、何度やっても反応しない。何か自販機が全体的に色あせてる気がする。直射日光の浴びすぎでバグッてんのか?

そこからさらに進んだ先、みっつめの角を左に曲がると古くからあるような商店があったのを思い出す。新500円玉を握りしめ、近代化を目指す街を小走りに駆け抜け到着すると、重く閉ざされた扉の貼り紙にこう書かれていた。『水曜定休日』私は思う。

日曜日に休めや


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